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BIT VALLEY 2019に参加しました!

9/13〜14の二日間に渡って渋谷ヒカリエにて開催された、BIT VALLEY 2019 に参加してきました!

BIT VALLEY とは?​

モノづくりは、新たな領域へ
テクノロジーとクリエイティビティが交差する世界

人の心を動かし、世界中が驚くような素晴らしいサービスやプロダクトを世に送り出すためには、テクノロジーとクリエイティビティはもちろん、ビジネスやマネジメントなど、多角的な要素の融合が不可欠になりました。そして、モノづくりはあらゆる産業でITとの交差が進み、新たな領域に突入しています。「BIT VALLEY 2019」は、技術だけでは成しえない、人の感性に訴え、共感を呼ぶサービスを創造するために必要な、気づきを得られるカンファレンスイベントです。
(引用: https://bit-valley.jp/2019/)

主に学生、若手に向けたカンファレンスイベントです。
昨年の開催ではエンジニア向けだったものを、今年は「モノづくりは新たな領域へ」をテーマに、より幅広い知識を得られる場になりました。

Alexaを活用した音声ゲームの可能性

畠中 俊巳さん(Amazon.com)

Alexaで音声ゲーム…?(ピカチュウトークくらいしか思い浮かばない)
セッションタイトルに興味を持ったのと、ちょうど我が家で埃かぶってたAlexaさんを活用すべくスキル開発に手を出し始めたところだったので、こちらのセッションに参加してきました。
やー面白かった!Alexaスキル開発はブルーオーシャン!!

まずは音声UIの未来についてのお話。
大体10年くらいでUIは凄まじい進化、変化を遂げていて、これからは(もうすでに)音声UIがメインUIの1つになるだろうと。
なぜなら、音声が一番人間にとって自然(=ハードルが低い)な動作だからです。
例えばテレビを操作するとき、リモコンの使い方を知らなければまず電源をつけることすらままならないですが、「電源を入れたい!」と言葉にすることはできます。
「人がコンピュータに合わせる」から「コンピュータが人に合わせる」ことを可能にするのが音声UIの強みであり、Alexaが目指す未来とのことでした。

次にAlexaが使えるデバイスはどんどん増えているよ、というお話。
Alexa Echoはもちろんのこと、Fire TV、Alexa App、またWindows10でもインストールすれば使えるそうです。(コルタナさんから置き換わるそうな)
サードパーティのデバイスにも続々と入っており、家電や家に標準で付いてる!そんな未来を目指しているそうです。Alexa Everywhere!

そして本題のAlexaを活用した音声ゲームのお話。
日本のAlexaスキルの数は3,000くらいなのに対し、世界ではすでに80,000ほどあります。
そんな世界でも、特に音声ゲームはまだまだ始まったばかりの試みで、皆で模索している段階だそうです。
USではAlexaを使ったボードゲームが大ヒットしたそうで、こちら。

嘘をついている人を推理する人狼的なボードゲームで、不気味なBGMをいいタイミングで流したり、ドアを開ける音を流したり、と音声ゲームならではの演出が新たな体験となり、ヒットしたそうです。

音声ゲームならではの演出…BGM以外にあるかなぁ、とパッと考えつかなかったのですが、あとでAWSのブースの方とお話しした際に、「サッカーゲームで監督の指示を声でできたりしたら面白くないですか」と仰ってて、あぁそんな手もあるな!やれることめちゃくちゃありそうだな!とワクワクしました。
すでにThe Division 2というゲームではAlexaに「装備をAのセットに」と声をかけるとゲームキャラの装備が切り替わったりと、コントローラーと声の両方で操作する体験できるそうです。
(日本は未対応?先ほどAmazonでAlexaスキルを探しましたがなかった…)

最後に実際にAlexaとユーザの会話を想定してみるワークショップが行われましたが、これが意外と難しい。
画面がないので、ユーザには Yes / No で答えられる質問形式で投げかけるのが基本になりますが、全てがそういうわけにはいきません。
しかしユーザの自由発言を許すと、当然想定外な発言が出てきます。
「よくわかりませんでした」と返され終了〜な経験は、誰しもがあると思いますが、ユーザ体験としては最悪の部類です。
ユーザが自由に発言できる場合、何を言われてもそれなりの回答を返し、思い通りのルートへユーザを音声だけで導く必要があるのが、音声UIの難しさであり、面白さでもあり、それを実感できるワークショップでした。

