第八章 傷⑨
「ミッチー、鈴にもうアレ渡さないで」
「鈴が怒るよ。もうオレらに関わるなって。梨紗には悪いけど、もうHEARTYには出られないかもな、鈴は」
しばらく見ない間に、確かに鈴は痩せていた。
というよりも、こけているっていう方が近いかもしれない。
「どんだけ鈴にクスリやらせてるの?」
「オレらは遊ぶ程度だけど……鈴は止まらないみたいで、結構量多い」
「……」
充だけを責める事はできないけれども……。
許せない。
「あれえ?充、この人日向梨紗?」
振り向くと、ギャル系の女の子達がいた。
「そだよ。梨紗、コイツらオレのダチ」
「梨紗ちゃんだあ!握手して♪」
なんて言われて……。
それどころじゃないってのに。
「梨紗、何か飲もうよ♪」
「……鈴」
そして、ビールで鈴、充、充の友達とやらのギャル達と乾杯をした。
鈴は、そのままフロアへとフラフラと踊りに行ってしまった。
はあ。
警察?なんて、自分の友達を売る事などできるわけがない。
じゃあ、どうしたら鈴を止められる?
「梨紗ちゃん♪うちらと一緒に飲もう!」
「今日は仕事休みなの?」
「うん……そうだよ」
ギャル達は煽るように酒を勧めてくる。
何か……おかしかった。
え?
何、これ。
クスリ?
睡眠薬?
充……。
鈴……。
どこ……?
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