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歴史読書記録、歴史メモ

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#古代史

義江明子『つくられた卑弥呼――<女>のと国家』筑摩書房、2005年

・「卑弥呼=神秘的巫女」「政治は弟が行った」というイメージ、男女聖俗二元論に対する疑問。古代の女性のあり方と、卑弥呼像はかけ離れている。
・「魏志倭人伝」における「会同」は単なる宴会ではなく、政治的意味合いを持つ共同体的集会だった。そこでは着席順やふるまいに「父子男女」で区別がなかった。
・ほぼ8世紀ころまでの日本は、男女がゆるやかに結びついて簡単に離合する社会だった。流動的な家族関係は戸籍ではな

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義江明子『古代王権論』岩波書店、2011年

・地位継承次第系譜において、「A――子(児)B」と書かれていても、AとBが親子関係にあるとは限らない。
・一つの血統による世襲王権の成立が6世紀の継体~欽明以降であることは、研究者の間ではほぼ共通認識となってきている。欽明から推古について、『上宮聖徳法王帝説』は、「右五天皇、他人を雑える無く天下を治すなり」としている。逆に言えば、これ以前は非血縁継承が普通に行われていたということが言える。王族の形

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