見出し画像

【初心者向け】QC検定1級の私が「ばらつきに強いロバスト設計法」を解説する

✓記事の内容
ばらつき低減に直結する「実用性の高い統計手法(動特性のパラメータ設計)」の”実践方法”を解説します。

”動特性のパラメータ設計”は品質工学という分野の1手法。ばらつきに強いロバスト設計ができる所が最大の魅力です。

また、名前に”設計”と入っていますが、設計だけでなく、生産技術、品質管理など”ばらつき”が問題となる幅広い場面で活用できる手法です。


このnoteを書いている私は、QC検定1級で、検定対策や統計的品質管理の講師を本業としています。

元々は工場に生産設備を導入するエンジニアでしたが、実験回数削減や品質向上に役立つ統計手法の素晴らしさに惚れて、先生に学びながら実践を進め、現在は統計手法の推進を業務としています。

なお、QC検定1級は年間の受験者が約2,000人、合格率は約5%(100人)という非常に厳しい検定です。
1級合格者の中で業務での実践方法を発信している人はほとんどいませんが、私の場合はブログで全て公開しています。なので信頼性も高いはず。

✓金額:980円
一般的な専門書に比べて格安の値段設定にしています。

なお980円という費用は「本書のノウハウ利用で”余裕で回収できる”」と思っています。この点ついて詳しくは、次の項目(想定読者)の部分をご覧ください。

✓想定読者
・4因子以上を組み合わせた”パラメータ設計のための実験”を行う予定のエンジニア
(パラメータ設計とは製品設計・設備条件設定などのこと)

基本的には「直近で実験を行う予定がある人」を対象としています。
なお、「統計学を勉強中の学生・3因子以下の実験を計画中の人」は想定読者ではありません。

企業に勤めるエンジニア(具体的には設計者・生産技術者・品質管理者など)で、ばらつき低減とパラメータ最適化を目的とした”4因子以上の組み合わせ実験”を計画中の人が想定読者です。

その理由としては、「企業に勤めている方なら、本書を買ったとしても、ノウハウを利用する事で、本書の代金を”ばらつき低減による品質向上効果”で回収できるから」です。

要するに、「経費を使って実験をする予定がある→本書を買う→ノウハウを利用する→ばらつきが低減される→品質不具合によってやり直しになる経費・時間が削減される→書籍代金は回収できる」という図式です。


✓購入前の注意点:ちゃんと動ける人限定
ぶっちゃけ、本書の通りに作業すれば、ほぼ確実にばらつきは低減できます。

私自身は「統計手法でばらつきが減らせると聞く→参考書を買うがやり方がわからず挫折→しばらく放置→先生からツールと実践方法を学ぶ→業務で実践成功」という感じでして、ぶっちゃけ不足していたのは「実践方法」でした。

なので、まず第一に「実践」が必須なのですが、その過程で学んだ「実務に適用するための知識」を詰め込んでいます。

一般的な専門書は手法の解説はあっても、ツールの紹介や、使い方、実務への適用方法までは書かれていません。

動けば”ばらつき”は減らせます。
なのでちゃんと実践できる人だけの購入でお願いします!ばらつきが減らせると、仕事の難易度が下がるので、個人的にはオススメですね(^-^)


✓もくじ
1.ばらつきを約2分の1に減らした事例の紹介
2.実務に適した統計手法「動特性のパラメータ設計」
3.「動特性のパラメータ設計」の具体的なやり方。
4.結果の解析方法。解析結果の見方。
5.Q&A:いただいた質問に答えます

■1.ばらつきを2分の1に減らした事例の紹介

ばらつきを約2分の1に低減しているのが下記リンク先の論文でして、実験手法は「動特性のパラメータ設計」です。

≫紙で簡単に実験した冷却システムのパラメータ設計   (草野秀昭 他4名)

「論文なんて読みたくない」って人のために簡単に解説すると、本事例ではレーザープリンターのランプにおける冷却システムの設計に”動特性のパラメータ設計”を活用しています。

スクリーンショット 2021-05-02 17.30.25

この冷却システムの機能として”冷却ファンを回すモーターの電圧”と”ランプを通過する風速”が比例関係であることが理想です。

このように理想機能が動的(入力に対して出力が変化する)な特性を”動特性”と呼びます。(入力に対し出力が常に一定が理想のものは静特性と呼ぶ)

