議事録係の憂鬱

新社会人が必ず通る道、といっても過言ではない「議事録」。

特に多くの新卒・若手社員にとって、議事録作成という仕事はとても身近なものだと思います。
近年では、技術発展に伴い手動の議事録をなくしていく傾向も見られ、
「どうせいつかは人間の仕事じゃなくなるから、、」と議事録作成のモチベーションをそがれる方も多いのではないでしょうか。

まだ入社2年目の筆者は、業務の中で議事録を取る機会がとても多く、
計算してみたところ、週に約360分も議事録を取り続けていることが判明しました。
多いときには毎日9:00〜18:00をほぼ一か月間、議事録を取り続けたこともあります。

AIやその他新技術に任せられるのであればその方がよっぽど効率も正確性も上がることは自明でありつつ、
それでもなお仕事として議事録作成が存在する以上、何かしらの収穫を得られるとよいなという気持ちがあります。

今回は、この2年間の議事録遍歴から筆者が感じ取った、
議事録というタスクから見つけられるメリットや、
議事録作成が嫌にならないためのコツなどをつらつらと書き溜めてみようと思います。

“誰にでもできる仕事”、”いち早く人間以外に任せるべき仕事”が
今目の前にある方々にとって、何かしらのモチベーション向上の力添えになれば幸いです。

前提としてですが、今回はあくまで顧客との共有用としての議事録ではなく、社内共有用 / エビデンス用の議事録について書いていきたいと思います。


最小限の集中力で上手く議事録を取るコツ

~カギはタイピングじゃなく、リスニング力~

議事録係にとって、集中力の持続は大きな課題だと言えます。
30分間、時には1h以上耳を使い手を動かし、ほとんど自らが参加していない会話を聞き続けるには、実は相当な忍耐が必要です。

そんな状況下でやるべきことは、いかに力を抜くタイミングを作るか、だと思います。

具体的には、

  1. 話題の転換点だけは聞き逃さない

  2. わからなくても聞こえた単語と発話者だけはメモする

  3. 事前に最低限のフォーマットを準備しておく

  4. 会議以外の情報源を認知しておく

ということを意識していました。
以下に詳細を書いてみます。


①話題の転換点だけは聞き逃さない

これが一番難しいですが、逆を言えば、これさえできれば随分と楽に構えられるようになるのではと思います。

転換点が現れるパターンとしては、「あ、そういえばあの○○について~」などと非常にわかりやすいものもあれば、いつのまにかスルッとすり替わっていることもありますが、

特に後者の見分け方について、

  • 一つのテーマについての議論が長引けば長引くほど、誰かが話題をすり替えるタイミングを狙っている可能性が高い

  • それぞれの話者の普段からの話し方の特徴を意識的に捉えようとする(例:Aさんはある話題を思いつくとそれまでの話題よりも新しい方に意識が向きやすい)

上記の点を意識しつつ議論を聞くようにすると、今やんわり話題が変わったな、という空気を察する能力が身につきやすくなります。

②わからなくても聞こえた単語と発話者だけはメモする

これは読んで字の如くです。
わからない時や焦っている時ほど、会話内容をできるだけ書き留めようとするのではなく、誰が話しているのか・どんな単語や動詞を連発しているのか、をメモしておくと、自分も楽ですし、後から検索したり誰かに聞いたりする時も、思い出しやすくなります。

③事前に最低限のフォーマットを準備しておく

こちらもそのままですが、最低限以下の項目をフォーマットとして準備しておき、事前に埋められる項目は埋めておくのがよいです。

・日時
・会議名
・参加者
・アジェンダ
・各アジェンダごとの議論枠
・ネクストアクション(または まとめ)

この時、前回の議事録をコピーして新たなファイルを作成すれば、参加者や会議名を入れなおす手間が省けますし、なんとなく前回の議論の内容や結果にも目を通すことができます。
前回は何が未解決で、今日は何が議題になりそうか、ぼんやりとだけでも想像してみると、会議中の力抜きポイントがよりクリアになってきます。

④会議以外の情報源を認知しておく

例えば、会議が登録されているカレンダーの参加者、自分がccに入っているメールの内容、チャットの動き、前回の議題、etcなどなど。

固有名詞が聞き取れなかったり、話の脈絡がいきなり飛んだり、
自分だけが知らない話題が続きから始まったり、そんなことはしばしば起こりますが、、、

いちいち会議に割って入って確認もできないし、
終わった後に細かく参加者に確認したりするのも時間がかかって大変です。
(初めのうちは、上司や先輩が内容確認のための時間を作ってくれることもあるかと思いますが)

事前に、会話内容にまつわる情報を持ってこられる場所を最大限把握し、
なんなら会話が停滞しているタイミングでそれらを巡回・宝探しができれば、効率は一気に上がるのではないでしょうか。


以上、4つほどのTipsを挙げましたが、これらの「コツ」をなるべく意識しすることで、四六時中気を張らずに緩く長い集中力でポイントを押さえた議事録作成ができるようになるのではないかと筆者は感じています。


議事録って、人間がやるべき仕事?

実質、技術進歩によって議事録を毎回人間がとるという構図自体は、
今後ますます失われていく傾向にあると感じます。

最近は会議用文字起こしツールもあり、導入するだけで勝手に会話を
議事録のフォーマットに当てはめて作成してくれるものも存在します。

筆者も無料のGoogle拡張機能を利用してみましたが、現時点では少し精度が低いものの、自分が議事録要員として不要になる未来もそう遠くはない、と感じました。

ただ、どうせなくなるからといって、聞こえたものをただ機械的に、
半ば集中力散漫気味に書き留める必要もないと感じます。

社内外様々な立場が交差するコミュニケーションにおいて、
双方の意図や言葉の本意は、たとえ会話内容が理解できていなかったとしても、
第三者的に会話をみつめている自分の位置からは意外と鮮明に見えてくるものです。

また、文字に起こすことで、それ以前の会話とのチグハグな部分を把握したり、
はたまた参加者の誰が内容を理解していて、誰があまり参加していないか、
チームの関係性やメンバー一人ひとりの実情がなんとなく見えてくるのも、
議事録係の面白さの一つです。

これらの第三者的な俯瞰スキルを身に着けられることは、
まさに議事録係が持てる特権
ではないかと思います。

実際自分が会話の中に入る立場としてコミュニケーションを行うことになった時、
ここで培った俯瞰スキルが、業務や提案の方向性検討などに役に立つ未来も
あるのではないでしょうか。

“誰にでもできる仕事”、”いち早く人間以外に任せるべき仕事”とはよく言われますが(否めない節もあります)、
とにかく自分がこのタスクをすることで得をする”何か”を見つけておくことは、どんなタスクに対しても有効なモチベーション維持手段だと思います。

全てのタスクにおいて無理にモチベーションを上げる必要はないと思いますが、どうしても機械的 / 思考停止的になりがちなタスクほど、意外な学びをゲットできるものかもしれません。


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