人は大抵、自分が思っているより気にしてないって本当か?
私の髪は、生粋の天然パーマだ。
厳密に言えば、語尾は「だった」と表現する方が正しい。
小さい頃はトルネードのように、クリンクリンの髪だった。
両親からの遺伝である。
周りの子の髪はストレートでさらっとしているのが羨ましかった。
自分の髪質にコンプレックスを感じて、小学校の頃から縮毛矯正を始めた。
必死に隠していたパーマヘアだが、年を重ねるごとに、いつの間にかクセっ毛と呼べるくらい穏やかなものになっていった。
それでも、やっぱり自分の髪は扱いづらい。
一度、縮毛矯正を始めてしまったものだから、髪が伸びてくるとクセっ毛が目立つ。ヘアセットをしても、汗をかけばクセっ毛が出てきて、セットが台無しだ。
だから、私は未だに縮毛矯正をしに美容院に通っている。
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ちょうど2週間ほど前、美容院に行く時期が到来した。
前回の美容院から3ヶ月以上は経っていたから、前髪なんかは言うことを聞かなくなってきて、ノーセットだととっ散らかっている状態だ。
あと少しで、友人の結婚式の予定もある。
これは、まずい…。
そう思って、美容院を予約した。
当日は、いつもの担当さんに、縮毛矯正で綺麗にしてもらって、大大大満足な仕上がりになった。
髪も-10cmほど切ってもらい、かなりスッキリした。
ちょっと切り過ぎたか…とか思ったけど、まあ良いだろう。
それから実家に帰宅。
休職中の身で平日にコソコソと美容院に行っていることがどこか気まずくて、家族には何も言わずに過ごしてみることにした。
いつ「美容院行った?」とバレるかと、ちょっと冷や冷やドキドキしつつ、
聞かれたらどんな反応をしようかと妄想しながら、数日間を過ごした。
1週間が過ぎた。
あれ…?
蓋を開けてみれば、数日経っても、家族の誰も何も言わない。
いつも顔を合わせて話している家族が、誰一人として髪の変化に気づかない。
自分としては少し印象が変わったと思っていたが、思い上がりだったのだろうか…。
何だか複雑な感情だった。
そして、私は身をもって学んだ。
家族でさえ、人は大抵、自分が思うより自分のことは気にしてない、と。
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人は大抵、他人のことは気にしていない。家族でさえ。
人は大抵、自分自身のことで手一杯なのだ。
だからきっと、自分が欠点だと思っていることがあるとしたら、大して気にしていないはずだ。
もし何か言ってくる人がいたら、その人はきっと自分の事をよく気にかけてくれている人だから、寧ろ有難いと思った方が良い。
自分の欠点こそ、人とは違う、素晴らしい個性だったりすると思う。
周りの目ばかりを気にしてしまうと、その個性をいつの間にか殺そうとしてしまう。
人は大抵、気にしていないのに…。
そして、人は大人になってもがく。
「何者かになりたい」「自分らしさって何?」
何者かになりたいなら、自分らしく生きたいなら、
自分の欠点さえ特別にしてしまうことだと、私は思う。
…と言いつつ、その方法はまだ私も探り途中だ。
だけどきっと、その欠点は、見つけた時が一番特別に輝く天然物だと思う。
人生の経験を積むごとに、化合物となり、その純粋な性質はいつの間にか消えてなくなってしまう(かもしれない)。
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今なら、幼い頃の自分に声を大にして言ってやりたい。
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誰も気にしてないぞ〜
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ありのままを好きになれる自分になれるといいな。