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観た映画の感想 #45『aftersun/アフターサン』

『aftersun/アフターサン』を観ました。

監督、脚本:シャーロット・ウェルズ
出演:ポール・メスカル、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール、他

11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらせてゆく。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/98881/

少し前に観てはいたんですけど、気づけばそれなりの時間感想を寝かせてしまっていました。というのも、好きなんだけど、どう好きなのかを言語化するのがすごく難しい映画だったからなんですけど。

例えば、旅行中の出来事が映し出されていく”普通の映画的な”シーンの間にビデオカメラで撮影されたホームメイドな映像が挿入される形で映画が進んでいくわけですけど、それはビデオカメラの映像は大人になった”現在の”ソフィが観ている映像で、それ以外のシーンはビデオには映らなかった行間の部分、ソフィがビデオの映像を頼りに記憶を辿ったり想像を巡らせたりして作っている部分だということがだんだん分かってくる。そういう「この映画はこういうルールで進んでいきます」っていうのを、説明もなく理解させる手腕がものすごく上手かったんですよ。

構造的にはソフィが頭の中で作っている映画を一緒に見せてもらっている、という映画なのかなと思います。カラムが一人思い悩んでいる場面とか、11歳当時のソフィには見えてない部分もいくつもあるけど、それは今思い返すとこういうことだったのかな、という想像だったり。

勿論主演の二人、ポール・メスカルさんとフランキー・コリオさんの演技も抜群に良かった。特にフランキー・コリオさんはこれがデビュー作なのが信じられないくらい自然体でソフィとしてそこに在ったし、撮影を通して実際にキャスト同士が家族のように仲が良くなったという関係値も劇中のカラムとソフィの関係ににじみ出ているような感じがして。

でも僕がこの映画に感じている良さってそういう構造の巧さとかテクニック的なところとは別なところにあるような気がしていて、そういうことを喋れば喋るほど受け取ったエモーションがこじんまりとしてしまうような。だから「この映画に関してはあまり感想を言いたくない」ってなってしまうんですけど。

行間を読めという言葉がありますけど、そこって形にしづらいものじゃないですか。そこに存在感と重みを与えている映画なのかなーとも思います。うーん、やっぱりちょっと厳しいか?

とにかく余韻がすごく長く尾を引く映画なので、いろんな人に観て感想書き連ねて欲しい。僕はいまだに引きずってます。


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