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今さら聞けない確定申告「超基本のキ」を、漫画・同人・イラスト制作に詳しい税理士さんに聞いてみた

こんにちは。ナンバーナインCOOの荒井です。みなさん、年の瀬はいかがお過ごしでしょうか。

気がつけば、2019年も残すところあと1週間。巷では、頼んでもいないのに街のゴテゴテの電飾がクリスマスシーズンの到来を露骨に知らせてくれます。夜の渋谷を歩くのが辛いです。

そんなことよりも、年末といえば確定申告ですね。前回のnoteでは、弊社の確定申告代行サービスのことを書きました。

今回は、本サービスで弊社が提携している「いぶき総合会計事務所」の代表税理士・西守正希(にしもりまさき)さんに、漫画家さんから多く寄せられた確定申告に関する疑問についてお話を伺いました。

「そもそも確定申告って何?」
「経費ってどうすればいいの?」

西守さんには、今さら聞けない確定申告のめちゃくちゃ基本的なことから少し踏み込んだ部分まで余すところなくご回答いただきました。ちなみに、インタビューを書き起こすと16000文字の超大作となってしまったため、<前編: 確定申告基本のキ><後編: ぶっちゃけどこまで経費に入れられる?>に分けてお送りします。

このインタビューを通して、漫画家さんやイラストレーターさんたちが確定申告としっかり向き合うきっかけになれば嬉しいです。

<西守さんよりご挨拶>
「『いぶき総合会計事務所』代表税理士の西守正希(にしもりまさき)と申します。2013年に開業し、創業支援に特化した税理士事務所として7年目を迎えました。お客様の大半は、個人事業主の方や、法人の経営者の方で創業して間もない方です。漫画家さん然り、フリーランスの方や個人事業主の方の支援を非常に得意としておりますので、昨年からナンバーナインさんとタッグを組んで漫画家・イラストレーターの皆さまの確定申告を担当させていただけることを非常に光栄に思っております!」

素朴な疑問①: 確定申告って、本当に絶対やらないといけないの?


ーー早速、色々と伺わせていただきます!まず、基本的な質問として、確定申告は絶対にやらないといけないのでしょうか?

西守
「国民の三大義務に、納税の義務というものがあります。お金を稼いでいて収入がある方は、それに対する税金をしっかりと納めてください、というものですね。確定申告をすることで国に収入の報告をし、翌年に納める税金の額を定めることができます。
 ただ、確定申告をしなくても税金を既に支払い終えている方がいます。例えば、給料をもらっているサラリーマンの方ですね。毎月、給料から税金が引かれていますので、会社が税金を精算してくれている形になります。
 なので、会社員の方は、会社で年末調整を行ったらもうそれだけで税の精算は済んでいるので、基本的には個人ではしなくてもよいということになります」

ーー会社勤めの方で会社が源泉徴収している方は確定申告はしなくてよい、と。

西守
「はい。ただ、副業をしている方で一定の収入がある方や給料をたくさんもらっている方は、会社員でも確定申告が必要な場合もありますが、今回は漫画家さん向けなので割愛しますね。
 漫画家さんやイラストレーターさんなど、フリーランスで活動している個人事業主と呼ばれる方は、誰かが本人に代わって税金を納めてくれることはないので、ご自身で計算して確定申告で税金の精算をする必要があります。つまり『確定申告はやらないといけないの?』に対するお答えとしては、フリーランスの方は、確定申告をする義務ありとなります」

ーーやはり、確定申告は避けられない運命なのですね……。

西守
「残念ながら、そうなります。ただ、漫画家やイラストレーターの皆さんは、お支払いの明細に『源泉徴収』と書かれていた経験はありませんか?この場合は、個人事業主の方でも税金を既に支払っているのですが、この金額は支払額に対する一定の割合と決まっています。
 確定申告をすることで納税すべき額がはっきりしますので、確定申告することで、この源泉徴収で税金を前払いした分が『還付金』として戻ってくる場合もあります」

素朴な疑問②: 確定申告のために取っておくべき書類って?

ーー確定申告でとっておいたほうがいい書類などはありますか?

西守
「そうですね、ご自身で判断するのは難しいと思いますので、領収書・レシートなどお金に関する資料は全てとっておいていただきたいですね。あとは10月頃に控除証明書というものが色々送られてきます。社会保険を払っている方は、国民年金の控除証明などの書類は確定申告の際に必ず使いますので、捨てずに必ず保管しておいていただきたいです」

ーー困ったり悩んだらとりあえず保管、ですね。

素朴な疑問③: 青色申告と白色申告の違いって何?

ーーこちらもよく聞く質問です。確定申告には白色申告と青色申告の二種類あると言われますが、それぞれどんな違いがあるのでしょうか?

