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2024年春 初台アートロフト 『針と糸で繋ぐ未来への扉』展-With Needle and Thread, Connecting to the Door of the Future-


『ローエングリン』(2012年初演)よりエルザのドレスとヘッドドレス。ドレスはウェットスーツ生地に模様のカットが施されており未来感のある風合いが醸し出されている。

時空を超えた人生の旅を構想する屋根裏部屋「初台アート・ロフト」
アート作品である舞台衣裳に光を当て、新たな物語を創造します。2019年にスタートした「初台アート・ロフト」は、「ファンタジー展」 「パラード展」 「生命の木展」 「神話への旅展」 「想像力と技-素材と型-展」 「時空をこえて展」 「奇想空間展」など様々な切り口から舞台衣裳の展示を実施してきました。今回は、『針と糸で繋ぐ未来への扉』と題し、舞台衣裳と空間デザインから広がる世界=宇宙の表現を試みています。

宇宙の「宇」は大地四方、空間の広がりを、「宙」は古往今来、時間の広がりを表します。舞台作品の魅力のひとつは、舞台と客席がそれぞれ自由に空間と時間の広がりを持てることであり、その中で衣裳は重要な役割を果たしています。今回の展示では、未来感のある、とりわけ人の手がかかった素材や細工技術に特徴がある衣裳の数々をご覧いただけます。

『エレクトラ』よりクリテムネストラの大マント。
パッチワークの上に豪華な装飾が施されている。


展示紹介

「初台アート・ロフト」は、新国立劇場のオープンスペースやギャラリーが会場となっています。高い天井から差し込む日光、夜の照明と展示物の影が織りなす神秘的な空間は、建築上の大きな魅力です。この劇場という非日常の空間の中で、本展示の衣裳の彩り豊かなそれぞれの魅力と個性が表現されています。

会場であるオープンスペースは自然光が差し込み、時々に様々な表情が楽しめる建築空間です。

今回の展示では、ストレッチ生地で縫製された花と蔦による装飾が各コーナーにエッジを効かせております。すべて手で制作された約2,000枚の花びらと約1,500枚の蔦の葉。それら装飾モチーフ、衣裳、小道具、植栽が有機的に融合調和し、一つの芸術的空間を創り出しています。

『イドメネオ』よりイーリアのドレス。きめ細やかなアップリケと繊細なジョーゼットの風合いが美しい。

「初台アート・ロフト」展示の魅力は、この建築空間と展示作品が創り出す世界=宇宙と言えます。また、実際の衣裳やオブジェと併せて、今回も約200枚以上の展示作品の写真をパネルにてご紹介いたします。カメラのフィルターを通して表現された世界もお楽しみください。

『ローエングリン』よりエルザのドレス。生地に模様が織り込まれたジャガードが美しい。
ひびのこづえデザインによる、こどものためのオペラ劇場『ジークフリートの冒険』よりジークフリートの衣裳。光沢のある合皮に銀のハトメが施されていたり、オーガンジーを手染めした羽など、空想の世界が想像力豊かに表現されている。
『魔笛』よりサルの衣裳。人口毛皮が使用されており、人の手で着色されている。
『ホフマン物語』よりダペルトゥットとジュリエッタ。ヒョウ柄の合成皮革で作られたダペルトゥットのロングジャケットと帽子が目に楽しい。
『ナクソス島のアリアドネ』よりのエコーのマント。シルクに手描きされた細やかな植物柄には目を瞠る。
装飾はマネキンのヘッドや各ブースの柱にも散りばめられている。


2024年春 初台アート・ロフト『針と糸で繋ぐ未来への扉』展

■会期:2024年4月1日~2024年8月下旬まで
■会場:新国立劇場 1階メインエントランスホールおよび、
2・3階ギャラリー
■開場時間:8:00~20:00
■ご観覧料:無料
劇場までのアクセスはこちら

キュレーション:桜井久美(アトリエヒノデ)
インスタレーション :渡邊健斗/青木美穂
写真撮影:田中亜紀
マネキン製作:株式会社七彩
小道具:新国立劇場 技術総括室
制作:新国立劇場 情報センター

 


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