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2023年4月の記事一覧

『私は幽霊を見ない』藤野可織(著)

怪談探索エッセイ。怪談というより、怪談を追い求める日常を描いている。 クレイジー沙也加ほどではないが、この人も天然ぽいので、普通に読んでて楽しい。ニコラス・ケイジ好きで常に画像を収集してるとか想像のなかで猫を飼ってるとか面白エピソードがこの本の半分。このエア猫がキーボードの上でぐっすり寝ているので仕事ができないくだりは噴いた。 残り半分は、聞いたまたは体験した怖い・不思議な話の紹介。不可解な話もおおく、微妙に怖かったりするので、怪談好きも少しは楽しめるのではないかな。身も

『不思議の扉 午後の教室』大森望(編)

学校が舞台のSFオムニバス。著者ラインナップから青春要素が全然想像できなくて手に取る。案の定、青春要素ほぼなし(笑) 学校が出てくる、というだけ。とはいえ、普通に骨太SFとして素晴らしいので結構オススメ。 ジョー・ヒルの『ポップ・アート』がぶっちぎりですき。 インコ先生 / 湊かなえ 著修学旅行の心霊写真について相談される保健室ショートショート。 湊かなえ初読み。意外と技巧派なのねと吃驚。それでいて少女漫画チックな舞台が面白い。 三時間目のまどか / 古橋秀之 著ふと

『ミッキー7』エドワード・アシュトン(著)大谷真弓(訳)

使い捨て人間というアイデアは素晴らしかったが、SFとしてはかなり薄っぺらい。SFエンタメと聞いてアンディ・ウィアーレベルを期待してただけにがっかり。 反物質エンジンや、ナノマシン、クローン人間への記憶転写が可能となってる未来、人類は地球から逃げるように宇宙へ散らばっており、このお話も、とある惑星へ入植するのだが、金属やタンパク質が制限されるなかでの苦労と、二重に存在してしまったミッキーのドタバタ生活が描かれる。 のだが、全体的にハードSF設定とマヌケな設定が混在しておりリ