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どんな相手とも10分雑談できる達人ワザ

問題は「ネタの中身」ではない
PRESIDENTオンライン 2018/12/18 より
野口 敏

ワザあり!【1】「目を合わせる」ことで会話の土台づくりをせよ

よく知らない相手との雑談が難しいのは、不安があるためです。
そのため、新しい部署に移った場合などには、「目を合わせる」というコミュニケーションが大切です。
例えば、「おはようございます」と言ってきた相手に対して軽く目礼をすることで、会話のハードルがずいぶんと低くなる。
まだ話したことがなくても、「一度アイコンタクトをした相手だから、今後は気軽に話しかけてもいいんだな」とお互いに安心できるようになるのですね。
部屋全体に挨拶するのではなく、個人に対して挨拶することが重要です。

もちろん、遠くからアイコンタクトするだけでなく、席まで「よろしくお願いします」と挨拶をしに行ってもいい。
さらにお互いの安心感が増すだろう。

ワザあり!【2】軽い「私ネタ」を挟めばどんな話も盛り上がる

「人は人が好き」という事実を肝に銘じてください。
人は相手の性格や生活、人間関係に興味を持ちます。
そのため、時事ネタや天気の話でも、「いい天気ですね。だから私は……」と続け、自分に関する話題を含めることが重要です。

例えば、「こんな日は仕事を早く切り上げてお花見に行きたいです」や「晴れると花粉症がひどくて」と言えば、相手も共感したり、自分の経験を話したりしてくれるでしょう。
雑談に自分の話を織り交ぜることで、相手に親近感を持ってもらいやすくなります。

コミュニケーションをとるための雑談では、難しい話は不要だ。
うんちくを語るのではなく、プライベートな話題を織り交ぜよう。

ワザあり!【3】「リアルに想像」して相づちを打つべし

「相手が自分の話を退屈せずに聞いている」と感じることは、話し手に安心感を与え、次の話題を引き出します。
そのためには、「ちゃんと頷く」「いいリアクションをとる」ことが重要ですね。
多くの人は「ふーん」「そうなんだ」と薄い反応をしますが、これは雑談を盛り上げる意識が欠けているからです。

良いリアクションをするためには、相手の話を具体的に想像しながら聞くことが大切です。
例えば、「ラーメン屋に15分かけて行ったら休みだった」と言われたら、その場面を想像し、「せっかく遠くまで行ったのに残念でしたね!」などと本心からの相づちを打ちましょう。
聞き手には想像力が求められています。

相手がもっと話したくなるような「いいリアクション」は、単なるオーバーリアクションではない。想像力がカギなのだ。

ワザあり!【4】「オウム返し」は気持ちが動いたとき限定で

雑談の本では「オウム返しが最良の相づち」と書かれていますが、ただ言葉を返すだけでは相手に「わかってもらえた」という実感を与えられません。
オーバーなリアクションも不自然です。
人は表情や声のトーンから多くを感じ取ります。

すべてのオウム返しが悪いわけではなく、本当に感情が動いた瞬間のオウム返しは効果的ですね。
例えば、「最近ゴルフにハマってるんですよ」と言われて「ゴルフですか」と返すのはNGですが、「最近お菓子作りにハマってて」と年配の男性に言われた場合、「お菓子作るんですか!?」と素直に驚くのはOKです。
オウム返しは短めにするのがコツです。

オウム返しの多用はご法度。
「ふんふん」「それでそれで?」「ホントに!?」など、相づちのバリエーションを用意しよう。

ワザあり!【5】相手の「人柄」が引き出せる質問をせよ

機械的に会話を続けようとすると、5W1Hで表せる「情報」のやり取りに終始しがちです。
例えば「映画を観た」と言われたら、「何を観ましたか?」「誰と行ったんですか?」「どこの映画館?」など。
これらは単語レベルで回答できるため、一問一答のように話が途切れてしまうのです。
導入はそれで構いませんが、相手の人柄に踏み込んだ質問をすると会話が続きやすくなります。

例えば、「映画を観て泣くほうですか?」「恋愛、シリアス、ファンタジー、どんな映画がお好きですか?」「映画館でのお口のお供は何ですか?」など。
こうした質問には、「子どもができてから家族モノに弱くてね」「実はこう見えてファンタジーものが好きで、恐竜が出てくる映画は必ず観に行くんですよ」など、まとまった「エピソード」が返ってきます。

そこで良いリアクションをしたり、さらに踏み込んだ質問をしたり、「私の場合……」と自分の話や感想を挟んだりすることで、お互いの人柄に関する情報交換ができ、心の距離も縮まります。

「相手の人柄を知る」ことを会話の目的にすると、自然といい質問ができる。
雑談が苦手な人は、相手の人柄に一歩踏み込む勇気を持とう。

ワザあり!【6】「短いセンテンス」で想像力をかき立てよう

面白い話をするためには、ネタよりも話し方が重要です。
話し下手な人は一気にオチまで話してしまいますが、初めてその話を聞く相手は想像力が追いつかず、面白さが伝わりません。
面白い「話し方」の基本は次の3つです。

