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七十二候にまつわるエッセイ

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季節の小分類である七十二候をきっかけにしたエッセイを、ほぼ毎週週末に更新しています。
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#エッセイ部門

第三十三候 鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)

暑い。暑くて、外に出ると体力気力が失くなっていく。太陽の強さに、いつもより日月(じつげつ…

第三十二候 蓮始開(はすはじめてひらく)

若葉の柔らかさを、優しい友の手のように感じる。早朝、蓮が花開くこの候、増し土をしたフィカ…

第三十候 半夏生(はんげしょうず)

「そう考えると、死ぬということも、キノコがまた菌糸に戻るように、「ひとつ」に戻っていくこ…

第二十九候 菖蒲華(あやめはなさく)

最近、増し土をした若木の枝先から新芽が出てきた。植え替えや増し土、なんとか夏に間に合って…

第二十八候 乃東枯(なつかれくさかるる)

夏至。一年の中で最も昼が長く夜が短い日。夏の短夜、夜が短くなるにつれて、人の睡眠時間も短…

第二十六候 腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)

演奏表現とはいったいなんだろうかと、大学の頃からずっと思う。いま、入梅となり、夏の香がす…

第二十五候 蟷螂生(かまきりしょうず)

今年は梅雨の気配が遅いような気がする。紫陽花(あじさい)が好きな身としては、外でゆっくり花を楽しむことができて嬉しい。 梅の実が熟す時期である梅雨には、蟷螂や蛍たちが草の間に、花の間に現れる。他の虫たちも盛んになり、暑くなり、雨が降り、良いことばかりでもない初夏が来る。 夏は、暑いので苦手だ。でも、その暑さの元である陽のひかりは、緑を際立たせてうつくしい。いつか、「夏の陽の緑に浮かぶ木々を見て」と上の句詠んだことを思い出す。 陽光、紫陽花、蟷螂、蛍、それぞれがどこか、私

第二十二候 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

麦の穂が実り、小さく満ちる。卵から孵った蚕が桑を食む。世界が在り、自分がまだ死んでいない…

第二十一候 竹笋生(たけのこしょうず)

立夏も末候となり、青葉の耀(かがや)く季節。植物たちの元気さに気押されるような心地もする…

第十八候 牡丹華(ぼたんはなさく)

夏の足音が聞こえてきた。先日、『贈与論 資本主義を突き抜けるための哲学』第2回の読書会を終…

第十七候 霜止出苗(しもやんでなえいずる)

先日、青木海青子さんの『不完全な司書』を読んでいて、目の留まった文章があった。それは、本…