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豊岡に住み着くまでの記録 #3

4月30日から一泊で豊岡を訪れた。
主な目的は城崎国際アートセンターで行われる公演を観ること。前日にその公演の予約をし、宿を取るといういつも通りの計画性の無さ。

鈍行で姫路から城崎に着いたのは既に夕方、少し急ぎ足でアートセンターに向かう。城崎はゴールデンウィークということもあり、温泉目当ての観光客で賑わっていて、なんだか嬉しかった。
公演も思ったよりたくさんのお客さんが入ってた。
観劇を終え、アフタートークもあり、劇場を出た時にはもう9時近くだったと思う。まだ晩御飯も食べていなかった。日が落ちると一気に冷えてきて、薄着だったので肌寒い。ここで、城崎の温泉旅館に帰って、美味しいご飯を食べて、温かい湯に浸かれれば完璧だったが、何しろ宿を予約したのが前日だったので、ゴールデンウィークにそんな温泉宿が取れるはずもなく、電車に乗って江原の宿へ帰った。しかししかし、江原に着いたのは10時頃、何かご飯が食べられるお店が1つくらいはギリギリ空いてるだろうと思ってたのに!真っ暗!コンビニまでも駅をまたいで15分位かかる!寒い!お腹激ペコ!という事態におちいり、最終的に僕は江原駅前で唯一紫の輝きを放ち、カラオケ音が漏れてすごく賑やかなスナックに勇気を出して入店したのであった。店内にはお客さんが7人。カウンターでお酒を飲みながら、カラオケを歌ったり、スナックのお姉さんと話したりしてた。僕はビールを飲みながらツマミのおかきやらナッツやらをボリボリ食べて、なんとか飢えを凌いだ。

お姉さんは僕が晩御飯を食べてないと話すと、ツマミを多めに持ってくれたし、いきなり1人でやってきて、ビールしか飲まない若輩者の僕にも優しく話しかけて、僕の話も聞いてくれた。いいお店だ。カラオケは近隣の住民との約束で11時までと決まってるらしい。いい街だ。
しばらくして隣の2人組の会社員らしい人が話しかけてきてくれて、城崎に演劇を観に来たこと、今、演劇を学んでいること、将来豊岡に住んでみたいと思っていることを、話すとえらく感激した様子で、「カッコええわ〜、一緒に豊岡盛り上げましょう!」とご機嫌だった。聞けば今豊岡は移住したい街ランキングで1位らしい。今調べてみたところ宝島社の「第10回住みたい田舎ベストランキング」で、兵庫県豊岡市が、近畿ブロックの「若者世代・単身者が住みたいまち部門」で1位に選ばれたのは本当だった。自分と同じことを考えている人は多いみたいだ。さらに冗談交じりで豊岡ば全国で1番税金が高いということも教えてくれた。今調べてみたところ、ネット記事では住民税が高い市町村第2位が豊岡市となっていた。不思議!税金が高いのに移住したい街、豊岡!というのは地元人の間でお決まりの笑い話っぽい。

ま、とにかく、そんなこんなでなんとか飢え死にせずに済んだとはいえ、僕は少し反省した。田舎が好きで、移住したいという割に、田舎での過ごし方がなってないな、と。計画性のない旅が好きだとは言っても、その土地で流れている時間をちゃんと分かって旅はしなくちゃいけないと思った。別に電車を30分以上待つのも空気が美味けりゃ苦じゃないし。夜10時に店が開いてないのもみんな寝るんだから、当たり前のことだし。コンビニまで10分かけて歩くのも天気が良ければ気持ちいい。自分が今どこにいるのか、そこにどういう時間が流れてるのか、そこの時間に逆らわず過ごす準備はあるか。ってことを考えないと。当たり前のことだけど、田舎のそういうとこが好きなんだし。なんだかんだ僕の中には東京生活で身に付いた都会の感覚が結構強くあるのかもしれない。

次の日僕は、朝はコンビニまでゆっくり歩いておにぎりをたべ、ゆっくり電車を待って再び江原から城崎へ移動し、ゆっくり温泉に浸かって温まり、温泉プリンと妹への誕生日プレゼントを買って、ゆっくり帰りました。

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