へ~、ほー、うわぁの連続『暮らしのイギリス史』ルーシー・ワースリー(著)中島俊郎(訳)玉井史絵(訳)
なぜ中世では他人同士が同じベッドで寝たのか? どうやって1つの鍋で同時に何種類もの料理を作れたのか? 王侯から庶民まで、壁の向こうで繰り広げられるふだんの暮らしを覗いてみたら……。重労働のベッドメーキングや尿によるしみ抜きなど歴史のひとこまを実感しながら中世から現代までの人々の日常に迫る、優雅でユーモラスなイギリス生活史。肉の焼き串回し犬、ヴィクトリア女王の下着など貴重図版多数。カラー16ページ。
フランシス・ハーディングの『影を呑んだ少女』に、肉を焼く串回し犬が出てきて、ブラックジョーク過ぎるだろと笑ってた所、ググると史実と知り、この本を手に取る。
最初から最後まで、へ~、ほー、うわぁが絶えない。衣食住から化粧、セックス、便所など幅広いテーマで、中世から近代のイギリス人がどういった生活をしていたかが詳らかにされる。どのページも濃密なので約2ヶ月かけてちまちま読んだが、楽しい時間だった。戦争の歴史なんかより、こういう歴史が面白くて仕方がない。こういうのの日本版の良い本ないかな?
以下、特に印象深かった所をピックアップ。(→は自分の感想)
第4章 下着
・ボタンの発明は14世紀
・王の服は暖炉で暖められていた
第6章 病気
太った猫の皮膚を丁寧にはぎ、……皮がはがされた胴体をじっくりと焼くと、汁がしたたり落ちてくる。その汁を患部に塗れば良い。「病気ーー喉の膿瘍治療薬の処方箋」[十四世紀]
第11章 夜着
・ナイトキャップは瘴気から頭を守るため
第12章 国王の寝室
・国王のマットレスは8枚
第13章 睡眠
・灯がない時代、夜が睡眠時間以上に長いので、夜中に起きて仕事してまた寝る、という分割睡眠が行われていた
第15章 浴室の衰退
・1500年から200年風呂なし
・尿で洗濯
第18章 歯磨き
・虫歯治療に歯の移植が行われていた(貧乏人が売る)
・中世の汚物が博物館で冷凍保存されており、たまに解凍して中身を見せてくれる
第22章 水洗便所
1775年 スコットランドの時計職人アレグサンダー・カミングズがS字状管を発明
→感謝しかないわ
第25章 寛ぎ
・タペストリーは装飾だけでなく、隙間風防止にも使用
・ソファはアラビア文化からの輸入
第27章 暖房と照明
窓税
第30章 儀礼
王政から共和制への移行したとき、ヒエラルキーを廃止するため、一礼から平等をあらわす握手をするようになった
第31章 歓待
・ラジオに受信許可証が必要
・1960年から今も続くTVドラマ『コロネション・ストリート』
第32章 恋愛
結婚税
第33章 葬儀
何週間もの葬儀の間に遺体が傷むため、参列者ように蝋人形が造られた
第37章 料理
・ローストビーフの串回し係(子供)はつまみ食い出来たし、鍋の吹きこぼれもなめれたので良く成長した
・串回しように品種改良した犬を走らせていた。機械化にともない絶滅。剥製を残すのみ。
第38章 冷蔵庫
ケンウッド、最初の製品はトースター
第40章 嗜好品
・金曜日は協会が肉食を禁止していたので魚が食べられた。海鳥は魚として分類された。
・スイートポテトパイの元祖ともいうべき1596年のレシピ「サツマイモをすりつぶして、マルメロ、ナツメヤシ、ワイン、砂糖、スパイスと三、四匹分の雄ツバメの脳みそを加えると良い」
・茶と一緒に中国から輸入された茶碗は、取っ手がなかったので『皿』(ディッシュ)と呼ばた
→昔の人が受け皿で紅茶を飲んだという話はこれとごっちゃになってるのでは?
第41章 食物
・オートミールはチューダー朝時代の主食
・18世紀、食品偽装業者は小麦粉をかさ増しするために、遺骨を粉末にして使用
第43章 ソース
ソースはフランス人が考案したという理由だけで嫌悪の対象となっていた(19世紀)
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