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子どもに勉強してもらいたい!そんなお悩みに効く、具体的な2つのアプローチとは?

はじめに

「子どもが勉強してくれない…」
小中学生のお子様をお持ちのご家庭では、学力低下を心配しヤキモキされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は
「何度言っても、勉強しない…」
こんなお悩みを軽くする、心理学にもとづいた2つのアプローチについて、
新潟市中央区でマンツーマン個別指導塾を経営して11年目、現役カウンセラーの筆者がお話していきます。

残念ながら「勉強しない子」への万能薬はありませんが、何方でも簡単に取り組めて、効果的なアプローチを具体例を交えてご説明させて頂きます。
ご家庭でのこれまでのアプローチに一工夫、少しでもお役に立て頂けたら幸いです。

子どもが勉強しない!要因は?

保護者様から、リモート授業に対応してもらえませんか?とご相談頂いたときのお話です。
対面によるマンツーマンの学習サポートを柱としている教室の考え方とリモート授業(遠隔授業)はなじむのか?悩みましたが、保護者のご要望を検討したうえで、準備を行い、態勢を整えて、運用テストを実施。
実地テストまでこぎつけました。

テスト希望の保護者に、準備が整ったことと、ご家庭でのアプリ導入方法をお伝えして、ご家庭からの準備完了のご連絡をお待ちしていました。
4~5日ほど経った頃、お母様から、
「教室に伺いますから、スマホの設定をお願いできませんか?」
とメッセージが。
これは大変!と、
「iPhoneの設定は経験がなく、お時間も相当かかりそうです。
お母様がお子さんのために一生懸命取り組んでいる姿を見せることはお子さんの学びへの意欲を引き出す絶好のチャンスです。
是非、お子さんの前でアプリ設定に挑戦してみてください。」
とお伝えしました。

「母親はみんな忙しいの!だから、かわりにお願いしたいの!」
常日頃から、世のお母様はワンオペの方が多く大変なこと、敬意をもって共感いたしております。
独身中年の筆者ですら、
「あ~あ、もう一人自分がいたらいいのに…」
なんて小学生みたいなことを考えたりしますから。

ただ、このケースは少し違っているな、
「共感=(イコール)同意ではない」
な、と感じたのです。

このお母様には、
「忙しくて大変なわたし」
「手伝ってくれない講師」
と思われたかもしれません。

ただ、こんな風に考える人は、親子間でも同じ状況に陥っているのでは?
と想像をめぐらせたのです。

お母様のイライラは、
「子供が勉強しないんです!」(子どもに振り回される可哀そうな私)
「何度言っても聞かないんです!」(言うことをきかない悪いあの子)
という考えがもとになってしまっているのではないかと……

筆者の教室に限ったことかもしれませんが、普段からお母様、お父様、保護者の皆様からうるさく言われていて、仕方なく勉強しにきているお子さんに、成績が大きく伸びる生徒さんは少ないのです。

「言わなかったら、遊んでばかりなんです!」
とおっしゃる保護者の方も多いとは思いますが、東大生には
「勉強しなさい!と言われたことがない」
という学生さんが大変多くいらっしゃるという話もあります。

言っても言っても勉強しない……
放っておいても勉強しない……

一体どうしたらいいのでしょう?

子供の心を動かすアプローチ

お子さんの心を動かには、どのようにアプローチしたらよいか……

今回は2つのアプローチ
「共感すれども同意せず」「子供に手本を見せる」
についてお話します。

子供の心を動かすアプローチ その1「共感すれども同意せず」

最近、お子さんを怒ったり、叱ったりばかりになっていませんか?
お子さんの良いところを、伝わるように認めてあげていたのは何歳頃だったでしょうか?
そんな保護者の皆様に試して頂きたいアプローチが
「共感すれども同意せず」。

例えば、お子さんに
「遊んでいたい!勉強したくない!」
とママさんが言われたら、
「うん、遊ぶの楽しいよね!」
と心から共感する。
大人だって、遊ぶのは楽しいですから。

でも、ママさんの意見は
「勉強はしたほうがいいと思う」、
のであれば、
「貴方の気持ちには心底共感するよ、
でも、ママの意見はこうなの。」
と、共感したあとに、
子供の主張に迎合せずにご自身の意見をしっかり伝える。

その後、お子さんが「勉強しなさい」と言わなくても
遊ぶのをやめて自分から進んで宿題に取り組んでくれたなら、
時間を空けずに
「宿題おわったんだね!ママも嬉しい。」
とか
「終わらせたんだね!」
とか
簡単でいいですので、声をかけて、認めてあげる。

たったこれだけです。

ポイントは、
「貴方が自分の課題を自分でクリアしてくれたことを、わたし(ママ)はとても嬉しく感じる」=わたしも嬉しい
と伝えることです。

この「共感すれども同意せず」のアプローチを使うと、
「わたし(お子さん)が頑張ったのを、ママも喜んでくれてるんだ」
と受け止めてもらえる確率がぐんとアップし、お子さんの心をちょっぴり動かすことができるのです。