西守
「これは申告方法に違いがあり、青色申告の方が少し複雑です。青色申告を行うためには、青色申告の承認申請書という届け出を税務署に対して事前に提出する必要があります。この提出を行った方が青色、行っていない方は全て白色という扱いになります。
 ここで気になるのは、青色の届け出を出すメリット・デメリットがどこにあるのか、という点ですよね」

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西守
「結論から言ってしまうと、『青色申告にデメリットはありません』。2014年の1月から、白色申告の帳簿付けが義務化されました。いままでは帳簿付けしなくても申告自体は認められていたんですね。それがExcelやノートで集計を行ってから申告書に転記して申告しなければいけなくなりました。つまり、簡易帳簿とはいえ最終的な手間はどちらもほぼ同じなんです。
 青色申告のデメリットを強いて挙げるとするなら、申請手続きや複式簿記での記帳が面倒だという点ですが、これはナンバーナインの確定申告代行サービス「ナンバーナインタックス」を利用していただければ手続きや記帳は最小限の手間でパスすることができます」

ーーなるほど。個人で青色申告を申請する場合は簿記の勉強や転記など作業時間の確保が必要になってくるので厳しいハードルになりますが、確定申告代行サービスを利用すればそれらは全て最小限の労力で済ませられる、つまりデメリットはないということですね。

西守
「そういうことです。漫画家さんなど、多くがフリーランスとしてお仕事をなさっている業種の方々にとって『本業以外の工数の部分を大幅に削減できる』というのは大きなメリットになりますよね。
 当然私たちも最大限税金の負担が抑えられるような申告を心掛けていますので、このサービスを使うことで、青色申告はもちろん『申請する際に自分では気付けないような特例や節税を最大限活かせる』というメリットもあります。結果として、インプットとアウトプット(本業)に専念できる時間が増えて、さらに手取り収入も増えるという状況が実現できるかと思います。
 些細な記載ミスのない税制に法った適正申告をすれば、後で税務調査が行われて余分に時間が取られたり、追徴課税として罰金を取られてしまう、なんてことも事前に防げますね」

ーー工数の削減、税効果の最大化、トータルで見ればサービス利用のコストを上回るメリットが得られそうですね!

青色申告4つの特権①: 65万円の特別控除がある

西守
「漫画家さんにとって嬉しいであろう青色申告のメリット、四つご紹介させていただきますね。まず一つ目は、『経費とは別枠で特別控除を受けられる』という点ですね。現状(2019年12月17日時点)で言うと、控除の限度額は青色申告で簡易帳簿の方は10万円、複式簿記による帳簿の方は65万円です。これを領収書などの経費とは別枠で儲けから差っ引くことができるというメリットがあります。
 個人で簿記の知識が乏しい方などが、ご自身で簡易的な帳簿を付けて青色申告する時は10万円の控除を受ける形になります。
 逆に複式簿記という形式で綿密に会計帳簿を付けている場合は65万円の控除となります。我々税理士などに確定申告をご依頼される場合ですと、確実に65万円の控除で申告させていただきます。
 もちろんご自身でも確定申告をできるとは思いますが、65万控除を使える条件を満たすのは、個人だとなかなかハードルが高いです。そこを専門家に任せると55万円分経費が多く使えることになります」

ーー55万円分が経費で浮くと。それは税効果でいうとどのくらいの効果が
あるものなんでしょうか?

西守
「大体、税率は住民税と所得税の両方が掛かってきます。住民税は一律10%で、所得税は5%からスタートして儲けが増えれば増えるほど階段状に増えていく税率、最高が45%ですね。なので住民税と合算すると最低でも15%の税率になります。
 つまり最低で見ても55万円×15%ですので、この時点で82,500円の税効果が既にありますね」

ーーえ、いい旅行ができちゃう……。

西守
「そうですね(笑)。もっと儲かっている方、例えば日本人の平均でいうと大体23〜30%の所得税なんですが、これを55万円に掛けるともう165,000円の節税になります」

ーーもはや海外行けちゃうじゃないですか!あくまで例の話ですけど、数字で見ると改めて効果を実感できますね。

西守
「はい、これは知っていると知っていないとで大きな差が出る部分です」

青色申告4つの特権②: 一括経費購入

西守
「二つ目のメリットは『少額の資産を購入する際、買った瞬間一括で経費で落とせる』という特例です。この額の上限が青色申告だと30万円未満、白色申告だと10万円未満という差があります。
 例えば20万円のパソコンを購入する際、青色申告の方は20万円払った瞬間に経費でポンと落とせるんです。一方で、白色の方は一度20万円を”器具備品”という資産として計上して、費用を4年間かけて少しずつ落としていく…という形になります。この「4年間かけて少しずつ」というのは、パソコンなら4年、車なら6年といったように資産によって年数が異なります。
 資産の価値は時間の経過と共に少しずつ落ちていくので、その目に見えない劣化分を4年間かけてゼロにしていく。ということです。そのため、先の20万円のパソコンの場合は、白色申告だと1年で4分の1の5万円しか落とせないんですよね。

ーーなるほど…素朴な疑問なのですが、経費は一括で落とせた方がいいんでしょうか?

