いつだったか

2人の女の子と、最近よく夜を共にしている。もちろん、会うのは別々に。
1人は年下で、1人は年上。

普段ぼくは涙袋をメイクでしっかりつくっているような、真っ白い肌に赤いリップをしたような、アイドルのような女の子が好きだけれど
その2人は全然当てはまらない。特に年下の方は当てはまらない。

年下とはお互い、ちょっとだけ好きだよなんて言葉を交わしながら、お互いが付き合うことになったらめんどくさいだろうと分かっている故の触れ合い方をしている。
夜、体を重ねているときはうるさいくらいに好きと言うのだけれど、それはサッカー観戦におけるブブゼラみたいなものなんだろう。
だいたい2人して馬鹿みたいに酒を飲んでいる。出会った当初は映画を見ようなんて口実で会っていたはずが、今は恥ずかしげもなく 会いたいから と言って会っている。
映画は大抵覚えていない。あと、何を話したかも。

そんな生活をしていたら、年上の少しかわいい女の子に出会った。ぼくにしては珍しく、ちゃんと連絡先を交換して、飲みに行きましょうなんて話をした。
酒が入るとダメなのは分かっているのだが、やはりダメになってしまって朝起きたらチープなラブホテルにいた。
カラオケ付きのホテルに行こうってはしゃいでいたはずなのにな。
二日酔いの頭で彼女を見たら可愛らしくて、好きだなあと思った。
あまり飲まないタイプのお酒を飲んで、その日そればかり飲むような感じ。
だいたいそう言うお酒はその日1日でいいのだけど、その時の気分でボトルキープしてしまう時がある。
毎回そのボトルを出されて、手をつけないわけにもいかずゆっくり飲み続けなければいない。
そんな感じで、そんな雰囲気のせいで、付き合ってくださいなんていう言葉の兵器を放ってしまった。
頼むからぼくを突き放してくれと、そう思った。

年下と遊ぶのは大好きだし、最近よく見たらしっかり美人に思えて来た。男からの誘いも絶えないらしいし。
ただ、浮気まで付き合ってくれるかはわからないと気づいた時、突然、失うのが怖くなってしまった。

だから年下にはまだ、ぼくが兵器を放った話はしていない。

年上よりずっと髪の長い、態度に比べて背の低い女の子と、ぼくが何度もセックスしていることを、年上は知らない。

それでいて僕と同じベッドに寝転びながら、天井が高いねと言う年上の彼女を、僕は幸せにも、不幸せにもできない。

いっそ長い髪が見つかって、問いただしてくれればいのに。
そうやって僕を、しっかりと悪者として、突き放してくれ。

そうしたらきっと、年下とも年上とも連絡を絶って、僕は1人でまたアイドルみたいな女の子を目で追うのだろう。

それで少ししたら、映画でも見ようよなんて連絡を入れるんだろう。

なんども自分を嫌いになりながら。

前髪が伸びて来て、年下には切りなよと言われたが

僕は今自分の顔を、前髪なしに鏡で見るほど自信はない。

前髪で左目を隠して、僕はその左目で、次は誰と映画を見ようかなんて考えている。

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