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【シリーズ連載】 監禁少年 #5-4

稽古の続く日々、気の張りつめた和室の厳粛さにはそぐわぬアンバームスクが、ふとただよってくる。


どこか懐かしいその香りに驚き振り返ると、姉が天窓に手をかけてわたしの作った花冠を手に取っていた。

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久々の姉との邂逅に戸惑い、たじろう。

自らを曝け出した”作品”をまじまじと鑑賞され、心のうちを見透かされた気分になり羞恥から耳朶に熱が帯びる。

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姉は隣に腰掛けて、わたしに花冠を持て上いだ。

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姉のかかげた手首からは竜涎の香がにじみ、生花の澄んだ香りに混ざって、幼少期の記憶のなかの姉と変わっていないことを実感する。

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戴かれた生花はぴったりとわたしの頭上に収まった。

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「貴方によく合うわね。」


「…ぼくがこんな可愛らしいものを身につけるのは変じゃないかな?」

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「そんなこと誰が決めたの?秀麗な貴方が美しいものを纏う、その何が可笑しいっていうのかしら」
 
 姉は至極真面目な表情で、あっけらと言ってのけてしまう。

「貴方は真摯な子だから、色んな使命を背負って小難しく自制をかけているのかもしれないけれど。覚えていてね、家督や性別に好きを諦める理由なんてないのよ。」

そうそう、と姉が鞄から取り出したものは真鍮のケースに収められた口紅。

「小さい頃に私の化粧姿をじいと見ていたから、成あげようって思っていたの。」そういってわたしの唇に丹花の紅を引く。

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紅が唇の体温に油分がとろけて、たちまちに唇に色が宿る。

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「綺麗よ、とっても。」

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ふっと心が軽くなった。

あらがうのではなくうけいれよう、断ずるのではなくそえていこう。

 

唇を輝かしく衒う紅とわたしがわたしに編んだ花冠を身にまとい、邸内から外を眺める。

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鍾愛を想いときめきのままに生けて、わたしは自由でいられる。







監禁少年のご愛読ありがとうございました。今回で監禁少年第一部完結です。来年以降新たな展開をしていく予定なのでお楽しみに…!携わってくれた方々本当にありがとうございました。

No,44



写真:No,44
作家:えのもと ゆすら
モデル:うちな
ロゴデザイン:

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