ITトップが考えるモノづくり対談

川邊 健太郎さん(ヤフー株式会社代表取締役社長 / CEO)
舛田 淳さん(LINE株式会社取締役 / CSMO)
守安 功さん(株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役社長 / CEO)
山口 周さん(独立研究者 / 著作家 / パブリックスピーカー)

強い。
特に今をときめくヤフーさん、最初から突っ込まれてました(笑)

対談形式でトップの方々の考えを聞ける機会もそう多くないので、とても刺激的でした。
特に興味深かった発言だけ箇条書きで。

<今と今後のIT業界について>
・IT / リアルの境界はなくなってきた、もはや全ての業界・産業がインターネットをどう活用するかという時代
・かつてITで出来るだろうと思い描いたものがこの10年20年でようやく実現できた
・一方で、インターネットの縮まりも感じる。プレイヤーが固定化され、インターネットの際が見えてきた
・では今後どうする?→VR・MR...土地がないなら広げてゆくのみ
・再びくるカオスな世界で、プレイヤーがどんどん変わってゆくだろう
・プレイヤーになるのは、今までどれだけやってきたか、ではなく、先に飛び出した人
・「ネット屋がやる○○事業」と「○○屋がやるネット事業」だったら前者が勝つだろう
・なぜなら、ネット屋の方が本質的。○○屋は背負いすぎている
 →例として本屋を上げていました。
  本屋がやるネット事業は、リアル店舗の売り上げどうするんだ、などしがらみがたくさんあるのに対し、ネット屋がやる書籍事業は最初からアクセル全開でいける。元本屋勤めとしては悔しいほどよくわかる…。

<経営者としてのモノづくりの考え方>
・本質を見極めること。合理的に見える今のやり方あり方を、本当に合理的かと見つめ直すことが大事
・指標は「ユーザニーズに適うかどうか」それだけ
・ゲーム業界はユーザニーズも人それぞれで、合理性を求めるのは難しい
・ゲーム業界は最終的にはプロデューサーなどトップの意思と勘が必要な世界
・業界問わず真善美の判断は経営者がするべきで、それが出来る人が経営者であるといい
・失敗が許されやすいのがネット業界の強み
・新しいことに挑戦するのに成功するかどうかなんて誰にもわかりはしない
・世の中だっていいことはなんとなく覚えていても嫌なことは覚えちゃいない

<若者へのメッセージ>
・踏み出すことにピュアであれ
・今までこうであったから、を気にしすぎない
・やり直しはいつでもできる
・好きで楽しいことをやっている人には勝てない。好きで楽しいことを仕事にするべし

「デザインスプリント」最新手法。すべての人を巻き込む。良いものを素早く作るために。

安藤 幸央さん
(株式会社エクサ UXリサーチャー / デザインスプリントマスター)

デザインスプリントとは、から実際の手順やコツなどを伝授してもらいました。
デザインスプリントとは、Googleがスタートアップを支援する組織GVから広まった手法であり、短時間でよりよい成果を生み出す手法です。
デザインとありますが、デザイナーに限らずあらゆる人があらゆる事柄に対して利用することができます。

実際の手順は以下の流れで行います。
・5人程度(3〜7人)でチーム分け
 チームメンバーは出来るだけ多様性を持たせることが大事

・それぞれどの立場で考えるのか役割分担

・すぐにディスカッションではなく、まず個人で考える時間を取る
 個人で考える時間と、多様性を生かして相談する時間を交互に取ることが最大のポイントで、こうすることで、アイデアは出るけどディスカッションは苦手、アイデアは出ないけどディスカッションは得意、といった両方のタイプの人を活かすことができる

・締め切りを設定する
 時間を設定することで全力を出せる

・解くべき課題を見つけ出す
 アイデア出しにはポストイットを使用
 気の利いたアイデアを少し出すことよりも、くだらなくてもとにかく数を出すことがコツ
 書くことこそが正義

・投票
 ドット投票・・・意見が可視化される
 禅投票・・・声の大きい人に引っ張られずにすむ

・プロトタイプ作成
 一部分だけでもいいので人の役に立つものをプロトタイプにすることで本質が見えてくる

・検証

大企業の方がリミッターがかかりにくい、というお話がなるほどでした。
一見大企業の方が身動きが取りづらくなりそうなものですが、予算がある分アイデアの幅は広がるそうです。
逆にスタートアップの方が、予算という現実に無意識に縛られてしまい、アイデアのリミッターをかけてしまうと。

