「きみとロボット」展に行ったはなし

こんにちは。書きかけの記事を適当に放置して記事を書き始めたので、前に投降したのがいつだかわからなくなってしまいました。毎日は無理でもせめて毎週なんか書けたら万々歳。
そしてなんと今日はきちんと書くネタがあります。うれしいですね。もっとちゃんと写真撮ってくればよかったな。

こういうのにもネタバレって概念はあるんでしょうか。内容について詳しく突っ込んでいます。

経緯のはなし

行先

日本科学未来館で開催されている展覧会に行ってロボットを拝んできました。

経緯

ツイッターで見かけ、身近に興味ある人がいたので一緒に行ってきました。こういうの一人で行くのも嫌いじゃないですが、一緒に行く人がいると自分にない視点の話を聞けたりするのでたのしいです。特にロボットアニメは機体の見分けができないから適当にスルーして観るタイプの人間としては、「展示してある実物の外観のロボットアニメっぽさ」という視点はよくわからなかったので、なるほど、そういうのもあるのか!と新鮮な気持ちで観れた。

道中のはなし

人と待ち合わせしていったんですが遠かった。東京って広いですね。
群馬から主要な駅(新宿とか渋谷とか池袋とか)ばっか行く人間はゆりかもめなんてものはコミケの時ですらろくに乗らないんですが、あれは乗ってて楽しい路線ですね。景観が良い。群馬県民は間近で海を見ると無条件にテンションが上がるので、道中の時点ですでに楽しかったです。

展示のはなし

レジェンドロボット展示と年表

最初の部屋に、日本で開発されたらしい歴史上主要なロボット(?)の展示と、壁にロボット関連の歴史が書かれてました。

びっくりしたのは年表で語られている事物の幅広さ。ロボットって言われて想像するものって機械的な体で動く何某みたいなふわっとしたものだったんですが、この展示は「自動で動く人形」「機械仕掛けのからくり」「パワードスーツ」「人造人間」みたいなものすごい広い範囲の歴史に触れており、いきなりロボットの概念がすげえ拡張されました。

それから幅広いSF系の作品が紹介されておりました。歴史的に主要な作品を紐解いたり、有名なアニメを鑑賞したりするのにいい機会かもしれない。
そういえば電脳コイルも載ってました。記憶に新しい。下記記事から3本にわたって管をまいた内容は、今回の展示にわりと通ずるものがあったので観といてよかったなと思いました。

あと実際に主要なロボットたちを観ましたが、あまり詳しくない人間としては印象に残ったのが3種。

・Posy
結婚式のフラワーガールを想定して造られたもの。服を着ており、ほんとに少女っぽい外見をしていて、動作が「歩いて花を渡すだけ」というもの。すごく限定的な動作だな!と思ったんですが、のちの展示でもいろいろ限定的な用途のロボットが出てきたので、ロボットの用途の幅広さみたいなものをこの時点で感じさせられた気がする。かわいい。

・パートナーロボット「ハリー」
トランペットを持ったやつ。機械に金管楽器が吹けるんですか!?ってものすごく驚きました。金管楽器を吹いたことある人間としては唇の操作の難しさが頭にあるので、それが2004年時点で技術として世に出されていたことは知らなかった。
会場ではぜひ演奏を聴きたい!と思ったので今調べてみた。

めっちゃうまいじゃん。あの唇でか?(すごくうっすらとしか造形されていないように見えたので驚いています)
人口の肺というのも冷静に考えるとどういう代物なんだろう。構造を詳しく知りたい。

Pepper
言わずと知れたアイツ。

一人だけ(?)喋ってらしたので遠目からも印象付けられてたんですが、「ホルモン分泌のしくみが疑似的に搭載されており、感情表現をする」というのを知らなかったのでびっくりしました。そんな高度なことやってたのか……
某寿司屋とかで見かけるんだから積極的にコミュニケーションとっとけばよかったなと思いました。まあそんな人目に付きそうなことたぶんできないけど。

「からだ」の展示

ヒトの体の機能は機械でいうとこんな感じ(脳がコンピュータで、感覚器官がセンサーで……みたいな話)というところに始まり、人体の複雑な動きを再現する人型ロボットから、身体障害のある方の補助をするもの、実際の人にはない機能を拡張するもの(しっぽとか、追加の腕とか)、遠隔操作するもの等、様々なロボットの展示を通して人間の体というものについて考えさせられる展示スペース。

以下印象に残ったものいくつか。図録観てるといろいろ思い出しますが、書いてるときりがないね……

・Arque
装着型しっぽ。体のバランスを安定させるように動く。わりとごついというか太いなという印象。見た目が脊椎っぽくて背骨の延長感ある。
VRとかで身体が動いたように感じるためのデバイスとしての用途に使えるかも、みたいな話が興味深かった。体の拡張って身体に欠損部位を抱えている人のためのものだけじゃなく、もともと人体にないものを追加して可能性を広げるっていう視点もあるんだな~と思わされたので印象にのこりました。

