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ゲーテ「ファウスト」第9章 【悲劇第二部】第四幕 戦:感想

こんにちは。

ゲーテのファウストを読んだ感想の第10回目になる。
この第二部では、何を風刺しているのか、示唆しているのか、なんのメタファーだか分かりにくいストーリーになっている。
今回も、前回前々回にも増して思いっきり外したことを書いてるかもしれないので、笑って読んでみて。

それで、この投稿を始めたきっかけはC.G.ユングを読み漁り始めたところゲーテの「ファウスト」に高評価を与えていることがわかったからである。

読んだと言うよりは聞いたのであるが、こちらを聞いた。

目次はこのとおり。

序章
第1章 【悲劇第一部】メフィストフェレスとファウスト
第2章 恋に落ちたファウスト
第3章 ファウストとマルガレーテ
第4章 罪
第5章 ワルプルギスの夜
第6章 【悲劇第二部】第一幕 いつわりの国
第7章 第二幕 古代のワルプルギスの夜
第8章 第三幕 ファウストとヘレネー
第9章 第四幕 戦
第10章 第五幕 ファウストのたましい

ファウスト目次

【悲劇第2部第4幕】
第9章:戦
⭕️主な登場人物
・メフィストフェレス:誘惑の悪魔
・ファウスト:哲学、医学、法学、神学まで学んだ博士、先生。生きる喜びを失っている。
・ファルツ帝国皇帝
・大司教
・サビアの魔術師:メフィストが化けた魔術師

⭕️あらすじ
ヘレネーが去った後に残された羽衣が雲に変容し、その雲に包まれてファウストはどこともなく飛び去った。

雲に乗って飛行してきた先で、ファウストは、山の頂上で降りる。
ついて来たメイフィストが文句を色々いうが、ファウストは相手にせず、美しい山々の景色を見渡している。
 
「自然が自然を築き上げた時にこの地球を丸くこしらえたのだ。山のてっぺんも谷底も自らここに並んだ。そこに草木が生えこの美しい景色を作り上げたのだ。」とファウストは呟く。
 
毒を飲もうとしたファウストが、えらく変わったとメフィストは指摘する。
ファウストはいたく気にいったものがあるので、メフィストに当てろという。
 
メフィストは「都会か?」と答えるが、ファウストは否定する。
「そんなものでは私は満足しない。人間が増えたと喜び、うまいものを食べ、教育や学問が栄えたからといって何になる。」と答える。
 
メフィストは、古代アッシリア王のサルダナパールのような無駄遣いの多い生活を提案するが、ファウストは趣味が悪いと断る。
 
「この地上には私(ファウスト)が手がける大きな仕事が残っているということだ。」
 
「名誉か?」という問いにも、ファウストは否定する。
「悪魔である君には、人間の願いがわからんだろうがな。」とあしらう。
 
山の裾野に見える海岸線の波が押し寄せては引いていくことが気に入らないと、ファウストはいう。全ての権利をよく知る自由な精神が、刺激されて気分を悪くするのに似ているとも。
 
波は打ち寄せては引き、その後に何かを残すわけではない。波と戦って勝ってみせると考えた。海を岸から締め出して新しい土地を作ると考えた。海を遥か沖合に追い返したらさぞや愉快な気持ちになるだろうと想像した。これがファウストの願い。
 
ファルツ帝国皇帝に対する反乱戦争が起きた。この反乱を抑えるために皇帝の軍隊を指揮しする。反乱を鎮圧してその褒美に海岸一帯の土地をもらえという策略である。
 
早速三人の戦士がやってくる。正体は戦を司る悪魔の仲間。三人を引き連れて皇帝の元へ参上する。作戦会議に参加してサビアというところの魔術師から力になるよう命じられたと皇帝に奏上すると、皇帝は進軍を命じた。
 
三人の戦士は、怪物のように戦果を上げる。メフィストは次々と、鳥の怪物グリフィン、使い魔のカラスなどの化け物を参戦させ魔術も使って有利に戦を導く。皇帝が化け物達を見てゾッとすると呟くと、ファウストは精霊達の名残りだとうそぶく。自然が我が軍に味方しているとも。
 
最後にサビアに扮したメフィストが、水の魔術を使って谷間にいる敵軍に濁流を向けさせた。悪魔にとってはこの歪みあいがご馳走だと嬉しがっている。そして皇帝軍の勝利に終わる。
 
戦利品を前にした、論功行賞の最中に大司教が現れる。皇帝に、戦において悪魔と通じていたことを教皇様に密告すると言われる。神に懺悔して土地を教会に寄付すれば神はお許しになると大司教は提案する。
 
大司教はファウストに与える海岸も寄付せよと提案するが、流石に海底だといって断る。
「あ〜まったく。この調子では国中の土地がみんな教会に取られてしまう。」と皇帝はぼやく。
 
⭕️感想
生きる意味を失って服毒自殺を図りかかったファウストだった。彼の煩悩と言っていいかと思うが、色恋ー私は愛ではないと思うーでメフィストはファウストの生きるとりあえずの目的を作った。悪魔の提供するサービスに”愛”はないだろう。それが第一部。

第二部に入ると、財政危機のファルス国を本当に返済できるかもわからない証文で救う。また、新たな色恋に萌える。
ファウストが直接関係していないが、人工生命である小人のホムンクルスは儚く命を失う。
美の女神ヘレネーと結ばれ子供のできるが、子供は事故死し関係は終わる。
生きる意味はここまで全く見出せなかった。

漸く第9章に至って、何かそれらしいもののイメージが浮かんできたようだ。意地悪くそれが何かメフィストに質問しているが、悪魔には全くわからない。

ファウストは自分がやりたいこととして、海を沖に追いやることをイメージした。要するに、海外の干拓事業を生きる志にしようと決意したファススト。それはいいことに思った。

しかし、干拓する海岸を手に入れる必要がある。そこを支配する皇帝への取り入るために、折りしも発生した反乱軍の鎮圧に手を貸すという手段を取ったのはいかにも悪魔の企て。

ファウストとメフィストの雇った化け物たちの支援する戦で、皇帝軍は勝利をおさめていくが、皇帝自身も気味が悪く感じている。メフィストは争いを起こすいがみあいがご馳走だと嬉しがる。

人類は今も悪魔にご馳走を提供し続けているのだと思うと嫌になる。

悪魔を使って勝利した皇帝。大司教は罪を償うように迫る。皇帝の罪に乗じて教会の資産を増やそうとする大司教も悪魔にたかるが如く皮肉に描かれている。

そして、海岸を手に入れたファウストの悪魔に支えられた事業が始まる。

次回は、最終回。第10章 第五幕 ファウストのたましい。

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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: https://teal-coach.com/
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