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「大人になれ」と言われても

2曲目 うらみつらみきわみ/Official髭男dism

ヒゲダンとの出会い

ヒゲダンを認知したのは「黄色い車」という曲。昔秘密結社鷹の爪というアニメにハマっていた私は、そのEDだったこの曲に出会った。ただ当時は歌の上手いアーティストがいるなあくらいの認識で、特に好きになることもなかったのだが、その数年後に「ノーダウト」にてヒゲダンと再会し、どっぷりと沼にハマることになった。「ノーダウト」を初めて聴いた時の衝撃は今でも覚えている。

ヒゲダンの凄み

私はヒゲダンの凄みは2つあると思う。1つ目は言うまでもなく音楽としての凄みだ。ボーカルの藤原聡の歌唱力は勿論、バラードチックな曲からパンクロックのような曲まで完璧に創り上げてしまうバンドの幅の広さにはいつも驚かされる。アルバムの構成曲は本当に同じアーティストが手がけた曲なのか疑ってしまうほどだ。
2つ目は恐ろしいくらい緻密な歌詞である。ヒゲダンの曲の歌詞は、決してありきたりな表現ではないのだが、人間の抱く感情や思考を正確に言い当てる。この凄みを言葉で表すことは難しいのだが、万人ウケとかではなく確実にその曲がドンピシャに刺さる人が何人かはいるといった感じだろうか。事実、今回取り上げた「うらみつらみきわみ」は私にとってのまさにそれである。

「大人になれ」と言われても

「大人になれ」とはよくある言葉である。何かに感情的になったり、我儘を言おうとすると、周りから冷たい目で見られて「大人になれ」と言われる。そもそも大人って何なんだ?感情を態度に出さない人間、マイナスな感情を抱かない人間が大人なのだろうか?もしそうだとするのならば、傍から見たら少し可哀想にも思えてくる。人間は感情を抱く生き物であるのだから、それを表現することを恐れるな、そんなメッセージがこの曲には込められていると感じる。

醜さを愛せ

「醜さを愛せ」―この言葉は、かつてリーガル・ハイというドラマでの主人公の古美門研介のセリフである。人間は醜い生き物であり、他人に嫉妬したり、バカにしたり、不安になったり、苛立ったりする。ただそれは人間である証拠であり、もしそれを「愛する」ことが出来たのなら…?

「あんな人間どっかで転んでしまえばいいのに なんて思い使いこなしたら めちゃくちゃ救われない?」
「あんな人間にさえ『ありがとう』って言えるような未来と 自分を作り出すの マイナスな感情群を 掛け合い喜びを」

この歌詞に救われる人がどれだけいることだろうか。人間誰しもにある毒を、ポップにポジティブに歌い上げてくれるヒゲダンには頭が上がらない。私は大人になって我慢している人間よりも、自分の中の人間らしさに素直になっている人間の方がよっぽど素敵であると思うし、そうなりたいと思う。

おわりに

正直なところ、ヒゲダンの曲を相手にこんなレビューみたいなものをするのは恥ずかしさもある。なぜなら、私の考えや感じたことをダラダラと連ねるくらいなら、曲の歌詞をそのまま貼り付けた方が読んでいる人には響くだろうからだ。ただ、私は私の考えや感じたことを聞いて欲しいのではなく、曲を聴いて欲しいだけである。もしもこのnoteがそのきっかけになったのであれば、これ幸いだ。

「うらみつらみ はらさず逆に
愚直に自分をやけに鍛える重み
うらみつらみ 割り切れない時に
憤り それもいい それでいい
うらみつらみきわみ それは人の強み」

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