子供の心を動かすアプローチ その2「子供に手本を見せる」

例えば
本を読む、
調べ物をする、
家計簿をつける、
料理をする、
アプリをダウンロードしてインストールに挑戦する……

お母様が、真剣に何かに取り組んでいる姿をお子さんにしっかり見えるように、見せてあげる。
お手本を示してあげる。

子供たちは大人が思っている以上に
お母様、お父様、先生が何をしているか、
本当に良く見ていますし、感じとってもいるものです。

ですから、お手本を見せたら、あとはお子さんを信じて本人に考えさせればいい。保護者の皆様が真剣な姿をお子さんに伝わるように示してあげるだけで、お子さんの心を大きくゆさぶることができるのです。

「子供が勉強しない」を変えるアプローチ 具体例

筆者は、運営している塾でも、フリースクールでも、大声で怒鳴ったり、怒ったり叱ったり一切しません、むやみやたらに褒めたりもしません。

例えば、
塾生さんが自分でトライしてみたけどわからなかった学校の宿題やワークの問題を教室で質問してくれると、筆者が見ていないところで、何も言われなくても、自分で立てた目標を、解らないなりに挑戦してきてくれた!
その姿勢を認めて、
「すごく良い、のびさんも嬉しいよ!それ(取り組み)が良いね!」
と言葉と笑顔、左手の親指を立てて「いいね」のボディランゲージで、必ずポジティブなメッセージを送ります。

逆に、前回からほとんど何もせずに来校したらどうするか?
教室では毎時間、前回から今日までどう過ごしていたか、導入として塾生さん自身に説明してもらっています。
「部活と習い事で、自分で立てた目標、ほとんど終わってません。」
こんな風に説明してくれたりします。
「そうか~忙しかったんだね。できないときもあるよね。」
自分自身もそんな時があるので、腹の底から共感します。
たとえ毎回のように同じ状況だったとしても不信感をあらわにしたり、できなかったこと、おわってしまったことを責めたりしません。
ですが、同意もしませんし、放置もしません。

「どうしたらできるようになるか、一緒に考えよう!」
具体的な対策を一緒になって練り直すのです。
時には、何度も練り直すことさえあります。

全ては、生涯生徒さん自身を支える
「自分で自分をコントロールして、学びに向き合える」
根本的な「自律」の思考や姿勢を生徒さん自身の力で手に入れて欲しいからなのです。
自立ではなく「自分を律する=自律」です。

このアプローチだけの効果ではないのです(ご家庭でのアプローチの賜物であったりします)が、筆者の教室の卒塾までの継続率は、おかげさまで開校以来、毎年90%を下回ることはありません。

「子供を認める」ときの注意点

「○○ちゃん、えらいわね~」
という言葉掛けは、特にお祖母様、お祖父様に良くお見うけする言葉かけですが、こんな褒め方ばかりを続けていると
「そうか!わたしはえらいんだ!」
という歪んだ自己肯定感につながる可能性大、かえって逆効果となってしまうこともあります。
(絵に描いたようなこんなご家庭で、小学校5年生ですでにお山の大将になってしまって、同級生たちや従兄弟にまで嫌われてしまっている一人っ子の生徒さん、いました…)

「褒めて伸ばすって専門家の方、多いですよね?」
確かに「褒めて伸ばす」は、近年のトレンドと言っても過言ではありませんし、間違いとも思いません。
ただ、人は見境なく褒められ続けると、だんだんその状況に慣れていきます。すると、褒められなければ、やらない、できない、
「もっと褒めてくれなきゃイヤ!」
欲求はどんどんエスカレートしていき、承認欲求の権化と化してしまうこともあるのです。

せっかく一流企業に入社しても、すぐやめてしまう、
新入社員さんの中には、自分がやりたいことをやらせてくれないから、認めてくれないから、辞める!という人が一定数いるということは、肥大化し、こじらせてしまった承認欲求が要因となっているケースもあると思うのです。

まとめ

もし、お子さんに「勉強しなさい!」と言わないでも自分から進んで勉強する子になってほしい!とお考えなら、まず、お母様がお手本を見せてあげることをおすすめします。

「お手本を見せる」
「共感すれども同意せず」

大げさにほめる必要も、叱ったり怒ったりする必要もありません。
子どものやるべきことを先回りしてやってあげる必要もありません。
「ママが怒らないで、ちゃんと話を聴いてくれた!」
「失敗を責められなかった!」
「できたことを認めてくれたうえに、ママも嬉しそう!」
「ママが何かにチャレンジしてる!」

この2つのアプローチを
1度や2度ではなく、意識して継続してみてください。
少しずつ「うちの子、こんなふうに考えていたんだ…」
とお子さんの気持ちがわかることが増えて、
「うるさく言わなくても、できること、できそうなことは自分でやるようになってきた!」
自分の物事を自分自身で認識できて、
自分で自分をある程度コントロールできて、
完璧でなくても自分の課題をそこそここなせるようになってきた、
そんな嬉しい変化が必ずやってきます。

どのくらいかかるか?ですか、
これは個人差が大きいのです。2~3ヶ月で変わりはじめるお子さんもいれば、何年もかかるお子さんもいらっしゃいます。
「子育ては、親育て、自分育て」という言葉もあります。

ご自身のやりたいことやるべきことに真剣に取り組みながら、お子さんが自分から進んで勉強に取り組んでくれるなら良いことづくめ。イライラも減って、ご家庭内の雰囲気もゆっくりとですが良い方向に変っていきます。

今回ご紹介した2つのアプローチと具体例をもとにした試行錯誤が、お母様、お父様、保護者の皆様のお悩みを少しでも軽くしてくれることを願っております。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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