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MicrosoftとGoogleが、AWSのクラウド支配へ食い込む

いつもご覧いただきありがとうございます。

この記事は以下の2024年5月3日の sdxcentral の記事を意訳したものです。意訳後に記事についての考察を述べています。

Microsoft, Google eat into AWS’ cloud domination
(マイクロソフトとグーグル、AWSのクラウド支配に食い込む)


1. AWSとMicrosoftとGoogleが市場の2/3を支配

Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google Cloudは、2024年の第1四半期(1月~3月)に世界のクラウド市場を引き続き支配し、この3社で第1四半期にクラウドインフラストラクチャサービスに支出された760億ドルの3分の2を占めました。

Synergy Research Group(SRG)の報告によると、AWSは第1四半期の市場収益の31%を占め、最大の収益シェアを保持しました。このシェアは連続的には安定していましたが、2023年第1四半期の32%からはわずかに減少しました。しかし、AWSの全体的なクラウド支出は前年第1四半期から21%も増加したため、悲観する必要はありません。

Microsoftは最新の四半期で市場シェアを拡大したため、最も祝うべきかもしれません。SRGは、クラウドジャイアントのAzureプラットフォームが第1四半期に市場の25%を占めていると発見しました。これは、昨年同時期の23%、2023年末の24%からの着実な市場シェアの進展を続けています。

Google Cloudは昨年末の11%の市場シェアを維持しましたが、2023年第1四半期の終わりと比較して1ポイント増加しました。

「Amazonは市場で強力なリードを維持していますが、MicrosoftとGoogleは前年比で強力な成長率を示しました」とSRGは報告で述べています。「3社すべてが、過去2四半期で成長率の大幅な増加を見ました。」

3社のハイパースケーラーがデータエグレス料金を免除する最近の動きは、市場の競争の激しさを浮き彫りにしています。
AWS、Microsoft、Google Cloudもキャパシティ拡大に多大な投資を行っており、最近のSRGデータによると、AWS、Microsoft、Googleの3社で世界のハイパースケールデータセンターキャパシティの60%を占めています。

2. クラウド市場をリードするAWS、Microsoft、Google

SRGのクラウドインフラストラクチャサービス収益データには、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS)、プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)、ホステッドプライベートクラウドサービスが含まれています。SRGは、最初の2つが「市場の大部分を占め」第1四半期に「23%成長した」と指摘しています。

米国は依然として「断然」世界最大のクラウド市場であり、第1四半期に20%成長しました。この規模は、アジア太平洋(APAC)地域全体を上回りましたが、APAC地域は第1四半期に25%の成長率を記録しました。

全体の市場自体も過去12ヶ月で2830億ドルの支出に達し、SRGは強力な成長の継続を予測しています。これは、生成AI技術とサービスの影響によって支えられた「経済的、通貨的、政治的な逆風の緩和」を背景にしています。

3. クラウド市場の成長率の鈍化

「Synergyは、2022年後半から2023年の多くの期間にわたり、クラウド市場の成長率が異常に低かったことを報告しました。私たちは成長率が回復すると予測していましたが、それが今まさに見られます」とSRGの主任アナリストであるJohn Dinsdaleは述べました。
「年間換算のランレートでは、現在3000億ドル市場があり、年間21%の成長率を誇っています。市場はあまりにも巨大になりすぎて2022年以前の成長率には戻りませんが、市場は引き続き大幅に拡大していきます。今後4年間で市場規模が倍増すると予測しています。」

sdxcentral 記事の意訳については以上です。

この記事に関する考察

2024年第1四半期の結果、AWSの市場シェア率が、32%→31%(▲1%)、Microsoftが、24%→25%(+1%)、Googleが、11%→11%(±0%)と、MicrosoftとGoogleが、AWSの市場シェアへ食い込んでいることが明らかになっています。

Cloud Market Gets its Mojo Back; AI Helps Push Q4 Increase in Cloud Spending to New Highs(Synergy Research Group,February 1, 2024)

一方で、クラウド市場は、市場の大きさを含めて、全体の成長率は徐々に鈍化しており年間成長率は、21%まで落ち込んできています。

クラウド各社の成長率は、AWSが17%、Microsoftが31%、Googleが28%となっており、AWSの成長率がかなり鈍化してきている一方でMicrosoftの特に生成AIが群を抜いて成長しています。

また、IT業界では歴史的に"集約"と"分散"を繰り返しますが、クラウドのAWS一極集中(集約)は、そろそろ時代の終焉を迎え、クラウドのマルチクラウド化(分散)が始まったとも言えます。

特に、単純な IaaS や PaaS については、クラウド間の移行テクノロジーがさらに発達すれば、自社にとって、より最適なクラウドを自動で選択するサービスもリリースされてくると思います。
例えば、最も安価なもの、セキュリティが高いもの、稼働率が高いものなどによるクラウドの自動選択です。

また、日本国内でもコンテナの利用が増えてくれば、さらにクラウド間の垣根は低くなって来ると思います。

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