2023年日大一般選抜第一期 国語 第Ⅰ問のみ
<出題>
日本大学 2023年度一般選抜(N全学統一方式)第一期 国語 第Ⅰ問のみ
大学による問題及び解答の公表あり(最終閲覧日2024年8月19日)。
<出典>
岡崎乾二郎『近代芸術の解析 抽象の力』
<ひとこと>
本文は、夏目漱石の言語を学ぶこと(読むこと)に対する理論を紹介している。特に、文学を読むとはどういうことなのか(論理的な文である論文などと比較しつつ)という意識のもと本文に向き合うと新しい発見があるかもしれない。日頃の生活で言葉を使用しない者などいないだろう。日頃、私たちが用いる言語の使い方は、論文というより文学に近い用い方をしているのではないだろうか。そうだとすれば、夏目漱石の文学に対する考え(読み方)は、ともすれば、私たちの日頃の会話における言葉の意識に繋がるものだと思われる。このように考えれば、日頃の生活に応用できる言語論を夏目漱石は示唆してくれているのかもしれない。なお、この本文を読んでの私見は、<思考フロー>12段落目に収斂されている。
問一、二
省略。
問三
答えは、③。
アについて
アの前の文に、「外部からもたらされるか、精神内部から生じるかの違いはあっても」とあり、「これらは…同じである」とあるため、外部だろうと内部だろうとどっちであっても同じといった文脈になることがわかる。そして前文で「f」の意味について、「感覚的入力情報のすべてである」として、その中に一つ目、二つ目があると述べていることからも、どちらもが「f」に含まれるということで辻褄が合う。そうすると、③の「いずれにせよ」か④「結局のところ」に絞ることができる。
イについて
空欄イの後をみると、科学的言説では…、「だが、」文学は、と続いていることから、明らかに対比が読み取れる。そこで、確かに(科学的言説では)〇〇だが、しかし、(文学では)⬜︎⬜︎だ。という、いわゆる確かに、しかし構文が入るのだとわかる。よって、③「たしかに」が入りそうではあるが、④「もちろん」を明確に否定できないため、ここでは絞れないかもしれない。
ウについて
選択肢としては、③そもそも、④ところが(逆接)である。これを意識しながら、空欄ウの後を読むと、理論の系譜としては、荻生徂徠の古文辞学→(夏目漱石が研究していた)本居宣長の「詞」と「辞」理論→夏目漱石の「f +F」理論ということになる。夏目漱石の「f +F」理論を分析するために本居宣長の「詞」と「辞」理論を引き合いに出していたが、実は、その本居宣長の理論は、夏目漱石が研究していた荻生徂徠の古文辞学の影響を受けていたということである。この意味に合うのは、③そもそもであり、逆接の④ところがは入らないことがわかる。よって、答えは、③となる。
※ここで11段落目の話題が、荻生徂徠の理論に移行しているため、空欄ウを解いた後に問六に挑むほうがよいだろう。
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