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『文豪たちの悪口本』

文豪と呼ばれる大作家たちは、悪口を言うとき、どんな言葉を使ったのだろうか。そんな疑問からできたのが、本書『文豪たちの悪口本』です。
選んだ悪口は、文豪同士の喧嘩や家族へのあてつけ、世間への愚痴など。随筆、日記、手紙、友人や家族の証言から、文豪たちの人となりがわかるような文章やフレーズを選びました。これらを作家ごとに分類し、計8章にわたって紹介していきます。

罵詈雑言の羅列を期待したが、さにあらず。文通での口喧嘩がメイン。これはこれで笑えた。見事に自分の事を棚に上げ、他人をあげつらうなぁ(笑)

悪口のレパートリーは増えなかったが、文豪達の人となりがしれて楽しい一冊。
夏目漱石はロマンチックなイメージだったので、めっちゃ短気で笑えた。

また、文壇諸家価値調査表も馬鹿で下世話で最高。
作家達の才能やらを数値化して表にしているのだが、資産や腕力とか性欲とかあって、いらんやろと突っ込まざるを得ない。本章はそれにキレてる若手作家と出版元菊池寛の言い訳文だが、まさに菊池寛の狙った通りの展開なんだろうな。

その菊池寛が永井荷風からめっちゃ嫌われてるのも面白い。菊池寛が年賀状返送したエピソードが最高。

この本一番の読みどころは、谷崎潤一郎×佐藤春夫の章。
谷崎潤一郎の嫁をとりあい喧嘩してるのだが、谷崎潤一郎は嫁の妹にも手を出しており、双方クズっぽい。
それでいて、”僕はこの手紙を、君に恥をかかせるつもりで書いた”等文章は最高なので笑える。
しかし何より酷いのがオチ。結局千代は佐藤春夫に嫁ぐが、これは勝ち取ったというより、生活できたらどっちでもええわという感じなんだろうか。
千代の日記が読みたくてたまらないんだが。

#読書感想 #読了 #ネタバレ  

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