  1. 聞き手が情報を整理できるよう、出来事や場面を細かく区切る。

  2. 話しはじめを2秒ほどあけるなど、「間」のとり方に気を付ける。

  3. 相手がきちんと想像できているか、アイコンタクトをとって確認する。

自信満々に「立て板に水」のような話し方をする営業マンもいますが、これはお客様を置いてきぼりにしてしまい、成績にはつながりません。
真のデキる営業マンは、お客様にも相づちを打たせる「間」をつくり、想像力をかき立てています。
もし相手が一方的に話していると感じたら、「ここまではわかりました。ここから先の説明をお願いします」と交通整理をすることで、相手も嫌な気はしないはずです。

1度に話していい事柄は多くても2個程度。
早口でまくしたてれば「流暢に話すな」と感心されるかもしれないが、相手が話に追いつけなくなる可能性大。

ワザあり!【7】心の距離が縮まる「失敗談」を恐るるなかれ

失敗談など「自分を落として笑いをとること」に抵抗を感じる人もいます。
特に、取引先や上司など自分を評価する立場の相手には、「こんなみっともない話をしたら評価が下がるのでは」と心配になることもあります。

しかし、相手が引くほど突飛な内容や犯罪に関する話でなければ、人は会話の内容だけで他人を評価することはありません。
例えば、「地図が読めなくて、ここに来るまで3回も道を聞きました」と言っても、時間通りに到着していれば「しっかりした人だな」と感じますし、「奥さんに頭が上がらなくて」と言っても、仕事がきちんとしていれば「頼りない」とは思われません。

むしろ、失敗談は人の「かわいらしい一面」を引き出し、相手に親しみを感じてもらう効果があります。
相手の緊張をほぐし、好感を持ってもらうために積極的に話すと良いでしょう。
特に、既婚男性の「奥さんの尻に敷かれている話」や、アラサー独身女性の「ちょっとモテない話」は共感を得やすい鉄板ネタです。

「この人がこんな失敗を!」という驚きは、好感を持って受け入れられることが多い。
後輩に慕われたい上司も積極的に話そう。

ワザあり!【8】共感できる「プチ怒りネタ」で一体感を醸成せよ

「私ネタ」の中で特に盛り上がるのは、日常で感じた「ちょっとムッとした話」や「悔しかった話」です。
これらは「あるあるネタ」として共感を誘いやすく、「わかる!」と共感されると相手もエピソードを共有しやすくなります。
「ひどいね」「悔しいね」と共感し合うことで、会話の興奮度が高まり、一体感が生まれます。

ただし、あまりにも「プチ怒りネタ」ばかりだと「怒りっぽい人」や「愚痴っぽい」と思われる可能性があるので、笑えるレベルを保つことが重要ですね。
「ちょっと聞いてくださいよ。こんな腹の立つことがあったんです」と話しかければ、相手も共感を期待して話を聞いてくれるでしょう。

しかし、途中で曖昧な相づちを打たれた場合、それは「共感できない」「これ以上話を続けてほしくない」というサインです。
深追いせず、話を切り上げましょう。
雑談は後味の良さが重要です。ネガティブな話題の場合、相手の反応に敏感になり、引き際を見極めることも大切です。

家族や共通の知り合いの話は、共感を誘う「プチ怒りネタ」の代表格。
逆に、同じ部署の人への愚痴などは控えたほうが無難だろう。

雑談をうまく進めるためには、相手の反応に敏感になり、適切な引き際を見極めることが重要です。以下のポイントを意識しましょう。

  1. 相手の反応を観察する:
    相手が曖昧な相づちを打つ、視線を逸らす、表情が固くなるなどのサインが見えたら、それ以上その話題を続けるのは避けましょう。相手が話題に興味を持っていない可能性があります。

  2. 話題を柔軟に切り替える:
    相手の反応を見て「この話題はあまり響いていないな」と感じたら、すぐに別の話題に切り替えます。例えば、「そういえば、最近何か面白いことありましたか?」など、ポジティブな方向に持っていくと良いでしょう。

  3. ポジティブな締めくくり:
    ネガティブな話題で終わらないように注意します。例えば、少しムッとした話をした後は、「でも、最終的には良い経験になりました」や「次はもっと気を付けます」など、前向きな言葉で締めくくりましょう。

  4. バランスを取る:
    一つの話題に固執せず、いろいろな話題を提供することで会話が豊かになります。日常のちょっとした出来事、最近読んだ本や観た映画、共通の趣味など、多様な話題を準備しておくと良いです。

  5. 自己開示と相手の話に興味を持つ:
    自分の話ばかりするのではなく、相手の話にも興味を持ち、積極的に質問をしてみましょう。「それでどうなったんですか?」「すごいですね、それについてもっと教えてください」といった質問をすることで、相手も話しやすくなります。

雑談はお互いの関係を深める大切なツールです。
相手の反応を見ながら、適切に話題を選び、ポジティブな雰囲気を保つことで、会話を楽しく続けることができるでしょう。

野口 敏(のぐち・さとし)
グッドコミュニケーション代表取締役
TALK&トーク話し方教室主宰。著書に、90万部超のベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方』シリーズほか、『誰とでもスッとうちとけて話せる!雑談ルール50』など。


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