『陶芸マスター』で遊んだ

可能性を秘めた陶芸シミュレーションゲーム。

旅に出た友人から陶芸館の運営を任されたあなた。陶芸館は作業場とギャラリーが一つになっている建物で、作業場で作った作品をそのままギャラリーに並べることができる。あなたは陶芸を作り、それを展示し、陶芸館を運営していくことになる。

 陶芸シミュレーションゲーム『陶芸マスター』を遊びました。
 さて、陶器、作りましょう。
『陶芸マスター』での陶器を作る工程は大きく分けて三つです。
①ろくろの上で回る粘土を成形します。
 マウスを上下にドラッグすると粘土は伸びたり縮んだりします。左右のドラッグでは、へこませたり膨らませたりできます。この上下左右の動きを使って粘土を成形していきます。好きなように形を作れる半面、思い描いた形にするのはなかなか難しい作業です。
②成形が終わったら釜で焼いていきます。
 右クリックと左クリックを使って温度をキープするミニゲームがありますが、うまくいかなくても大丈夫。大らかにいきましょう。
③焼きあがったら絵付けです。
 色を付けたり、柄を付けたり、釉薬を塗って質感を変えたりできます。金属の質感を出せる釉薬を使うと、たちまちオーパーツ工場になるの楽しいです。はい、完成です。いい作品ができましたねえ。
 作った作品は陶芸館のギャラリーに展示することができます。友人からは陶芸館の運営も任されているので、展示会を開いて、入場料を得ましょう。どのゲームでもお金は大事です。「陶芸マスター」では獲得したお金を使って、新しい素材や陶芸館の増築(展示できるブースを増やす)ができます。様々な素材を使った陶器は人を呼びますし、展示されている作品が多ければ来館者が増えます。つまり
 作品を作る→入館料を得る→素材を購入し、よりよい作品を作る→入館料が増える→作品を作る→入館料が増える→展示ブースを増やす→入館料が増える→素材を購入し、より良い作品を作る→入館料が増える。
 というのが「陶芸マスター」の大きな流れです。実はこのゲームは早期アクセス中。つまりまだ開発中です。今のところ大きなストーリーがあるわけではありません。好きなように作って、好きなように展示する。今のところは本当にただ、それだけです。
 繰り返しの作業ですぐに飽きてしまいそうなんですが、これが遊んでいるとなかなか飽きがこない。プレイしていくうちに起こるある二つの変化がこのゲームをとても魅力的に面白くしています。
 変化その①陶器づくりの上達
「あ、いい感じの曲線できたなー」とか、「前よりも絵付けが上手にできたなー」とか、作れば作るほど自分が成長しているような気がしてくるのです。これは本当に奇妙な感覚で、マウスをたーだ動かしているだけなのに、本当に土をこねて形を作っていくコツを掴んでいく実感が確かにしてくるのです。ゲーム内のバロメーターとしても、製作を続けていると自分のレベルが上がり、購入できる釉薬や図柄が増えていきます。なんと「外部画像の使用」も可能になります。つまり自分の好きなキャラクターを張り付けた壺が作れちまうんだ。芸術ってノーボーダーなものですね。
 変化その②来館者との交流
 展示会を続けていると、来館者から「お金を払うので、ぜひ作品を譲ってほしい」と手紙が届くのです。チュートリアルで作った作品「さいしょ」(作った作品には、自分で名前が付けられます)が欲しいと手紙が届いたとき、のびさんは嬉しかったけれど少し悩みもしました。つぶれた不細工な壺ではあるけれど、自分がはじめて作った作品です。手元に置いておきたい気持ちもある。もちろん、作品を譲るか譲らないかはプレイヤーの自由です。悩みつつ、作品を譲ることにしました。ここからが面白いなあと思ったところで、来館者との交流はこれで終わりじゃないんですね。むしろ始まりで、後日、私の作品を買った人から、感謝の言葉と一枚の写真が届きます。そこにはその人の部屋に置かれた「さいしょ」が写っていました。いやー、すごく嬉しかったんですよね。架空の出来事なんですけれど、自分の作ったものが人の生活の中に生きているのを見るというのは、こんなに嬉しいんだなあと思いました。
 上手くなるという自分自身の中から沸き上がる喜び。そして自分の作ったものを喜んでくれた人から受け取る喜び。
 大げさかもしれないですけれど『陶芸マスター』というゲームには「作る」ことの楽しさが存分に詰まっていると思います。さっきも言った通り、このゲームは開発中です。これから先、より高度な製作ができるようになるのか、陶芸館の運営に力を入れるようになるのか、それとも来館者たちとの関わりがより深くなり、物語が生まれるようになるのか、なんにせよこのゲームの向かう先がとても楽しみです。

読んでくれて、ありがとうございます。のび

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?