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2023年3月の記事一覧

『星界の紋章』森岡浩之(著)

傑作スペオペ。ストーリー、キャラ、世界観、すべてが満点。さらにシナジーで150点、ユーモアあふれる会話が最高すぎて200点になってる。 もう30年近く前のラノベで、アニメ化もされてるが、なんか食指が動かず未読だった。しかし、米村孝一郎の漫画版『星界の紋章』ではまり、続きが気になり手を伸ばす。 本書は漫画化範囲内だが、きっと省かれたエピソードとかがあるだろうと楽しみに読むも、まったく無かった。ここまで忠実な漫画化だったのかと吃驚。 お話はSFでボーイ・ミーツ・ガール。人類が

『サイコセラピスト』アレックス・マイクリーディーズ(著)坂本あおい(訳)

石黒達昌のALICEみたいなのを期待してたのに、延々昼メロが続くので読むのをやめようかと思ったが、ラストは良かった。犯人は予想の範疇だが、真相がエグい。モチーフのギリシャ神話の使い方がお見事。 夫婦や恋人で読むのがオススメ(笑) お話は、夫を殺した女が精神病院におり一切口をつぐんでいて、とある心理療法士がその女に執着して真相をあかそうとするパートと、その主人口のプライベートが交互に語られる。 正直、主人公の妻の浮気とか、マリファナがやめられないとか、どーでも良いわ思いなが

『裏世界ピクニック8』宮澤伊織(著)

人の恋バナを吸って生きる妖怪のお話(嘘) よい最終回でした(笑) 以下ネタバレ 鳥子の「私のことどう思ってるの?」についに空魚が答えを出す。怪異も一応でてくるが、ほぼ関係なし。一冊ずっとユリユリしてる。 正直、二人の関係はなあなあのまま最後まで行くと思ってただけに、普通に一線超えて驚き、さらにセックス中に裏世界行ってて笑える。 空魚と目と鳥子の左手を駆使したセックス描写はすでに人間のそれではなく、ナメクジの交尾のような官能美であった。 今後、裏世界の目と手を使い

『日本SFの臨界点 石黒達昌』伴名練(編)

短編集。医者である作者の文章がとにかく盤石でどっしりしている。その上で書かれるのが医療系架空論文SFなのだからニヤニヤがしてしまう。 表紙に”冬至草/雪女”とあるので2編しか入ってないのかと思いきや、たくさん入ってるよ。 希望ホヤ抗癌作用のあるホヤのお話。娘が癌で余命幾許となってしまい、主人口である父親が医学を学び、藁にもすがる思いで試行錯誤してゆく。 これが愛だよなぁ。世界なんかより愛する一人のほうが重い。トロッコ問題の答えだよ。と思い知らされる。さらにこのお話、民間療