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「OK」が押せない

昔話をするようになったらオッサンの仲間入り。
なので堂々とオッサンとして今回は綴っておこう。
というか41は立派なオッサンっぽいけど…。

僕は理由はいくつかあるのだけどLINEをやっていないので連絡は基本的にGmailか電話で取る。
最近はInstagramやTwitterのDMでも取るけれど基本的には上の2つを使っているので長年の習慣みたいなものでたまに茶化される。
なので電話番号は僕の中でトップシークレットみたいなもので誰にでも教えないようにしている。
この感覚がすでにオッサンなのかもしれないけれど
僕にとって電話番号は今でも重みがある。

高校生だった頃だからかれこれ20年くらい前はようやく携帯電話が1人1台になったかなってないかという感じで本当にまだ電話しかできなかった。
それにカケホーダイプランみたいなものもなくて長電話したらした分きっちり通話料を取られる時代だった。
今の感覚で言うならデータ通信量を気にしながら使ってるようなものかもしれない。
そういう時代だったので好きな人と電話番号を交換することは1つの関門だったような思い出がある。
何しろ耳元で声が聞けるわけだから直接話すより近いといえば近い。
例えまだ告白していないにしてもそれは幸せな時間だった。
が、しかし。
お別れするとそうもいかない。
特にクラスメイトとか同僚のように繋がりがなければ唯一の繋がりになる。
二度と会えなくなったとしても電話番号が残っていると繋がりの残滓みたいなものが電話帳の中に眠っていてなかなか消去できなかった。
だからといってかけることはないので消してしまって構わないのだけど、そこはやはり人間。
感情を押し切るのはなかなかに難しかった。
電話番号を消したところで記憶から消えるわけじゃないしほっといてもいいや…と気持ちをごまかして消せずにいた。
で、記憶から消えた頃に別件で電話帳を開いたときに出くわす。
その時に何とも言えない感情が頭の中を駆け回ったりする。
それは後悔だったり悲しみだったりすることもあれば
元気にしてるかな?くらいさっぱりしていたときもある。
ただいずれにせよ相手のことを思い出してしまう。
思い出すとしばらくは相手のことを考えたりしながらぼんやりして眠れなくなったこともあったような無かったような。
そうやって煩悶した末に番号を消去しようとするのだけど「OK」がやっぱり押せなくて結局は次の恋が見つかるまで残っていたりした。
相手はさっさと消しているだろうなと思いながら。
ある意味では住所より電話番号は重みがあったと僕は思っている。


こういう感覚は今の若い世代にはあるんだろうか。
例えば電話番号を消してもSNSを通してその後の生活を知ることができたりする。
しかも手に入る情報も多いから監視してるような状態にもできる。
僕にしても元カノのフルネームくらいは今でも覚えているから調べようと思えば調べられるのかもしれない。
連絡先の交換がライトになったことでストーカーなどのリスクも高まったような気がするのは僕だけだろうか。
たまにアカウント全部変えましたって連絡が来るあたり珍しい話とも思えない。
で、その時にどこの誰なのかを書き忘れていたりすると僕からはスパム扱いされてスルーされてる人もいると思うので必ず明記してください(笑)

ちなみに今も消せない番号がいくつか残っている。
けれどこの番号を消すことはない。
大好きだった伯父とロケット&サブマリンに書いた
A君とアキラ君の番号だから。
3人とも亡くなってしまったから敢えて消していない。
むしろ記憶から消えないために残している。
どうやら僕は未だに
「電話番号を消去しますか?」
「OK」
この2つが苦手らしい。

忘れられないから忘れてくれ。
消せないから消してくれ。
つくづく他力本願な軟弱者です。

それではまた近いうちに。
いつも最後まで目を通してくださりありがとうございます。
ではではアディオース!




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