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第八章 傷⑦

あたしはHEARTYの撮影の為に、いつもよりも早く自宅を後にした。

一哉は、あたしの隣でスヤスヤと眠っている。

行ってくるね、一哉。

一哉を起こさないように、静かに寝室を出る。


そして……。

原宿。

「典子!」

「梨紗!おは♪」

「あの……鈴と充は?」

「てかさ!今日、来ないみたいだよあのお二人さん」

「え……どうして?」

「さあ。こっちが事情聞かれてさ。あたしも分かんないって答えたけど」


鈴……。

大丈夫なの?

撮影にも出られないくらいに覚せい剤をやっているわけじゃないよね?


今日は、『ワンピ特集』だ。

当然の事ながら、ワンピを代わる代わる着用する。

ワンピはすごく好きで、普段もワンピを着ている事が多い。

三着もお買い上げしてしまった。

スタイリストさん、ありがとう♪


撮影帰り、典子と二人で居酒屋へ。

「で、どうなの?梨紗、最近」

「最近ねえ……へへ、まあ」

そうして、部屋に一哉を一人残してきた事を今更ながらも思い出した。

「あ、典子ちょっと待ってね。電話しなきゃ」

一哉にすぐさま電話をかける。


「もしもし、一哉?」

「おはよ、梨紗……」

「あら、まだ寝てた?」

「うん……やば、もうこんな時間?今日同伴だから、急いで帰って支度しなくちゃ」

「そか、頑張ってね」

「梨紗、起こしてくれてありがと♪昨日の話……今日、また話そうね。仕事終わったら、また梨紗ん家来るよ」

「……うん、分かった」


へへ……。

思わずにやけてしまう。

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