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山育ちの自分へ、

どうだい、こんな綺麗なものを41年生きてきて見たことないだろう。なぜだろう、道理では知っているし、本や映像でも見たことあっただろう。

この目で見て初めて「見た」という感覚を味わうことができたのでは?

数年を土の中で過ごし、満を辞して世界へ飛び出しロープにつかまり、脱皮をしている。半透明な身体は光に照らされ、青白く見える。

木に卵を産みつけ、梅雨時にのり卵からかえり幼虫は土へと潜る。モグラなどの餌にならなかった幼虫だけが数年の時を経て羽化する年を迎え地上へと出てくる。

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こんな事が起きていたとは露知らず、夏の醍醐味は沢山の蝉の鳴き声だけではなく、1匹の大人として巣立つ瞬間もまたこの時期ならではの事だということを知ったことだろう。

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このけなげな目、見えているのかどうかはわからないが、数日後にはみーん、みーんと鳴いているのだろう。

頑張って鳴いてくれ!と応援したくなるではないか。ただうるさいだけの虫としてではなく、長い時間をかけて数多くの敵に出会すことなく、地上世界に飛び出した1匹のたくましい大人として見るようなれた気がする。

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来年飛び出す幼虫も、続々と土のなかでスタンバイしているんだろうな。成長の過程を数分見ただけで、彼らの一生のどれくらいの時間を見たことになるのだろうと、計算したが数秒で諦めた。暑かったので。


2日連続で蝉のことで、すみません。蝉の色が神秘的で綺麗だったので、つい。お近くに公園があるかたは夜中9時くらいにどうぞ。わんさか羽化していますよー。

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