スクリーンショット 2021-05-02 23.33.34

システムのインプットとなる因子を”信号因子”と呼びます。この事例では”モーター電圧”の事です。

スクリーンショット 2021-05-02 23.39.13

システムのアウトプットになる因子を”特性値”と呼びます。この事例では”ランプを通過する風速”です。

特性値の主な”ばらつき”の原因はダクト内の障害物です。障害物の有無のように、製品として出荷された後に設計者が制御できない因子のことを”誤差因子”と呼び、誤差因子の影響を受けにくいロバスト設計を目指しています。

製品として出荷されたら制御できないけど、”実験段階ではわざと誤差因子を含めた実験をして、その影響を受けにくいパラメータ設計をしている”というのが非常に重要なポイントです。

スクリーンショット 2021-05-02 23.20.26

また設計者が設定可能な因子(パラメータ)を”制御因子”と呼びます。
この実験の制御因子と水準は以下の通りです。

スクリーンショット 2021-05-02 23.14.26

以上の因子を組み合わせて”動特性のパラメータ設計”による実験を行った結果

論文を見ると最適条件ではSN比が5.83dB向上しています。
これはばらつきが√10^(5.83/10)=1.957倍 改善した(ばらつきが約2分の1になった)という事を示しています。

また、最適条件では現行条件に対し”モーター電圧”に対する”風速の傾き”も大きく改善されており、少ない電圧で大きな風速を起こせる理想的な条件設定ができています。

スクリーンショット 2021-05-03 0.01.22


SN比の考え方や利得の計算など、”動特性のパラメータ設計”に関する詳細は以下のリンク先でわかりやすく説明されていますので、ご覧下さい。

タグチメソッド  実験方法、解析方法、統計との接点
富士ゼロックス株式会社 立林 和夫

上記のリンク先にも書かれているように、既に多くの企業が品質工学(主に動特性のパラメータ設計)を推進しています。

逆に言うと活用できていない会社・人材は、ばらつきへの対処ができず大きく出遅れているとも言えます。

本noteではさらに1歩踏み込んで、無料の解析ソフトを使った動特性のパラメータ設計の”具体的な実践方法”を紹介します。

図1,図3,図7,表1,表2,表3
出典:紙で簡単に実験した冷却システムのパラメータ設計   (草野秀昭 他4名)


■2.実務に適した統計手法「動特性のパラメータ設計」

「そもそもなんで”動特性のパラメータ設計”なんて面倒くさそうなの使わないといかんの?実験計画法で最適条件を見つけたらいいやん。」
って人もいるかと思います。

実験計画法で改善できるのは”平均値”だけでばらつきは減らせません。

イメージはこんな感じ

実験計画法による改善

どれだけ平均値を改善しても、ばらつきが大きければ不良品が発生してしまいます。

一方で動特性のパラメータ設計では、ばらつきを減らした上で平均値を狙いに合わせます。(二段階設計と呼ばれる考え方)

イメージはこんな感じ

動特性のパラメータ設計による改善

「え?そんなん動特性のパラメータ設計って最強やん。なんでもっと早く教えてくれんの!」って思っている人。慌てないで下さい。

手法にはメリットとデメリットが存在します。

✓動特性のパラメータ設計のメリット
・ばらつきに強いパラメータ設計ができる
・特性値を目標に合わせられる
✓動特性のパラメータ設計のデメリット
・実験計画法に比べて実験回数が多い
・SN比と感度という特性値に置き換えて評価するので分かりにくい

実験回数が多いというデメリットはありますが、それよりも”ばらつきに強い”というメリットが”非常に強力”なので、ばらつきに悩んでいる人は実践をおすすめします。

SN比や感度の考え方は本noteで詳しく解説します。

「でも自分の業務が動特性に当てはまるかわかんないよ」って人。
安心してください。実はどんな特性でも”動特性っぽく実験&解析する裏ワザ”があります。

これもnote内で詳しく解説します。

”動特性のパラメータ設計”を実践することで、製品品質のばらつきが改善され、業務の負荷が格段に下がりますよ。


この続きをみるには

この続き: 6,799文字 / 画像27枚

【初心者向け】QC検定1級の私が「ばらつきに強いロバスト設計法」を解説する

のーさん@ エンジニア

980円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
2
データ分析・品質管理が得意なエンジニア|QC検定1級保有で統計手法の社内講師|ブログでノウハウと失敗談を発信中!|統計手法による実験回数削減・品質管理をわかりやすく伝授します|気軽にフォローしてね