見出し画像

行きつけのお店

新潟に住んでいた頃、行きつけのお店があった。
初めては、先輩に連れられて。

エントランスにはイタリアンカラーの看板。白壁の階段を上がっていくとお店の扉がある。

扉を開けるとすぐのところに、記念写真とF-1の使用済みのリヤタイヤが飾ってある。
マスターの話だとアイルトン・セナが乗っていたマシンのタイヤらしい。

口髭が特徴的なマスターはイタリア好き。
奥さんがママの家族経営。
居心地がよくて値段もリーズナブル。〆に食べるパスタも絶品で、何度か通ううちにすっかり常連客の仲間入りをした。

店内には小さなステージがありカラオケも楽しめた。そのあたりにはイタリアへの拘りはなく、お店のクローズ時には、必ずマスターが一曲唄う慣しとなっていた。唄うのは矢沢永吉のみという拘り。

独りで行くようになってから、最初はシーバスリーガル、フォアローゼスとかをロックを飲んでいた。

ある時ブランデーにはまり、それからはブランデー一択。銘柄はレミーマルタンからはじまり、カミュ、ヘネシーV.S.O.P. etc…。

そのうちルーチンが定まり、カミュは値段の割にうまいね。ヘネシーを飲むと、いやぁ、やっぱりヘネシーは違うね。そしてカミュに戻って値段の割に…なんて同じことを繰り返していた。

飲んだボトルのラベルはメダル状に加工し、ボトルのネックに掛けるなんていう意味のわからないこともしていた。

終いには、マイグラスまで持ち込んだり…
(こんなボケボケの写真しか見つからなかった)

お店に行ったらほぼクローズまで入り浸り、ブランデーとカラオケを楽しんだ。クローズ後には皆でラーメンを食べに行ったりもしていた。

常連さん以外のお客さんがいない時は、たまにママによるレコーディングが行なわれた。何故?と訪ねると、お客さんやバイトが唄う曲を車で聴くのが好きだと言う。光栄にも、そのメンバーに選抜された。選曲はレパートリーの中からママが好きな曲を選んだ。

楽園/平井堅
レイニーブルー/徳永英明
わがまま/上田正樹
歌うたいのバラッド/斉藤和義
十年先のラブストーリー/TUBE
手紙/ミスチル(コーラスで参加)

転勤で新潟を離れて数十年が経つ。
年賀状のやり取りは継続しているが、すっかりご無沙汰してしまっている。

今は、ほとんどお酒を飲まなくなってしまったし、出張で新潟に行くという可能性もなくなってしまった。いつの日か、ふらっと立ち寄り「久し振り~」とグラスを傾けられたらと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?