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西守
「購入した瞬間でも、数年かけてでも、どこかのタイミングで全て費用には落ちます。つまり”全額が落ちる”という点においてはどちらも変わりません。ですが、節税の考え方の一つとして、『最初のうちに税金の払いを抑える』というものがあります。
 支払った瞬間に税効果が得られて、所得税が減税される…そうなるとその分手取りも増えるので嬉しいですよね。これが白色だと20万円使ってるのにちょっとしか節税効果が得られない。ですので前倒しで費用に落とせる、というのは非常に大きいメリットになるんです」

ーー青色申告だと高額な備品購入も安心してできる訳ですね。

青色申告4つの特権③: ご家族への給料が経費で落とせる

西守
「例えばご家族が仕事を手伝っていらっしゃるという方、その方にお給料をお支払いしますよね。その『ご家族への給料を全額経費として落とせる』というのが、三つ目のメリットです。青色の方は払った実費がそのまま経費で落とせます。
 これが白色の方の場合は、お仕事に半分以上関わっていらっしゃるような状態でお支払いしたとしても、一定額までしか経費として入れることができません。ご家族などに毎月10万円をお給料として払っていた場合は年間で120万円、これが事業の経費として落とすことができるんです。

青色申告4つの特権④: 家事関連費が経費で落とせる

西守
「最後の特権は、『家事関連費が経費で落とせる』です!」

ーーそれはどういったものが含まれるんしょうか?

西守
「そうですね、これは多分知らない方も多いと思いますので詳しく説明
させていただきます。例えばご自宅や賃貸で住んでいらっしゃる方で、一室を仕事部屋にしていたり、あるいは応接室にしていたり、商品が積み上がっている倉庫になっていたり……。つまり、仕事用に使っている部屋がある場合ですね。
 その場合、仕事で使用する部屋の床面積と全体の床面積とを家賃総額に掛け合わせて、その割合分だけ経費で落とす。これができるのは青色申告だけです。仮に毎月10万円のところに住んでいて、仕事部屋が大体30%くらい占めているのであれば、その分の3万円を経費に落とす、といった感じです。
 これは勘違いされている方が非常に多いのですが、青色申告ではない方が家賃の一部を入れてしまうのは原則間違いなんです」

ーー自宅の一部を仕事場として使っていて、その面積分の家賃を経費として
落とせるのは青色だけなんですね。

西守
「そうですね。白色の場合、例えば事務所や店舗のような100%事業用、あるいは一応寝泊まりできる空間もあるけどほぼ9割は事業用、こういう状態であれば経費に落とせます。
 ただ、個人でも事業でも半々ぐらいで使っているという方は青色でないと落とせません。これは他の資産も一緒で、パソコン、デジカメ、携帯電話など個人的利用も少しはあるけどほとんど業務用、といったモノを5割、7割で経費に落とす。これができるのも青色の方のみになりますね。白色の方はほとんどが事業専用のモノ以外は落とせないんです」

ーーなるほど、つまり白色の方は自宅とは別で仕事用の部屋を借りた場合は経費で落とせる、ということですね。

西守
「ここで一点だけご注意していただきたいのは、廊下やトイレなどの共用スペースは基本的に除かれます。完全に区分けされていて、仕事専用で使っている空間だけの割合比で経費に落とせるという認識をしてもらった方がよろしいかと思います」

ーー少し意地悪な質問になってしまうのですが、寝室やリビングにある机で作業している、というのはやはり厳しいというか、計算し辛いんでしょうか?

西守
「そうですね……。リビングが広くて仕事も居住も兼ねている空間、となると判断が厳しくなります。申告は一応できますが、もし税務調査が入った場合に正確に説明し辛いのが正直なところですね」

ーーなんとなくで申請してしまうと、いざという時に指摘されてしまう可能性がある、と。確かに曖昧な住み分けだと何割が仕事用だと言い切って説明するのは厳しいでしょうし、それで不利益を被ってしまうのはとても困りますね。

西守
「そうなんです。しかしながら、上記で述べたように青色申告には多くのメリットがあるのは間違いありません。ですので、今年はもう残念ながら間に合いませんが、来年からはぜひ青色申告でやっていただきたい。ご家族の給料も、家賃も、経費として入れてしまいましょう」

ーーありがとうございます!


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インタビュー: 荒井(COO)

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