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失敗談:参加者が少ないのに、むりやり開催した「クラフトビール」イベント

最近、コワーキングスペース訪問レポートの方をたくさん書いていました。

運営者の方々に会うと、意外と、実際にスペースを運営している(運営していた)人の生の声も必要とされているんだなとわかりました。そこで「運営ノート」の記事も充実させていこうと思います。

成功事例は世の中にたくさんありますが、これは失敗した!とか、困った!とか、そういう話も知りたいんじゃないでしょうか。

というわけでこれは私の中でも失敗したなあと思ったイベントの思い出です。

クラフトビールを飲む会をしよう!

私はビールが好きです。そこでビールをテーマにしたイベントをしようと思いました。ノラヤをオープンして1年後、2014年のことです。

「最近クラフトビールが話題だから、クラフトビールのイベントをしてみたい!」そう思った私は、このようなイベントを企画。

私の動機はざっくり、こんなものでした。

公園で開催されるビール祭り、楽しそうだけど、行くと高い!万札が飛んでいく。ぼったくりじゃん、あんなの。
だったら貧乏人の私らは、通販とかでビールを取り寄せて、みんなで飲もう。そうしたらおいしいし楽しいだろう。
そりゃちょっとは高いかもしれないけど、ビールのイベントに行くより安くすむはず。食べ物もちょっと高いやつ用意しようっと!
なんたってクラフトビールだもんね!高くておいしいビールだもんね!飲んだら自慢できそう。

(…クラフトビール好きになった今思うと、なんという思い違いをしていたのだろうと思います。本当に、ほんっとーーーに恥ずかしいです…無知とは恐ろしいです)

ちょうど梅雨入り前、仙台が一番暑くてからりとしてビールがおいしくなっている時期。きっとみんな申し込んでくれるに違いない!

イベントを作成してシェアしたところ、すごい勢いで「いいね!」が付きました。中でも、とある私の尊敬する東京のコワーキングスペースの運営者が「これはいいイベント!」とシェアしてくれたので、勇気づけられました。

よし行ける!きっとたくさん申し込みがある!そう確信した私は、予告どおり、普段のノラヤのイベントでは絶対買わない高いソーセージや輸入おつまみを、やまやで買いました。

参加者が増えない

ところが、イベント開催日が近づいても、申し込みは2人。

あんなに「いいね!」する人がいたのに?私は焦りました。

ビールは当日買ってくるわけにはいきません。2014年当時、仙台でクラフトビールは気軽に買えませんでした。当時の私が知らなかっただけだと思いますが。数少ない取り扱っている酒屋で前もって注文しておかなければなりません。

私を合わせて3人。それでも、このイベント、やる?でも、もうおつまみも買っちゃったし。あんなに「いいね!」してくれる人が多かったから、きっとこれから申し込む人だっているに違いない。

あとには引けない。酒屋さんにクラフトビールを注文しました。そして当日までがんばって拡散しました。

たった3人、盛り上がりは変な方向に

そしてイベント当日。参加者は結局増えませんでした。以前から飲み会イベントには必ずと言っていいほど参加してくれる40代と50代の常連男性。女性は私一人。

一人の参加者が「いやー素敵なイベントですね!たった1500円でクラフトビールが飲み放題なんて」と言いながら参加費を払おうとしたので私は目を剥いて
「違います!3000円です!1500円でクラフトビール飲み放題なわけないじゃないですか!!」
と、うっかり、悲鳴に近い声を上げてしまいました。それまでの宴会イベントはたいてい1500円で飲み放題だったので。すでに「赤字確定」で私はちょっとイライラしていたんだと思います。情けないことです…

で、まあとにかく飲めば楽しいだろう。ってことで、3人で乾杯して、そのあと私はビールについて語り合おうかと思っていたのですが、話題は目の前のクラフトビールにはほとんど触れることなく、ただの雑談に。

そして、前にもこちらで書きましたけど、すでに顔見知りの常連が集まっても、盛り上がることはないんですよね。

ここで私が「今回のビールはですね」とかちゃんと話題にすればよかったけど、喋るのが苦手なうえに、そもそもろくにビールの知識もない私はなにもできず。静かに、ただひたすら飲んで、すぐクラフトビールはなくなりました。
「あれ、もうないんですか」
私は冷蔵庫から、前の宴会の余りの第3のビールを出しました。第3のビールも次々空になっていきます。もはやクラフトビールの会でもなんでもありません。

…そうだ、オンラインで参加者を増やそう!

酔いも手伝って私は突然、Ustreamで宴会生中継を始めました。(当時は動画を流すといえばUstreamだったんです。時代を感じますねー)
URLをSNSに貼ると、それなりにアクセスがありました。常連さんの書き込みもチラホラ。

酔っぱらった参加者は、下ネタを喋りはじめました。おじさん2人、女性は私だけ。やがてどんどんエスカレートしていきました。目に見えないオーディエンスがいると、人は発言が過激になっていく傾向がないですか?眉をひそめたり、たしなめたりする人が目の前にいないというのは、よろしくないです。私も下ネタ嫌いじゃないので一緒になって笑っていて、まったくもってダメでした。

ノラヤから全世界に下ネタが流れていく、いったいどこがクラフトビールの会なんでしょうか。女性の常連さんから、控えめに不快を表明する書き込みがありました。ようやくまずいなと私は気づきました。

この日はどうやって終わったのか覚えていませんが、これがその時のレポートです。短いですね。

反省点

当時の私は、ぜんっぜん自覚がなかったのですが「自慢できるクラフトビールを飲もう」なんていう、いやらしい言い方でビール好きが集まるはずがなかったんです。

高いビールだからやまやで売ってる高いつまみを買えばいい、なんてのも、安直すぎてバカかと思います。

ビールをテーマにしようとしたのにただビールとつまみを用意して、なにがやりたかったのかわかりません。そりゃただの雑談になっちゃいます。クラフトビールってそもそも何?とか、瓶内発酵って何?とか、そこからいくらでも話は膨らませられるだろうに…結局主旨がぶれてるイベントは成功しないんです。

そして、参加者が少ないときは思い切ってイベントを中止か延期すべきでした。この時は当然大赤字。ノラヤを運営してまだ1年目だったから「イベントは参加者がいなくても開催することに意義がある、実績を重ねていかないと!」と思っていました。でも、やっぱり赤字は嫌です。

あと、宴会生中継は、こういうことも起きるんだなと思って、以後は、やっておりません。酒が入るといろいろトラブルも起きるのはこのあとも何度も経験しました。ある程度はしょうがないんですけど。

恥ずかしいですが、失敗談をさらけ出してみました。いかがだったでしょうか。また、思い出したら書きます。

ノラヤをクローズしてからは、ほぼ無職の日々です。自腹でスペースめぐりをしているので、支援いただけるとすごく嬉しいです!ドロップイン費用や交通費に活用させていただきます。