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【書評】「フーガはユーガ」温かくて切ない双子の物語

伊坂幸太郎の新作「フーガはユーガ」を読み終えました。
僕の中で伊坂幸太郎ブームが来ていたこともあり、即購入。

職場の人からは「ちょっと変わっているよ」と聞いていたのでワクワク。
伊坂幸太郎さんの小説って面白いのはもちろんですが、タイトルがキャッチーで良いんですよね。。しかも読後にそのタイトルに立ち返ってまた色々考えさせられるという。。。


フーガはユーガのあらすじ(自作)

ネタバレはしたくないので話の中核には触れないとして、
どんな話かざっくり紹介できればと思います。
*話の概要レベルでも向き不向きがあると思うので少しでも参考になれば🙏

物語の主人公はとある双子の話。
彼らの名前は優我(ゆうが)と風我(ふうが)。毎年誕生日になると不思議な現象が彼らの間に起きます。その現象に興味を持ったテレビ局のディレクター高杉に優我がこれまでの人生を語っていく場面で物語は進んでいきます。。

めちゃめちゃオブラートに包みました笑
一見、ストーリー展開の少なそうなあらすじですが、読み終えた時には「うわ、、また伊坂幸太郎にやられたよ」って感想でしたね笑

伊坂幸太郎さんは、伏線の張り方が絶妙でついつい癖になります。
伏線に関しては「ゴールデンスランバー」が天下一品なのでこちらもおすすめです。

本作に関しては、他の伊坂幸太郎作品のように視点がコロコロ変わることはないので比較的読みやすい方なのかなと。


感想

職場の人に「最近の伊坂幸太郎作品はメッセージ性が強い気がする」と言われていたのですが、全く同じ感想を持ちました。

「ゴールデンスランバー」や「マリアビートル」といった人気作品は爽快感溢れるサスペンス!ザ・エンタメって感じがするのですが、本作「フーガはユーガ」は読了後も色々と考えさせられることがあります。


小説の内容とは関係がないのですが、解説パートで素敵な表現を見つけたので最後に書き残しておきます。

著者には小学生時代、恩師の磯崎先生から教わった忘れられない言葉があるという。~中略~
「磯崎先生が言うには、にんべんに「憂」と書くから、人の嫌な気持ちを分かってあげるのが本当の優しさなんだ、って。別に親切なことをしなくても、人の嫌なこと、つらいことを分かってあげるのが優しさだというのがちょっとしたカルチャーショックだったので、初期の『ラッシュライフ』でパクって泥棒に言わせているんです。


優しい人の定義はそれぞれだと思いますが、表面だけ優しいだけで実は寄り添っていない人って結構いるな〜と。本人が優しさのつもりで行動していてもその人を傷つけることもありますからね。。

突き詰めれば本当に優しい人ってその人の嫌な気持ちがわかる人。共感できるフレーズですし、今後も心に留めていこうと思えました。





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