また、個人で考える時間とディスカッションの時間を交互に取る点が純粋に良いなと感じました。
どうしてもディスカッションだと声の大きい人主導で、限られた人だけのやり取りになってしまいがちですが、アイデアを出す人、会話することでアイデアを広げる人、全員を無駄にしないよいやり方ですよね。デザインスプリントに限らず、これは取り入れていきたいです。

執念とこだわりで社会を変える
あるプロダクトマネージャーの試行錯誤

及川 卓也さん
(Tably株式会社 代表取締役 / Technology Enabler)

聞けば聞くほどPMって求められるもの多すぎなのでは・・?と感じてしまうセッションでした。

・BTCモデルのバランスが事業にとって大事
ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ、三軸のバランスをよく、ユーザ体験を大事にし、収益も上げる・・・
企業によっては欠けている立場があることもあり、それを埋めるのがPM

・PM, EM, E のそれぞれの役割
PM・・・WHAT, WHY, WHEN
EM・・・WHO
E・・・HOW

・企業としての理念を元にロードマップを立てる
開発中にビジョン、ミッションがブレることがたくさんある
期間が伸びてきた、何か引かなければいけない時、何を引いてもいいのかの判断

つけすぎた知識(技術、事業ドメイン)はイノベーティブなアイデアの思いつきを阻害するのにも注意

・PMに一番必要なものは人間力
人間力・・・パッション、ロジカル、信頼
PMは信頼貯金をいくら持っておくか

・PMの認知は広まったが、調整役で終わっていることがある
調整役、それはプロジェクトマネージャー
チームは皆平等であり、全員で進める、その中心がPM
プロダクトへの愛、誇りを皆が持つこと

PMに人間力が大事なのはよくわかりますが、よほど技術を磨けと言われる方が易しく感じてしまいます。
企業に欠けている立場の知識を身につけなければいけない、一方でつけ過ぎてもだめ・・・とてもPMに足を向けて寝られません。偉大すぎるでしょう。

アイデアの20年

佐藤 オオキさん(nendo代表 / デザイナー)
松原 亨さん(POPEYE編集長)

このお二人のやり取りが本当に面白かったんです!これが聞けただけでもイベントに参加した意味があったなと感じます。
特にデザイナーの佐藤さん。息をするようにアイデアというか、佐藤さんの視点から見える興味深い気付きが発言として出るんです。こういう人こそがザ・デザイナーなんだなと肌で感じました。

・使い勝手の良さとはなんだろう
一般の人にとっては、初めて使うときに使い方がわかること
専門家にとっては、最初は使い方がわからないけれども、使い込むうちにはなれられなくなること
要は使う人のスキルの違いによって変わってしまうので、全ターゲットは地獄
ある程度魅力的な製品・ブランドだと使う人が合わせてくれることもある(Apple製品とか)が、それに果たしてデザイナーが甘えていいのか?

・デザイナーの守備範囲の広がり
高級なものだけでなく、量産品にもデザイナーが入るのが普通になってきたころで、日常に溶け込むデザインが大事になってきた
また、カタチではなくコンセプトやプロセスに重きが置かれることが増えた

・クライアントとは対峙しない
一緒に見て、ダメ出ししやすい空気をいかに作るか
(どうですかこれ!いいですよね!!だとNOが言えず、最終的にポシャり易い)
説得はできても納得はできないもの

・コンセプトとは見方のこと
本質を見る力、当たり前を考え直す力が大事
今までにないものを生み出す時、当たり前はバリアになる
デザインは決して特殊な考え方ができないとだめ、ではなく、当たり前を疑う目で日常を楽しむこと(NOT否定)が必要

最後に、デザインには当たり前を疑う目で日常を楽しむことが必要、とありましたが、まさにそれを体現しているのが佐藤さんでした。本当に一つ一つの発言が、見方が違うことを感じさせるんです。
実際にデザインして、採用された案、ボツになった案なども見せてくださり、最終的には時間オーバーで運営ストップが入るほど、盛り上がったセッションでした。

まとめ

2日目はワークショップ中心だったため割愛しましたが、1日目だけでこのボリュームです。大変満足です。
主に学生向けのイベントではありますが、体感で2、3割ほど社会人もいましたし、セッション内容も十分聞き応えがあるものだったのでよかったです。来年もセッション内容を見て参加を決めたいです。(いつまで若者って言っていいのでしょうね)
とは言えこれを学生のうちに見られるのは正直羨ましいです。社会に出る前に、一流のトークを聞けたり、最新の手法を知れたり、学生のうちにこれらが得られる機会は中々ないのではないでしょうか。
IT・デザイン業界に進む可能性があるのであれば迷わず参加してほしいイベントです。本当に羨ましい!(笑)

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