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「インターンシップのエントリー数が前年比2倍超」ニコンの魅力の再認識と、“ファン”を増やすための採用ブランディングーcase.7 ニコン様

こんにちは、No Companyのマーケティング担当です。今回は、No Companyのクライアントインタビューをお届けします。第七弾は、カメラ製品をはじめとする、光学機械器具の製造、販売を総合的に展開されているニコン様です。

株式会社ニコンは1917年に設立され、長い歴史の中でデジタルカメラや精密機器などの幅広い事業領域に展開してきました。2030年のありたい姿として定めた「人と機会が共創する社会の中心企業」となるために、ファクトリー・エネルギー・ヘルスケア・ライフ&エンターテイメントの4つの価値提供領域に注力し、挑戦を続けています。

今回は、同社の人事部 採用一課長である古市典昭様に、採用改革プロジェクトの背景や実際に行った施策の成果、今後の採用チームとしての展望などについて詳しくお話を伺いました。

採用改革プロジェクトを開始し、マーケティング視点を取り入れた採用ブランディングに着手


——採用改革プロジェクトが立ち上がった背景について教えてください。

新中期経営計画の検討段階において、経営側では、社内の高齢化問題や将来を見据えた更なる事業成長に向けて、人材戦略の強化が重要課題となっていました。新卒採用に関していえば、最盛期と比べて本選考における応募者数が5分の1にまで減少していたので、従来の採用手法では求めている人材を獲得することが困難になっていました。

また、育成や入社後の活躍という面でも課題は多く、採用・育成・活躍の仕組みを抜本的に改善するため、2021年12月に採用改革プロジェクトが立ち上がりました。プロジェクト開始時、私は人材開発部に所属しており、プロジェクトメンバーとして関与していましたが、2022年3月に人事部に異動し、プロジェクトの中核として推進していく立場となりました。

——採用ブランディングの強化に向けて、従来の採用手法をどのように見直すべきだと考えましたか?

従来はカメラのブランド力で、他社との差別化や特別な広報活動を意図して行わなくても一定以上の候補者が集まる状態でしたので、多く企業が行っているような合同説明会や全国を回って大学別の会社説明会などを行うのみでした。ただ応募者数が年々減少し、22卒の新卒採用選考時には最盛期の5分の1程度の応募者数となった現実を直視し、これまでとは違う手法を用いながら、ニコンの良さを伝えていくことを、戦略的かつ積極的に行っていかないといけないと強い危機感を持ちました。

当社では、カメラ事業以外にも露光装置や医療、材料加工、宇宙関連など複数の事業を展開しているのですが、カメラのイメージが強く、ニコンの多面的な魅力が学生に伝わっていないと感じていました。まずは「ニコンはどのようにみられているのか」「欲しい人材がどこにいて、何を知りたいのか」を正しく理解し、ピンポイントで魅力を届けられるアプローチを行うために、マーケティング視点を取り入れ始めました。限られた予算をいかに効率良く使いながら学生との接点を増やしていくか、という視点でもマーケティングの考え方が凄く重要だと考えています。

学生が本当に欲している情報は何なのか?仮説を確かめるために「THINK for HR調査」を実施


——「THINK for HR調査」を導入した背景について教えてください。

ニコン=カメラのみというイメージを払拭したいという思いと、そのために何を伝えていくべきかの仮説は持っていたのですが、それらが本当に正しいかの確証は持てていないまま試行錯誤を繰り返していたので、その後の企画の裏付けに繋げる意味でも調査を依頼しました。No Companyさんのサービスを知った時には、既に新卒採用向けのX(旧Twitter)発信や採用HPのリニューアルなどの施策を走らせていたこともあり、今後のコンテンツ拡充だけでなく、既存施策を改善するためにもプラスになると考えました。

——アンケート調査ではなくソーシャルリスニングの実施を決めた理由についても教えていただけますか?

アンケート調査の場合、能動的に回答してくれる人は前向きで自分の意見をしっかりと持っている印象がある一方で、回答者の目的や温度感が様々なことから、現実を正しく反映した回答を集めるのは容易ではないと考えています。

今回の調査目的は「今の学生が本当に欲している情報は何なのか」を把握することだったので、世間の生の声を集計でき、市場における最新トレンドが反映されているソーシャル上のデータを活用することが最適だと考え、実施を決めました。また、他社の訴求軸や打ち出し方を、この調査を通して把握できたことも、今振り返ってみると「THINK for HR調査」を導入して良かったポイントです。

——もう1つの取り組みとして、ターゲットの学生に絞った媒体広告についても実施しました。こちらの実施背景についてもお聞きしたいです。

先程も少し触れましたが、限られた予算内で効果的な採用活動を行うためには、当社のターゲットである学生の目に留めてもらう発信を行うことが必要だと思います。ちょうど夏のインターンシップの応募者を募るタイミングでご提案いただいたので、昨年と比較してどのような変化があるかを確認したいという意図もあり、検証を兼ねて依頼しました。

社内の「当たり前」が対外的な 「魅力」 に。全社を巻き込み、意識をアップデート


——「THINK for HR調査」の活用で、どのような変化がありましたか?

