事実と真実

最近ふと「ミステリと言う勿(なか)れ」というドラマを見ました。
この中で印象に残る言葉があったので紹介します。

「事実と真実は違う」

特に言葉というものはある種の抽象化をすることで、効率的に他者と認識を効率的にすり合わせることを可能にする道具だと思っています。

では、この事実と真実の違いはなんでしょうか。
詳しい意味は辞書などで調べてもらえばよいのですが、私は簡単にこのように理解しています。

事実・・・客観的なもの
真実・・・主観的なもの


例をあげます。
「テレビCMを打ち、○○という商品の認知度は70%と高いものとなり、テレビCMは成功したといえます」
割とよくある会話なのではないでしょうか。

これを要素分解すると、
「テレビCMを打ち(事実)、○○という商品の認知度は70%(事実)と高いものとなり(真実)、テレビCMは成功した(真実)といえます」

このようになります。

この段階での解釈はテレビCMを打った結果、認知率は70%になったが、それが高いのか、成功なのかはまだ判断がつかない、というくらいが妥当でしょう。

例えばこの商品がコカ・コーラであった場合、確か90%ほどの認知率があるので、テレビCMの認知率UPの施策は大失敗ということになりますし、傷口を広げないためにさらなる投資は避けたほうが良いように思います。

ここでの真実は"評価"や"解釈"と言い換えることができますが、これらは基本的に相対的なものです。

もう少し厳密にいうと、このテレビCMが「認知率向上を目的」とするならば、従来の認知率との比較が必要ですし、新商品である場合は競合商品との比較、まだ市場にないものの場合は認知率自体はあまり重要ではなく、テレビCMと実売数や売上との比較で高いのか、低いのかを評価する必要があります。

特に何かをジャッジする立場の人は、この事実と真実に違いには最新の注意を払うべきですし、何かを報告する立場の人もこの違いを理解し、とくに真実に分類される事柄については、「なぜならば」とセットで語れるようにしておかないと、ミスジャッジの片棒を担ぐことになります。

このようによく見過ごされる普段の会話の中にも、ミスコミュニケーションのような要素は地雷原のようにたくさん埋まっているので、
是非みなさんも注意してみてはいかがでしょうか。

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