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麻酔の話 帝王切開の麻酔

僕の職業のお話しです。帝王切開の麻酔についてです。

この記事はできるだけ、やわらかい文章で書こうと思っています。だれかの役に立てばと思い、書くことにしました。

出産をひかえている方、家族の方へ

帝王切開の事なんて、あまり考えたくないですよね。痛そうだし、経腟分娩を予定しているし、出産に向けての準備だけで精一杯だし。

でも、予定外で帝王切開になることがあります。

その時に、産婦人科の先生は帝王切開のお話しします。産婦人科の先生と妊婦さんは、これまでの関係があります。信頼関係もあります。

でも、麻酔科はその時には初対面になります。お互い、緊張しますね。そして、妊婦さんと家族の方は麻酔科に質問をすることがほとんどできずに、帝王切開にこられます。

なぜなら、残されている時間が少ないことが多いからです。赤ちゃんの状態だったり、妊婦さんの状態だったり、陣痛の状態だったり・・・

帝王切開になる可能性はゼロではないから、少し麻酔科のお医者さんの話を聞いてみませんか?


予定帝王切開を伝えられている方へ 家族の方へ

傷みに対する不安、手術の不安など様々な気持ちがあると思います。

具体的な麻酔の方法は、担当する先生が最終判断されると思います。

全国で全員同じ麻酔をしているわけではありません。それでも、今のうちに少しだけ説明を聞いておきたいことがありませんか。

すごく真面目な話は、日本産科麻酔学会のHPをみてくださいね。
最終的な麻酔の方法は、担当の先生と相談してくださいね。

それを前提に麻酔について書こうと思います。

麻酔方法の種類の前に、先に「急に帝王切開になる時にどれだけ時間の余裕がないの?」ということを説明したいと思います。なぜなら、この部分が一番びっくりされるためです。

1、一番急ぐ時は、文字通り1分1秒を焦ります。僕の病院では、関係者全員が走り、息が切れながら準備をします。必要最低限の準備をできたら、1秒でも早く手術します。お母ちゃんと赤ちゃん二人を救うためです。
 ごめんなさい。説明をする時間がほぼありません。院内に家族がいない場合は、家族が病院にくる時は手術はおそらく始まっているでしょう。

2、1よりは焦らないけど、できるだけ早くやりたいねという場合です。その場合は必要な検査もできるし、最低限の説明もできます。でも、時間の余裕がない場合が多いです。手術が決まって、必要な準備をしながら説明をしながら30分以内に手術室にきてもらうことが多いです。
  ごめんなさい。必要最低限の説明でおわると思います。院内に家族がいない場合、家族の到着を待たずして手術室に来てもらうこともあります。

3、2よりも焦ってなくて、人が空いたら今日中にはやりたいねという場合です。必要な検査もします。説明の時間もとることができることがほとんどです。準備の間に家族の到着が間に合うことも多いです。
 急に来た初対面の麻酔科にびっくりすると思いますが、気になる事があれば遠慮なく質問してください。

1.2.3どれも帝王切開の麻酔です。おそらく、多くの妊婦さんと家族さんは1.2の場合は、動揺されます。3でも動揺されている方が多いです。

今のうちに、こんなこともあるんだということは知っておいてもらえませんか??決して妊婦さんを不安にさせたいわけではなく、少しでも納得した出産のために。

次に、麻酔の方法についてです。詳しい説明は、学会をみてもらうこととして、優しめの説明にします。

全身麻酔か背中の注射かどちらかでやることがほとんどです。
僕は特別な事情がなければ、1の時は全身麻酔、2や3、予定の帝王切開の時には背中の注射を選択します。

よく聞かれる質問です。「背中の注射って痛いんでしょ??」

答えは、少しだけ痛いです。

表面の痛み止めをしてから、本番の注射をします。表面の痛み止めは、通常の採血や点滴よりもさらに細い針を使っています。痛み止めの薬自体も少し響くので、予防接種ぐらいをイメージしてもらえたら大丈夫です。これは、どうしても「少しの痛み」を伴いますので、僕は「背中の注射は全く痛くないよ」と嘘はつけません。

その後の本番の注射は、表面の痛み止めが効いているので、ほとんど痛みはありません。針が進む感覚が嫌だと言われることもあります。不安で動くと背中の注射が困難になり、合併症の危険性が増えます。じっと動かないことが早く終わるコツとなります。本番の注射は、ほとんど痛みを伴わない人も多いですが、少しだけやっぱり痛いねって言われます。ただ想像よりも全然痛くなかったと言われる人が多いです。

全身麻酔は寝ている間にすべてが終わりますが、全身麻酔は妊婦さん特有の難しさがあります。そして、麻酔の影響が赤ちゃんに伝わる可能性もあります。この記事では、あまり不安をあおりたくないので、これ以上詳しくは書きません。知る事で不安が減る方は遠慮なく質問してください。知ることで不安が増える方は、これ以上の説明はやめておきます。

以上が、できるだけ優しい文章を書いたつもりです。
少しでも参考になれば良いと思います。

質問がある方は、コメントなり、noteの記事を張り付けたりして連絡を頂けたら、可能な限り返答できると思います。

最後に大事なことをもう一度だけ書きます。

すごく真面目な話は、日本産科麻酔学会のHPをみてくださいね。
最終的な麻酔の方法は、担当の先生と相談してくださいね。



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