第九章 再修羅場⑨

「梨紗の顔の傷は……」

「一哉はあたしの事、信じてないの?信じてくれないの?!あたしは、何も知らない!濡れ衣もいいとこよ!それなのに、あの女あたしに酒ぶっかけて、皆の前であたしを引っぱたいたのよ?!」

今度は、眼を丸くしてあたしを見つめる一哉。

やっぱり、やり過ぎた?

ペロッと舌を出して、肩をすくめてみせる。


「……梨紗は、一緒消えない傷を顔に残す事になったんだぞ?安奈は分かってるの?それがどれだけ重大な事か」

「一哉!」

「今日、安奈店に来て。あと、梨紗を襲った女も連れてきて。オレからの頼み、聞ける?」

「……分かったわ」

それで、電話が切れた。


「一哉、すごおい!あの安奈が黙って言う事聞くなんて……」

「梨紗、安奈に酒ぶっかけて引っぱたいたの?」

「ごめん……やり過ぎた?」

「いや、すげーウケた笑。気、強過ぎ!まあ、そんくらい気が強くなくちゃオレの女ではいられないからな」

ご機嫌そうにそう言って、あたしの頭をいい子いい子するのだった。


「よし、じゃあ今日は梨紗もスーパーライト来るから、思いっきりオシャレして!」

「……は?」

「決まってんじゃん!何の為に安奈達呼ぶと思ってんの?ちゃんと謝らせるから、ね?!」

「分かった……」


またスーパーライトへ顔を出すのは、気が重かったけれども。

そして、一哉が五万円を手渡してきた。

「意味分かる?それ以上遣ったら怒るよ?」

だって。

はあい……。

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