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職場の隅の哲学者

若い頃、仕事にやりがいを感じずにグレかけていた自分に、30歳くらい歳上の先輩が言ってくれた。
先:「ふーん。おまえはバカだなぁ。」
の:「なんでですか?」
先:「朝起きて、今日やる仕事がある。これに勝るシアワセなんてないね。」
の:「そんなもんですかねー」
先:「そうだ。高望みするからグレるし、グレるから自分ができることすら視えなくなるんだ」
タバコの煙をぷはーっとはきながら話をしてくれた先輩の姿は、今でもその時の周りの風景と共に脳内に強く残っている。
しばらく前に職場の話し合いで話題に上がった「やりがい」という言葉が頭の中で浮遊している状態で朝ジョグをしていると、急にそんな情景が頭の中に蘇ってきたのだ。
やりがいを失っている状態では、できることすら視えなくなっている。You have to learn to walk before you run・・・千里の道も一歩から。やりたいこと、実現したいことを妄想するのはとっても大事だけれど、一足飛びに実現することなんてできやしない。だからまずできることをやる。
やってみると、やる前には見えなかった世界、次の道につながるかもしれない獣道か、この先は明らかに行き止まりかが見えてくる。手を動かし続ける、足を前に出し続ける。
ぼやきたくなったら、きっとどこの職場でも必ず一人はいる、とっつきにくそうな人・・会社員の仮装をしている哲学者に話しかけてみるといい。その時は理解できなくても何年、何10年経った後に腑に落ちるかもしれない、人類の叡智のような言葉が出てくるはずだから。
そんな日常を繰り返す。やりがいを失ったり、失っているのか満ち溢れているのかもわからないくらいに夢中になっていると、気がついたら自分が職場の片隅か、コーヒーの香りが立ちこめる古い実験室にいる哲学者になっているから(笑)。
あの先輩、今ごろあの世の片隅でタバコ吹かしてるんだろうな。そんな彼のことを急に思い出したのも、お彼岸だからなのかもしれない。香り高いコーヒーを淹れてお線香がわりにでもしてみるか(笑)。
今日も皆さんにとって素敵な1日になりますように。

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