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キャベツ畑の中の悪意 前編

見渡す限り、キャベツ、キャベツ、キャベツ。
あーー、嫌だ。キャベツに囲まれる暮らしも、
「余所者」
陰口を叩かれる生活も。


いる!! あの子らのママだ。
朝から大きな声で話している。

ランドセルのベルトをキュッと握って、走り抜けよう。下を向いて赤いズックの女の子の絵柄を目に焼き付けて足に力を込めた。


「ねぇ、土曜のお祭りあそこんちの子どうする?」
「あ〜〜、余所んちの子?」

「そもそも子供会の案内ってした?」
「私が、一応言ったよ。強制ではないから〜〜地元の者だけでやるのが恒例とは添えたよ」

「それじゃあ、入るなって言ってるじゃん」
「言ってるんだよ〜〜」

「可哀想かな?」
「余所者だからしょうがないんじゃない」



聞こえてるよ。
余所者って何だろ……
何か悪いことしたのかな?

涙が溢れそうになって、慌てて上を向いて集合場所まで急ぐ。お祭りで投げられる、まぁるいピンクのお餅食べたいな。去年は6階のまぁちゃんが、ちょっとだけ割ってくれたな。また、くれないかな。何で私はお祭りに行けないのだろう?

「おはよう」
「明日は秋のお祭りだね。行く?」

「私、行ってもいいのかな?」
「いいに決まってるよ。みんな、行くよ」

「お母さんがダメって言うかもしれない」
「お菓子袋にいっぱい貰えるよ」
まぁちゃんが、手を空中に広げる。

「そんなにいっぱい?」
「ジュースも飲めるよ。おいでよ」


明日の2時に公民館でね。と、約束。どんなお菓子貰えるのかな?ハイチュウあるかな?そうそう、まぁるいお餅も貰えるかもしれないよね。重たいランドセルが急に軽くなった。


ドンドン ドン
ドドンガ ドン


いよいよ始まった!!
和太鼓の音が聴こえる!!


お母さんに悟られてはならない。お菓子の隠し場所も決めた。作戦を決行するのみ。大きく息を吸い、


「お母さん、まぁちゃんと少しだけ遊んできていい?」
「いいけど、3時には家を出るから必ず帰ってきなさい。約束を守らない子は知らないよ」
「分かった。必ず帰ります」


公民館へ向かって走る。1時間しかない。急げ、急げ
賑やかな雑踏。やっと来れた。

まぁちゃんが、すぐ見つけて来てくれた。
大きなビニール袋を持ってる。コアラのマーチに、ポリンキー、あっ!ハイチュウ入ってる。ふどうだ。やったぁ〜、ぶどうだ。

「ほら!見て!こ〜〜んなにお菓子貰えたよ。貰っておいで!早く!窓際のおじさんとこ」


「お菓子はここで、貰えますか?」
「そうだよ。よく来たね。お名前は?」


名前を告げると、おじさんの顔が曇って、
「おじょうちゃん、お家からお祭りのお金貰ってないんだ。だから、おじょうちゃんのお菓子はないんだよ」
何故、来てしまったのだろう。
かーーっと顔が赤くなり、

「ごめんなさい」
謝った。まぁちゃんが怪訝な顔で見ている。私の分はなかったなんて言えない。傷つけてしまう。


「来るのが遅かったみたい。もう、ないんだって」
「おじさんの後ろにあるじゃん。私、言ってきてあげるよ」

「いいの!!!」
しまった。大きな声を出してしまった。

「いいの。大丈夫だから」
「そっか。私、ポテチの小さいの2つ貰ったからあげる」


手が冷たくなって、足元がぐらぐらする。酷く惨めだ。まぁちゃんと私は違う。おんなじ4年生でも違うんだね。貰ったカルビーポテトチップスの袋を、どう持ったら良いのか、持っていて良いのかさえ分からない。


「あっ!ジュース貰おう」
「私、喉乾いてないから大丈夫」
「行こうよ!メロンソーダあるよ」
きっと、私のメロンソーダはない。まぁちゃんにはあっても、私にはない。


「ごめん。もう帰らなくちゃ」
「やっぱり、ポテチは貰えない。まぁちゃんのポテチだもん」


まぁちゃんの胸に押し付けるようにして返すと、灰色の大きな石みたいな砂利を、ザッザッと踏みしめて、坂道を駆け降りた。


何てバカなんだ。
余所者なんだから、私のお菓子はないことくらい何で、何で気付かなかったんだろう。涙が次から次に流れてハンカチを忘れたからTシャツの袖で拭きながら走った。

「ただいま」
「早かったじゃない。まだ20分よ」
「まぁちゃん、用事があるんだって」
「お祭りって煩いわね。昼間から騒いで低俗よ。
バカみたい。まぁちゃん、まさかお祭り?」
「違うと思う」


お祭りに行ったことがバレませんように。まぁちゃんがお祭りに行っている事もバレてはいけない。世のお友達とは遊んではいけないと言われてしまう。お出掛けは公民館の傍を通らなくてはいけないな。どうしてお母さんの気をそらそうか。

ふ〜〜っと息を吐いて下を向いた。
もう2度とお祭りには行かない。
私には袋いっぱいのお菓子もメロンソーダもない。
「余所者」なんだから。





ピリカさんの企画です❣️

「火サスどうでしょう」

「水曜どうでしょう」をもじっているのかな😆


さわきゆりさんに結末を書いて貰えるの?
これは、参加するべし、するべしと書いてみました。多分、抽選ですよね。当たりますように🙏


こちらは、オムニバスです。


土曜日、今日ですね、放送されている連ドラです。
お祭りでべっこう飴を食べてから、人の嘘が分かるようになった大学生の視点から物語は始まります。


嘘が分かるとは?
分かっていい事もあるけれど、その分傷つくよね。

ママの場合は、嘘が分かるのかな?顔に書いてあるよね。「嘘だよ〜〜」って。勿論、閉じていれば分からないし、分からない事も多いと思う。だから、自分はなるべく嘘はつかない。されたら嫌だから。

アスペルガー夫は、口は悪いけれど嘘をつかない。
特性上、嘘をつけないのだけれど。適当に誤魔化せばいいのになと思う時もあるよ。だけれど、非常に好ましく思う性格の一つです。



伊野尾くん、何て綺麗なお顔してるのよ〜〜
キンプリの神宮寺くんが大学生役です。キンプリの曲聞いたことなかったんだけど、いいわ!いいっ!
第8話が今日放送されるの〜。楽しみだなぁ❤️


では、では〜😆👋
いつも、ありがとうございます。
また、来てくださいね❤️







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