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メキシコ展示紀行(0)出発まで


はじめに



2023年の10月下旬から11月中旬にかけて約2週間メキシコに滞在しました。

プライベート旅行やいわゆるアートインレジデンスではなく、講師として勤めている美術専門学校とメキシコにある大学との交流プログラムとして、現地での展覧会実施を目的とした滞在でした。

有名な国とはいえ、メキシコ旅行経験者は少し珍しいと思うので、
写真やメモを頼りに現地の様子をお届けできたらと思います。

ちなみに、私のこれまでの渡航経験は台湾観光(2泊)のみ。旅行慣れしていない目線からのお伝えとなります。あしからず。

第0回の今回は、現地の様子ではなく出発までの準備について。
私自身のための整理も兼ねて書き記しています。

滞在スケジュール

現地でのおおまかなスケジュールは以下になります。

10/29(AM)、成田空港発。12時間ほど乗り、時差の関係で同日同時間帯にメキシコシティに到着。メキシコシティ到着後は4、5時間高速バスに乗り、ベラクルス州のハラパ(xalapa)という町に到着。

現地での展示は11月9日から開始。死者の日(11/1)の前後が祝日となる関係で、滞在後しばらくはハラパや近隣都市の観光や取材を進める。祝日明け11/6から展示の設営や壁画制作を開始。

11/9から無事展覧会が開始。初日夜のレセプションパーティを終え、翌日11/10にハラパから再び高速バスでメキシコシティへ移動。シティに2泊3日で滞在し観光とお使いを済ませる。
11/13の深夜にメキシコシティ発、時差の関係で11/15(AM)に帰国。

フライト時間を除くと16日の滞在でした。

渡航の準備


・事前知識

メキシコへの滞在時期が決まったのは出発の約半年。その時点では私のメキシコ知識は…『リメンバー・ミー』を観た事がある(死者の日について知っている)のと、日本の芸術家も関わった壁画運動とフリーダカーロについて少し。スーパーでよくみるアボガド。あとはいわゆるステレオタイプなイメージしかありませんでした。

・航空チケット

私が探した時は直行便のアエロメヒコ航空が最安値かつ最速でした。7月中旬時点で残数わずか、滑り込みでした。
詳しい方からはアメリカ経由の乗り継ぎ便が安いと聞いていましたが、私が調べた時は乗り継ぐ方が時間がかかる上に高くつきました。

出発前にあったトラブル、行きの機内で遭遇した日本の航空会社では絶対にあり得ないような事は次回触れます。

・荷物

大荷物での移動や管理が嫌だったので、小さめのスーツケースと旅行用の大きいリュックに必要最低限の洋服や生活必需品を詰めました。幸いな事に親族から海外旅行用グッズをまるまる借りたのと、作品や画材、日本からの預かり荷物も多く、旅行情報としては参考にならなそうな荷造りだったため割愛します。
強いて必須品を挙げるとするならば12時間のフライトも快適に過ごせたネックピローと、腹痛を救ってくれた下痢止めでしょうか。

・情報収集

地球の歩き方 メキシコ(本)

https://hon.gakken.jp/book/2080131700

台湾旅行の際にもお世話になった手堅い情報源。ただし最新版が2019年時点の情報だったり、滞在地のハラパに関する情報が殆ど載っていなかったので、現地到着後は殆ど見返す機会がありませんでした。そもそもメキシコの規模感がわかっていなかったので仕方ない面もあります。


TRANSIT 60号 メキシコ マジカルな旅をしよう!

カジュアルで読みやすかったです。カルチャー面の情報を入れるのには参考になりました。


メキシコ在住の日本人(ブログ)

検索して出てきたものを色々と物色。観光旅行アドバイスという感じでメキシコシティ、カンクンなどの人気観光の情報が中心。当然ハラパの情報は見当たらず。

いくつか読んで気になったのは、とにかく治安の悪さと腹痛への警告。おかげ様でガチガチの防犯対策を施して赴く事になりました。用心に越した事はないですが、私の行動範囲にしてはやや過剰だったかも。お腹は何度か下しましたが、薬を持っていったので大事には至らず。

また、こちらも情報がコロナ禍前で止まっている・途切れている情報が多かったです。

ブログの情報収集でとりわけ有益だったのがネット環境の確保。
ポケットwifiは日本で借りる場合はなかなか高くつきます。現地で借りるか、SIMを買う手もありましたが、うまく買えるのか不安だったため、不便なく使えたという情報を信じてahamoに契約。
実際に自分が訪れた範囲でも不便なくネット環境の確保ができました。さすがに都心から離れた場所では不安定な時もありましたが許容範囲。

