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映画「若武者」を観て


映画「若武者」キノシネマ立川で観てきました。
不均衡な構図から浮かび上がる不穏な空気感、それにより人それぞれの顔のつくりや、動作により作りだされる印影が浮かび上がるのがわかりました。

喋り倒す英治に対して
「お前も昔はガキだったんだよ」と、私自身が心の中でつぶやくとそれがセリフとなってスクリーンの中で響き渡る恐怖。

今の時代だからこそのうつうつとした未來の無い感じ。
「少しは黙ってくれないかな」と思った瞬間にビール瓶で殴られてしまう英治。まるで自分の心の中で抑え込んでいたものが動き出して、登場人物の動作に加担してしまっているかのような得体の知れない不気味さを味わいました。

すごいものを観た、そう感じ足を引きずりながら帰宅しました。
普段は威勢がよく、がなりまくっている英治が、きちんと働いて社会の中にはまっている所、介護士の光則が全く違う何かに動かされて、今の職を選んだこと。家では母に甘え求められている自分を演じているのか、ただのマザコンなのか。

父という大きな存在が足かせになり自身の人生に影を落としている渉。ずっと生き直したくて子どもに惹かれているのかも……とも考えました。

それぞれのキャラクターが言葉のやりとりや歩き方や姿勢や眼差しからじっとりと伝わってきて何ともいえない映画体験となりました。

あんなにキレキレな人たちが「楽しめ」と言っているのだから人生楽しまなければと思いつつ、これからも、私はのほほんと生きていくのだろうと思ったそんな劇場体験。

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