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【冒険教育】名古屋から伊勢まで、138㎞を歩いて旅する子どもたちの挑戦③~なぜ歩きなのか~

こんにちは、EDUCAMPの曽雌です。

EDUCAMPでは、名古屋を中心に様々な体験を通じて、子どもたちの主体性や自立心を育む教育を実践しています。

キャッチフレーズは「冒険が人を育てる」です。

138㎞トライウォークでは、熱田神宮から伊勢神宮まで歩いて旅をしていきます。

プログラムの中で、なぜ歩くことにこだわったのか。


138㎞を歩くと聞くと、その距離にびっくりされる方も多いです。

先日、靴屋さんに行き、長距離を歩くための靴選びについて聞いてみました。

「長距離を歩くのに適した靴ってどう選んだらよいですか?」
「長距離ですね。山登りですか?ハイキングですか?」
「基本はアスファルトになるかと思います。今度、熱田神宮から伊勢神宮まで歩くんです」
「え!?どのぐらい距離があるんですか?」
「6日間かけて138㎞を歩いていきます。野外活動の仕事をしていました、子どもたちと一緒に挑戦をするんです」
「ええ!それは凄いですね。しかも子どもたちも・・・!?自転車でとかは聞いたことはありますが、歩いてその距離は衝撃です」
「確かにそうかもしれないですね笑」

その会話を通して、ふと思ったんです。
確かに自転車での挑戦は世の中に結構ある。
どうして僕は歩くことにこだわったんだろうか。


僕が初めて長距離を歩いたのは、大学一年生の夏でした。
きっかけは、塾でアルバイトをしていたときのこと。
中学生に社会の授業をしていたときのことです。

「みんな昔の人は歩いて江戸までいっていたんだよ。それを参勤交代っていうんだ。凄いよな~
「へ~。でも先生、それって実際のところ、どんぐらい大変なの?」

ただこれだけの会話です。
その瞬間、なぜかこの瞬間に心の中にぐっときたんです。

気づけば話し始めていました。
「確かに。ちょっと先生やってくるわ~」
「え~。何言ってんの。そんなん無理でしょ」

何かスイッチが入ったんですね。
僕は子どもたちの前に立って伝えている。

でも、自分が体験したことがないことをどうして伝えられるだろうか?
その瞬間そう思ったんです。

いや、今思えば、参勤交代を体験する必要は全くないんですけどね笑

ただ、当時の僕はそう思いました。
そこからとりあえず、塾のアルバイトを休み、大学を休み、まるまる1週間の時間を作りました。この辺りは大学生の特権ですね。単純に大学はサボっただけですが笑

そして一人で行くのは心細かったので、馬鹿なことに付き合ってくれそな先輩に声をかけたんです。

「先輩!参勤交代しましょ!」

勿論、返事は
「おお!!いいね!!やろう!!」です。

類は友を呼ぶですかね。
そういう人を見つけるのは上手かったのかもしれません。


そんなこんなで、その次の日から出発です。
大学が兵庫県にあったので、とりあえず江戸を目指すことにします。

調べてみると、今の国道1号線が昔の東海道と、ほぼ同じだということがわかりました。

よし。大阪まで歩いて、そこから国道一号線をひたすら進もう。
方針が決まりました。

小さなリュックを背負い、二人で出発です。

そこから3日後。京都での出来事です。
急に先輩が言い出します。
「そっしー、俺もう無理かもしれん」
「え!?まだ3日目!何言ってんですか!?」
「ちょっと考えさせてくれ」

早朝4時のマクドナルドにて、2人で話し合いました。
結果、先輩は京都で途中リタイアをすることに。

駅まで一緒に向かい、固い握手をして別れました。
「あとは僕が一人でいきます!任せてください!」
「おお!すまんな~!頑張って!」

文章にすると軽いですが、勿論いろんな葛藤がありました。とにかく無言の時間が1時間は続きましたからねw

それはそれ。
そこからは一人旅の始まりです。

一人で歩いて、まず思ったのは、、、
なんと退屈なんだろうか!という気持ちです。

とにかく退屈なんですね。
そして人と話したいと思うようになりました。

だからついつい途中の農家の方に
「こんにちは~!何を作っているんですか~?」なんて話しかけてしまいます。

普段だったら絶対やらないのに。

それと同時に歩くたびにずっと頭に浮かんでいたのが
「なんで俺、こんなことやっているんだろう?」という疑問です。
歩きながら本当に色々考えるんです。だって暇だから。

そこから紆余曲折ありましたが、結局7日間で名古屋までたどり着きました。地元が名古屋だったので、ちょっと感慨深いものがありましたね。

急に家に帰って、歩いて帰ってきたと言ったことで、色々ザワザワはありましたが、それは別の話。


でも、そこで終わらなかったんです。
その挑戦のあと、ふと思ったんです。

歩いて7日間か~。これ自転車だったらどのぐらいで行けるんだろう。

今思えば、何を考えているのか。
ただ、、、速攻で試してみました。

その後、また一週間時間を作り、兵庫県から名古屋まで自転車で向かいます。ちなみに、自転車はギアのない普通のママチャリでした。

結論。兵庫県から名古屋まで、2日でたどり着いたんです。
ええ!?ですよね。これ往復できるじゃんということで、実家で一日休み、そのまま兵庫まで帰宅。帰りはゆっくり3日かけて帰りました。


歩くこと、自転車、両方で挑戦をしてみて感じたことが二つあるんです。

一つ目は、僕にとって、自転車はあくまで移動手段でしかなかったということ。

自転車、それ自体に対しての喜びを感じにくかったんです。あくまでも目的地にたどり着くための手段としか捉えられなかったんですね。だから早く着こうが喜びはそれほど大きくなかったんです。

そして同時に、自転車は道中あんまり物を考えなかったんです。

歩いているときは、目に見えるものや、地域の景色、街並みなんかを感じながら歩いていました。ある意味で空気感のようなものを味わいながら歩けたんです。だから本当に面白かった。

その分、時間はかかるんですけどね。それでも僕は、その自分が見たものや聞いたこと、その空気感を味わえる方が好きだなと思ったんです。

目的地がいくつか決まっていて、単純に自転車で回るというならば自転車はすごくいいと思うんですけどね。

二つ目は、自転車に乗っている間、人と話せないということ。


自転車に乗っている間、本当に人と話さないんです。
道行く人に話しかけるなんて全く思い浮かばなかったんです。

いかに早く目的地にたどり着けるか。そんな気持ちになっていました。

それよりも歩いているときは、道行く人の表情とか、年齢層とか、色んなものに目がむいたんです。

町だけでなく、そこに住んでいる人にも目がむいたんですよ。

終わってみると、それが楽しかったなと。農家のおばちゃんからヤクルトをもらったことが今でも忘れられません。


だから、僕は歩くことが好きなんだと思います。

ちなみに、自転車も好きですけどねw
その後自転車で、四国、九州、関西、琵琶湖を一周しましたし。

でも、自転車は一周をする!という目的を達成するための手段でした。

それよりも、道中に様々なプロセスが起こり、様々な葛藤が生まれ、人と関わろうとするのは、歩く方ががよっぽど良かったなと思ったんですね。

ドラマが生まれやすいんです。

だから冒険プログラムを作るときに、自転車より先に、歩くことを選びました。

今回、初めて熱田神宮から伊勢神宮まで、子どもたちが挑戦します。

どんなドラマが生まれるのか。楽しみですね!!


曽雌





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