「マグノリアの花たち」
※ネタバレ注意
内容はよく映画の設定でありそうな、病気を患った人の短い生涯を描いたものだったのですが、実は重度の糖尿病を患っていながら常に明るく元気に振る舞う若くて綺麗なヒロインや、また彼女を取り巻く友人達の個性豊かさが、映画全体をシリアスにさせず、和やかな雰囲気にさせているのだと思いました。もちろん、これが制作側の意図だったとは思うのですが、登場人物の設定が非常に良く作り込まれている作品だと思いました。
難病を抱えた女性が子どもを産む事は、その病気によっては、死を覚悟する事と言っても過言ではないはずです。しかし、主人公はその事を十分に理解した上で出産するという選択肢を選びます。結果、子どもは無事産まれてきたものの、親となった彼女は、最終的に小さな子を残してこの世を去る訳ですが、果たしてこれが彼女にとって最善の選択であったかどうかは賛否両論だと思います。主人公としては、自分がどうしてもやりたかった事をしたのだから、きっと後悔は無かったのだろうと思いますが、彼女の家族、友人、夫、生まれてきたばかりの子ども事を考えると、心が痛みます。
役者についてですが、主人公のシェルビーはジュリア・ロバーツで、出演当時22、3歳でしたが、最初の方のシーンでトルービィの美容室で糖尿病による発作を起こしてしまうシーンがあるのですが、あのシーンは演技力の求められる難しいシーンであったにも関わらず、役になりきって自然にこなしていたように見えました。
母親のマリン役はサリー・フィールドという女優で、この映画を見るまでは知らない女優だったのですが、調べてみると、過去にアカデミー賞主演女優賞を2度も獲った事のある女優だそうです。本当にこういう娘思いのお母さんいるよね、という感じで安定感が常に素晴らしかったです。印象に残ってるシーンは娘の葬式後のシーンで、「自分はテキサスに走って帰る事ができるけど、娘はもうそれさえもできない!」、と感情を露わにする場面は思わず涙ぐんでしまいました。
あとウィザーというちょっとクセの強いおばさん役はシャーリー・マクレーンで、聞いた事のある名前の女優だと思ったら、「アパートの鍵貸します」でジャック・レモンと共演していた女優で、役柄上常に不機嫌という設定なのですが、なんだか憎めない感じが終始あり、また彼女一人、他の登場人物と比べてファッションが突出していて、「服のセンス良いなぁ」と思いました。他にもシェルビー親子と仲の良い女友達が数人出てくるのですが、皆個性豊かな役で映画を楽しい雰囲気にさせています。またシェルビーの父親ドラム役の役者をどこかで見たこのある顔だと思ったら、「トップガン」でトム・クルーズの上官、バイパー役で出演していた役者だった事には驚きました。
今回この映画を見て、恥ずかしながら、糖尿病の恐ろしさを知りませんでしたが、その病気の度合いによっては若くても早く死に至ってしまうことは勉強になりました。しかし、どんなに辛い事や病気で思うように行かない事があっても、明るく前向きな主人公や女友達の強さは見習いたいところです。
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