特別な準備不要、定額2970円で20Gも使用でき非常に助かりました。(※海外での利用開始から15日以上経つと速度制限がかかります。滞在が16日だったので最終日に制限がかかり少し苦労しました)


・メキシコ展示


古代メキシコ展@東京国立博物館

行った方々から耳にするに評判の良い展示で楽しみにして訪れました。ですが、正直なところ、期待外れでした。
考古物は好きどころか、作品のアイデアやモチーフになる事もあるだけに、創作意欲に結びつくような収穫が得られなかった事には自分でも驚きでした。これから行く場所に関係する展示!という勉強意識がかえって邪魔をしていた気もします。
現地の博物館ではばっちり刺激を受けたので、今観たらきっと楽しめるはず…
とにかくモチベーションを上げるつもりが逆効果になってしまいました。

うえののそこから「はじまりはじまり」荒木木珠奈展@東京都美術館

https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/index.html


メキシコに滞在し、影響を受けた日本人アーティストという事で観にいく事に。(実は滞在先とも縁があります)
ですが……こちらもメキシコへの関心には繋がらず。
こちらも後から振り返ると、作品がどうこうというわけではなく、荒木さんの好むメキシコ要素と私が好む要素が違ったのです。
古代メキシコ展に続いての予想外の感触。しっかりと渡航への不安材料になってしまいました。

BIZEN中南米美術館@岡山県

https://www.latinamerica.jp/

日本で唯一、古代アメリカの遺物を専門とした美術館です。

こちらの美術館、今から10年ほど前にたまたまNHKでの特集番組を観て気になり訪れた事がありました。
その時はこれまでに観てきたことがなかった中南米の遺物ユニークさに大変感動&興奮をしたのを覚えています。

去年関西に出かけた際に、中南米美術館の事を思い出し、再来訪しました。

オンラインスペイン語教室を運営されている、Mundo Contigo (ムンドコンティゴ)さんが、素敵な記事を書かれているので、興味のある方はぜひこちらをお読み下さい。


私はというと……
約10年前と変わらない興奮を覚えて帰ってました。個人的美術館体験のトップ5に入るであろう場所だっただけに、当時と変わらぬ感動を味わえた事が嬉しくもあります。館長さんが楽しそうに解説してくれたのも有り難かったです。

とはいえ、メキシコオンリーではなく”中南米”の美術館。気になった展示品は数あれど、その多くが「メキシコ産」ではなかった事が、心に引っかかってしまいました。


とまあ、渡航前にメキシコ関係の展示を3つも巡れたのに自分の中での期待値はそこまで上がらず。
メキシコとは肌が合わないかもしれない…という後ろ向きな気持ちで出発する事になりました。渡航後は、見事なまでのV字回復を遂げるのですが

・スペイン語学習

メキシコの公用語はスペイン語。
スペイン語の学習経験も知識もゼロ状態。せっかくなので勉強してみようと思い、DUOLINGOという語学アプリを発見。

https://ja.duolingo.com/


無料でしばらく使ってみて、無理なく続けられそうだったので途中で有料版に加入。毎日コツコツ進めて、出発までに100時間程度は学習しました。

ちなみに私の語学力は英語が少々(英検2級はある)、中国語を少しだけ独学で勉強した程度(初級の日常会話がわかる程度)。要は語学堪能な人間ではありません。

スペイン語学習は英語よりも発音がわかりやすい点や、イタリア映画を観た時に、スペイン語と似ていて少し聞き取れる事に驚いたり、非常に楽しかったです。

DUOLINGOは会話に特化したアプリではないため、私の学習量では現地の人との会話は難しかったです。
ちなみに、メキシコは英語話者が少なくあまり通じません。例え通じたとしてもお互いにカタコト英語になるケースが多く、何度かやりとりに苦労しました。

英語が通じないという話は聞いていましたが、困ったらGoogle翻訳に頼れば良いとたかを括っていました。ですが、これが落とし穴でした。

というのもスペイン語⇄日本語の翻訳は相性が非常に悪く、意味不明な翻訳が出てきやすいのです。スペイン語→英語→日本語(またはその反対)の英語を介した二重翻訳を行えば安定する事に気がつきましたが、これではなかなか会話になりません。

とりあえず英語さえ通じれば何とかなる、が通用しないというのはカルチャーショックでした。わかりやすく言葉の壁と、日本語のマイノリティさを実感した旅になった一方で、言語の壁を超えて自分の作品を介してコミュニケーションが取れる、という希望を感じる事にもなりました。それはまた後ほど。




大変長くなりましたが、旅立ち前の準備についてはこんな感じです。

次回からいよいよメキシコへ旅立ちます。
以後は山ほどある写真、またはイラストを交えてお伝えします。

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