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|1019-1022|色 #日誌 #03

毎週月・金曜日の20時更新 演劇ユニットせのびの稽古場の様子をお届けする日誌。

【10月20日(火)】

これまでやってきたことを確かめつつ、先に進んで稽古をつける。
今日は主に「色をつける」ことをしました。

走ったり、転がったり、登ったりと全身を使って芝居をする藤原慶。

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ノリノリで稽古に取り組むその姿、持ち味のコミカルさがより際立っています。
これまでのせのびではどちらかというと抑えめの芝居をしてきたので、今回初めて、得意分野の役がまわってきました。生き生きとしています。

先日、「やりたいことを精査する」ためにおやすみした髙橋も、藤原と同じくノリノリで台詞の掛け合いをしていました。心なしか表情もすっきりしているようで、演出の指示に「うーん」と考えこむのではなく、いろいろとトライをしてみているよう。

今回の作品ではピアノが登場しますが、今日、ピアノの蓋を開けて演奏を聴いてみたところ、美紀依さんが鍵盤を弾く度に豊かな音が稽古場に響き渡っていました。スピーカーから出る音とは質感の違うリアルな音に、出演者たちも驚きを隠せません。

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役者の言葉とピアノの音が舞台上でどのように響き合うのか。
音楽、しかも実際に楽器が演奏される形で登場する音楽が作品の中でどんな役割を担っているのか、という点も見所のひとつです。

「高校で演劇を始めたときの楽しさを思い出しました!!」と話していた藤原。ひとつひとつ確かめ合いながら、

ふむふむ
よしよし
やってみよう 

で、稽古が進んでいきます。

【10月21日(水)】

「スローカーブの後に速球投げる、みたいな」

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きのうと同様に、演技に色をつけていく作業。
声色の変化、読点の意味、強弱のポイント をひとつずつさらいながら根気強く稽古をつけていきます。
村田の言葉に「え?」と反応することの多い髙橋。けれど、「スローカーブのあとに速球投げるみたいな」というたとえ話には「ああ。」と、理解するのがとても速かった。ソフトボール経験者ならではです。

なぜその台詞を言うのかを考えつつ、ふたりで空気をつくるというのが今のところの課題。

稽古後半、台詞をしゃべりながら突然笑い出した藤原。
ノゾエさんの脚本は面白いセリフが所々にあるため、自分の台詞に面白くなっちゃったようです。
普段は、せのびの脚本・演出を担当する村田の言葉に触れている団員ですが、既成の脚本に挑戦してみると、掛け合いのリズム感や出てくるワードに新鮮味があり、それらを楽しみながら稽古をしています。

日に日に寒さが増してきており、稽古場でじっとしている他のスタッフはどうも体が冷えがち。暖かい格好をして体調管理に努めたいものです。
役者及び演出に関しては「あ!今の構図『キネマと恋人』みたい!!」などと言いながら楽しそうに稽古に励んでいるので安心ですが、今日の藤原は少し鼻声気味でした。
みなさんお気をつけて……。

※キネマと恋人……「ナイロン100℃」という劇団の主宰を務めるケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が脚本・演出を手掛けた舞台。妻夫木聡さんや緒川たまきさんが出演している。主宰の村田はこの芝居が大好きなので「妻夫木の真似!」などといってよく真似をしています。

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(ピアノの中身って鯖寿司みたいです。)

【10月22日(木)】

本日の稽古は稽古場所を間違えるところからスタートしました!

先に到着していた村田と、舞台監督の工藤が盛岡劇場の「ミニホール」へ。
後から来た髙橋・藤原・石橋が「音楽練習室」へ。
正しい練習場所は音楽練習室だったのですが、いつも稽古をするのがミニホールだったためこのような事態に。
お互い連絡を取り合うこともせず、30分ほどタイムロスをしてしまいました。

こういう日もある。

ということで、今日はなんだかいつもとリズムの違う稽古となりました。
淡々と着実に、というよりも、少し無理をして大きめの演技をしてみたり、シリアスとコメディを行ったり来たりしながらいろいろと動いてみたり。

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(稽古中にマスクの紐が切れてしまった藤原)

自分の引き出しやカードを増やすこと、引っ張り出すことに意識を向けながら、「失敗した!って思ったら、それは方向性が違ってたんだなって分かったってことだ!」と、できることを整理していきました。

やはり『踊るよ鳥ト』の脚本はよいセリフが多く、
そして髙橋は野球関連の例え話でなければ理解が難しいようです。がんばれ。

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たまにはエネルギーの出力の針を大きく振り切ってみて、それでできること、違うなってことを見つける日も必要だなと感じる日でした。



さてさて、稽古は日々着々と進んでおりますが、舞台関係の方もだんだんと本番に向けて話がまとまってきました

毎月のスケジュール管理や本番前の仕込み期間の流れについて総まとめしているのは、今年の8月にせのびに入団したばかりの工藤早織。今回は舞台監督として関わっています。バリバリです。
演出・脚本だけでなく舞台の仕事についても経験豊富な彼女。とても頼もしい存在です。

細かな点に気づき、そっとフォローしているところをよく見かけます。
どこか頼りないメンバーが多いせのびですが、彼女のように安定感のある人間がいてくれるだけで稽古場もしっかりとした空気になる。

本番までの残りの期間もせのびのメンバーたちは自分のできる範囲で創作に参加し、そして、今回一緒に作品を作ってくださっている外部の方々に最大限の感謝の気持ちを示しながら『踊るよ鳥ト少し短く』、終演まで駆け抜けたいと思います。

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いけいけ〜〜〜!!



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次回の投稿は 10月26日(月) です。
ではまたここでお会いしましょう!
〈文・写真 石橋奈那子、写真 工藤早織〉

04「新鮮さ」はこちら⇒


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