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最近見たもの読んだものの話をします

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映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」(2019)

映画に対する愛に溢れた作品だった。そして監督やその周りの方々の、映画の力を強く信じる気持ちに勇気づけられた。映画は素晴らしいエンターテイメントであると同時に、未来ある希望のコンテンツだと思い知らされ、何とも幸せな時間を過ごした。 過去の大林作品に出演した人々がオールスター感謝祭よろしく次々登場することや、「HOUSE」や「花筐」にも見た要素(自由で奇抜なモンタージュ、絵画かと錯覚するようなコラージュ的なカットなど)をまた見られることも楽しい。大物俳優をちょっとした役で使って

    • 映画「青春デンデケデケデケ」(1992)

      少し前に映画「さびしんぼう」(1985)を観て以来、遅咲きながら大林宣彦作品の魅力にすっかり取り憑かれている私だ。「転校生」だとか「時をかける少女」、最近で言うと「花筐」だとか、代表作はぽつぽつ観ているが「さびしんぼう」は特に、スタジオジブリ各作ばりに心の琴線をガシッと鷲掴みにして離さない。(「さびしんぼう」についてはまた別の記事で書きたいところ) 「もっと大林作品を観たい・・・!観ないといかん!」と武者震いする最中、ありがたいことに目黒シネマで特集上映があったので足を運ん

      • 「うちで踊ろう(大晦日)」の話

        12月31日大晦日。NHK紅白歌合戦を見ていた。大好きな「うちで踊ろう」に2番がつくられたと聞き、楽しみにしていた。いざ演奏が始まると、わたしはある情景を思い出していた。 2020年の前半。ひとりで暮らす東京1Kの無機質な部屋。ご飯をつくって、洗濯して、お風呂を洗って毎日浸かって、うっすらとした寂しさと苦味にも似た不安を押し殺しながら、"生活"をただひたすら続けた日々のこと。 何でもないふりをして、でも今思えば一生懸命だった。毎日必死に生きることを続けた。当たり前のこ

        • 映画「コロンバス」(2017)

          ひたすら建築写真を眺めているような、静謐かつ贅沢な作品だった。モダニズム建築にはあまり明るくないのだけど、どこまでも続いていきそうな水平線、なめらかな曲線、見ていて心地良いほどの直角などといったモチーフが繊細に織りなす“建築美”には、やはり思わずため息がもれる。 実際その場へ赴き、自分の目で確かめてもきっと感動するだろう。しかし映像だからこそ堪能できる美しさや佇まいが確かに感じられた。映像という表現ならではの観客のまなざしを制限する暴力性が、この作品ではむしろ効果的に働いて

        映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」(2019)