カサンドラ感謝祭【ショートショート】1198文字
今月20日は「父の日」
ご近所みんなが行きつけである
いつものモールに来た
何にしようか
催事コーナーを見て回る
不眠撃退 即寝まくら
1滴お口に垂らせば、あら?不思議
眠気がくるエッセンス
夫は使うものにこだわりがあり
サプライズにも弱いが
最近寝付きが悪いと言っていた
毎回、悩む…
あっ、そうだ!
息子に、メッセージを頼まねば…
ふと上に目をやると
垂れ幕が下がっている
ええ!
カサンドラ感謝祭?
しかも大カサンドラは全品50%OFFだという
ママは確実に大カサンドラね!
何せ夫の暴言に10年も耐えてるんですもの
「カサンドラのお客様はこちら〜」
「暴言爆弾で満身創痍の方〜こちら〜」
何やら列に並び、体温計の様なものを額に当てている。ざっと、100名程並んでいた。最後尾に並ぼうと歩き出すと
「のんこさぁ〜〜ん!!」呼び止められた
かなちゃんママ はれこさんだ。ご近所に住んでいるママ友である
「私はカサンドラを乗り越えたけれど、大カサンドラだったから特典あると思う。のんこさんも絶対に大丈夫よ」チラシを見せてくれた
大カサンドラ全品50%OFF
中カサンドラ全品30%OFF
小カサンドラ全品20%OFF
大中小全てにイケメンカウンセラーの
カウセリング特典つき
カサンドラを乗り越えた方は全品80%OFF
「ええーー!!はれこさん、乗り越えてるわよね。は、80%OFFだなんて! 何買う〜?」
「のんこさんだって、大カサンドラ確実よ〜
し、か、も、イケメンカウンセラーのカウセリング特典付きよ!最高じゃないの〜」
2人で列に並ぶ
「わくわくが止まらないわね」
「何でも国がカサンドラ支援を手厚くする方向に制度が変わるみたいなのよ」
「国がカサンドラを労ってくれるだなんて。感激だわ〜」
私達の順番がきた
「はれこさん、お先にどうぞ」
店員さんが、はれこさんのおでこに光を当てる
すると、カサンドラ卒業 と出るではないか
大きな鐘の音が響きわたる
カンカーン パァーン パパァーーン
『おめでとうございます!カサンドラ卒業されておられますね。よく頑張られました、本日は全品80%OFFです。ごゆっくりお買い物をお楽しみ下さいませ』
「きゃ〜〜っ!やったわぁ!ほら、次はのんこさんよ」
期待に胸がふくらむわ。絶対に大カサンドラ
大カサンドラ 来い 来い!
店員さんの前に立ち髪を上げる
『中カサンドラですね』
「いえ!そんな訳ありません!我が家の夫の暴言は酷いのです!もう1度お願いします」
『結果は正確なのです。のんこさんは1ヶ月程前は確かに大カサンドラでした。大変でしたね、よく頑張ってこられました。カサンドラ卒業に向けて一歩前に進まれたのです』
お察しの良い方はお分かりですね?
これはママの空想
ご近所みんなが行きつけのモールで
夏物セールが明日から開催される
値引きの値札を見るたびに
お疲れさま。よく、頑張っているね
言ってくれていると思ってみよう
カサンドラ感謝祭は
自分で作ったらよいのだ
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