「THINK for HR調査」の導入前、当社では「成長・挑戦」できる環境・制度や「人・働きやすさ」などのソフト面の発信よりも、「技術・品質の高さ」がアピールポイントとして強調されていました。採用チームとしては、前者の発信も重要であることを仮説として持ちながらも、当社が技術力で高い評価を受けてきた会社ということで多くの社員が技術面を誇りに感じていることを理由に、面接時や学生とのコミュニケーションにおいて後者の訴求軸に偏っていたのです。

調査を実施したことで、ソフト面の発信が想定していた以上に重要であり、他社と比べても発信が劣っていることに気付くことができました。また、社内では当たり前の文化として根付いていた、働きやすい環境や福利厚生制度などが、実はアピールポイントになるということを知ることができたのも非常に良かったです。全社一丸となって採用を推進しようという動きの中で、当社の魅力を改めて整理でき、「社内の当たり前をアピールする」ことの重要性を部門の垣根を超えて浸透させることができました。

調査結果を踏まえて整理できた強みや魅力は、既に会社説明会やXでの発信、面接・面談の場において活かされており、今後のコンテンツ拡充にも役立てていきたいと考えています。

ターゲット学生との接点作りを強化し、インターンシップの母集団を2倍増へ


——調査後に実施した媒体広告では、インターンシップの母集団に変化はありましたか?

効果があるか確信がない中での実施でしたが、結果として劇的に成果がありました。
まずは、インターンシップのプレエントリー数が前年比(22年度比)で70%増に繋がり、昨年は応募者が少なかった大学群の学生からの応募も激増しました。当社は東日本にしか拠点がないことから、例年西日本の学生にはあまりアプローチできず、応募も少なかったのですが、今回の施策を通じて西日本からも錚々たる大学の学生から応募が大幅に増えたことには驚きました。

また当社は採用全体の約7割は理系・技術系の学生が占めていますが、それらの学生からのインターンシップ本エントリーが前年比で約2倍になりました。事務系を併せた本エントリー総数は前年比2倍を遥かに超える結果となり、ターゲットを絞った広告の効果を非常に感じており、ご提案いただいた施策の導入を決めて本当に良かったです。

ニコンの“ファン”になってもらえるような体験を、採用活動を通して提供したい


——古市さん個人としておよび採用チームとして今後どのような採用活動を行っていきたいですか?

個人的には当社に応募してくれた一人ひとりの学生に、選考を通じて「面接が凄く楽しかったな」「良い人が多い会社だな」「この会社で働きたいな」と思ってもらえるような選考プロセスを構築していきたいです。そうすることで、もし最終的に内定に至らなかった場合でも、将来的に当社の “ファン” となっていただけ、お客様としてニコンの製品を購入してくれる人や、就職して何年か経ってから転職先として再度応募しに来てくれる人が現れると思っております。

実際にチームメンバーには私のそのような想いや考えを伝えているのと、チーム全体としても、学生と直接対話をする際のコミュニケーションをとても大切にしています。過去には面接官の印象や態度が良くなくて辞退されるケースもあったと聞いているので、我々が学生を「選ぶ」という意識ではなく、学生から「選ばれる」ために何ができるか、何をすべきか、という視点を持って、対面コミュニケーションも含めて採用ブランディングを推進していきたいです。

——最後に、今後の採用マーケティングの展望について教えてください。

今年は社員インタビューや採用HPのコンテンツを充実させる取り組みを進めています。その中で「成長・挑戦」できる環境や「人・働きやすさ」などのソフト面の発信を強化していくのに加えて、昨今就職活動における企業選びの軸として、学生が「社会にどれだけ役に立っているか」「環境にどれだけ配慮できているか」も重視する傾向にあるため、ヘルスケアやCO2削減、リユースリサイクルなどに当社の技術が活かされている事も積極的にアピールしていきたいと考えています。

また、今はとにかく学生の目に触れる機会を増やしていきながら、ニコンがどんな会社なのかを知ってもらい興味を持ってもらうことが重要だと考えているため、もちろん効率化や予算の使い方も意識しながら、新しい施策にどんどん挑戦していこうと思っています。

ニコン様で実施した施策について

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No Companyは「THINK for HR調査」によるデジタル・SNSデータ分析と、顧客の採用課題や目的、施策状況等のヒアリングをもとに、独自の採用マーケティング戦略を立て、ターゲット人材に選ばれるためのコミュニケーション施策を実行します。戦略策定~施策実行・PDCAまで一気通貫で全体を俯瞰した視点を持って採用プロジェクトに並走できることが特徴です。

「THINK for HR」の詳細や採用マーケティングにおける具体的なソリューション・実績について知りたい方は、下記URLよりお気軽にお問い合わせ下さい!

https://to.no-company.co.jp/l/1017452/2023-02-28/fvy


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