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【生きづらさ】親ガチャのはなし(1)

「親ガチャ」という言葉がある。
親子関係がよくなかったり親に不満があるならよく目にする言葉だろうし、一方で「親ガチャという言葉を初めて知りました」という動画等のコメントもけっこう見かけるので、一方的に提供される情報が少なくなり見ないジャンルのことを自分も周りも知らないのだな、と感じざるを得ない。

親が一重だから私も一重になったのは親ガチャだ、みたいに思われてネット番組の議論になったりもした。
しかし実際に親ガチャで苦しんでいる人たちは、もっと内面的なことで苦労しているという現実を、真剣に向き合って考えていきたい。

親を悪くいうのはタブーだ、というのは日本だけでなく世界的な認識としてあり、とくにアメリカで精神科医・カウンセラーによる『Toxic Parents』という主に母と娘、両親と子の関係を中心とした親の子どもへの害について書かれた本が出版され、大変話題になった。
そこには、未成年のうちは親のせいにしてもいい、と書かれている。
ついつい「私がいけないんだ…」と悩んでしまう子どもがあまりに多いのだそう。
親がいけない、親が間違ってる、と思いつつも、やっぱり自分がいけないんだ、自分が悪い子だから、と塞ぎ込んでカウンセリングに来る若者に、本当に親が悪かったら悪いと認めてもいい、という救いの手を差し伸べたのだ。

ただその代わり、その「代償・借金」を返していくのは自分の責任だ、とも書かれている。
つまり、借金を背負って大人になっていくようなもの。
人より苦労するかもしれない。
でも成人してからは親のせいにするのではなく、その借金を背負いながら生きていき、それを返していくのも自分次第だから、早く完済して、初めて「自分の人生」を歩んでいこう、という本である。

親ガチャは、親にとっても子にとっても根深い問題。
それに、多様なケースがある。

親ガチャ失敗ケース1:愛情が足りない親

小さい子どもにとって、最も多く属しているのは「家庭」というコミュニティ。
そこで見たものは、その子どもの人生を決めてしまうと言っても過言ではない。

子どもの前で喧嘩する親は、我慢することを覚える子に育ったり、暴力を振るう親だと、ただ優しくされても信用できないことがある。
痛みを伴わない愛情表現や人間関係を、あやしいとか何か企んでる、おとしめようとしているとか、或いはキモいなどと言ってバカにしてみたり。

結果的に攻撃的な対人関係や、職場などでも苦手な人とトラブルになるかもしれない。

親ガチャ失敗ケース2:義務を放棄する親

成人するまでは親は「保護者」と呼ばれる。
本来親の義務は、自分がいなくても生活できるようにしてあげること、成人するまでに自立させること。
なぜなら勉強や仕事や生き方・稼ぎ方は、農耕の時代とは違い、家族ではない誰かが教えるようになったからだ。

自立できずに社会に出てしまい、善悪の判断ができない人がいる。
法律や規則の話ではなく、言っていいことと悪いこと、やっていいことといけないこと、という意味での善悪だ。
仮に「バカ」や「ブス」などの言葉も、もしそれが事実だと思っても、言われたら嫌な気持ちになるよね、と教わるはずだ。

社会に出てから失礼な言動を繰り返したり、「何が悪いの?私間違ってませんけど!」といったふうに自分を正当化することに必死になってしまうかもしれない。

親ガチャ失敗ケース3:居場所を奪う親

小さい子どもが少し大きくなると、「学校」というコミュニティの比率が大きくなる。
所属するコミュニティが増えるほど、人間関係を分散させていくことができるため、もしどこかで居場所がなくても他を探すことができる。
また成人する頃には「職場」というコミュニティも生まれる。

「家庭」「学校」「職場」のどこかで居場所がなくなると、とてもつらい。

わかりやすい暴力や病気や依存症などではなく、子どもを合法的にコントロールする親がいる。
野球をやらせたいとか、こういう大学に行かせたいとか、こうであってほしい、こうなってほしい、という理想があって、思い通りにいかないと否定する。

自分たちが産んで育てたのだから、お金もかけたし衣食住も提供してきたし、その権利がある、親は子に対して何らかの特権を持っているという意識は子どもを苦しめているかもしれない。

まとめ

もっと事例はたくさんあるが、要するに、なぜ親ガチャが大事かというと、子どもの人格形成に大きすぎる影響を与えてしまうということ。
ひいては大人になってから仕事や人間関係で失敗して、取り返しのつかないことになったり、孤立や貧困に陥る可能性も高い。
そうやって子どもはその負債を10年も20年もかけて返していくことになる。


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