・Musiarm
義手が楽器になるやつ。デザインがとがったやつが多くてファッショナブルだった。TPOに応じて義手が付け替えられるというのはある意味個性の表現として独特のものになるのではないかと思うと、ハンデをハンデと思わずに済む視点が生まれそうでいいですね。

・Naviarm+T-Leap
アーム型ロボットを背負うことで熟練者の腕の動きを再現してもらうやつ(Naviarm)と、360度カメラ・マイク・スピーカーで装着者の情報を転送するやつ(T-Leap)。二人場織的な感覚で技術を主観視点で学べる。医療とか、職人芸とか、個人の手先技がものをいう世界の技術継承って難しそうなので、その解決策として新しい技術を取り入れるというのは興味深い。

https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/naviarm/

https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/t-leap/

・Ontena
聴覚に障害がある人向けの、音を体で感じる装置。体感型のものは印象に残りやすいですね。
映像と音が流れており、それに合わせて振動を体験できました。どの映像観てても振動パターンが同じように感じてしまって、もっとより細かく制御されるとより臨場感ありそうだなと思ってしまったのは、観えるものゆえの傲慢な発想かな……
あと映像チョイスが謎で面白かった。

・零式人機 ver.1.2

地上にあるコックピッドに乗り込んで、高所のロボットを操るやつ。体験型だったけど体験しなかったのをちょっと後悔している。直感的に力具合の操作ができるっぽい。
あとなんか調べたら新しいバージョンが出てるっぽいですね。


「こころ」の展示

急にめちゃめちゃ体験型スペース~!って感じで、様々な愛玩系っぽいロボットが展示されており、それと触れ合うことができました。正直テンション上がったよね。ここが一番見ててたのしかったです。
以下印象的なやつです。

・aibo
言わずと知れた犬型ロボットですね。最初のレジェンドロボット展示のスペースには1999年のAIBOが飾ってありましたが、より有機的な曲線デザインとカラーバリエーションにより動物っぽさが増しててよかったです。キチンと触れ合ってないですが犬だ……犬がいっぱいおる……感がすごかった。触っとけばよかったと後悔している。(そのパターンが多すぎる)

・Qoobo
いつだったか買おうと思ったことがある。なでるとしっぽが動くクッション。実物触れられるとは思ってなかったのでうれしかった。
ものすごくミニマルな動物みがあるというか、これだけで満たされるなにがしかの感情があるよな。動物との触れ合いも結局はコミュニケーションで、なんらかの反応が返ってくるとうれしいんだなあ……というのを実感。

・LOVOT
愛玩用ロボットという言葉が一番しっくりくるかもしれない。ブースが混みすぎててキチンと触れなかったのを一番後悔している。だっこしたかった。地元で何度か販売している様をみたことがあり、実際に動いている様をみるとかわいいな~と思う。ロボットって実物に近づくと怖くなるという不気味の谷現象があるけど、愛玩用にはアニメチックというかデフォルメというか、そういう要素が入ってくることで越えてくるんだなとこの辺を見ながら思っていた。
頭に乗ってるやつが烏帽子っぽくてすき。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1

・豊橋技術科学大学 ICD-LABの「弱いロボット」たち
どれも印象的でピックアップができない……。どのロボットも説明文がすごい良くてホッコリしました。一番気に入ったのは「手に消毒用アルコールを吹きかけてくれるやつ(アイ・ボーンズ)」だったんですが調整中で体験できなかったのがさみしい。
「昔話を語ってくれるが忘れてしまう(トーキング・ボーンズ)」とか、「内緒話する(ポケボー・ジュニア)」とか、「移動できるけどゴミは拾えず、ゴミを入れると喋ってくれるゴミ箱ロボット」とか、役に立つとかそういう次元じゃない限定的な用途のロボットの宝庫だった。理屈や機能性だけじゃない部分で訴えかけられると、そういうものを尊ぶ心を失いたくないなと思いますね。

・RoBoHoN
これも地元で販売しているのを見たことがあり、記憶に新しかった。ちっちゃい体ですっげえ動くので目を惹かれる。逆立ちできるの~!すごいねえ!という近所のおばちゃんみたいなテンションでずっと見てたけど、人気すぎて近くで見られなかった。残念。ちょっとおうちに欲しい。

・「Commuの議論」と「アンドロイドの議論」
前者は小さい人型のロボットが議論をするやつ。後者は同じようなしくみで、この技術を提供してる研究室の教授を模したっぽい二体のアンドロイドが議論をするやつ。議論してる内容も状況により違うんでしょうが、議論してる側の見た目が違うと印象が全然ちがう。面白いですね。
前者は議論っていうより一方的な主張にもう片方が「なるほど~そうだね~」って言ってるだけだったのに、後者は同じように一方が主張する中、もう一方は頑なに相手の主張に同意しない、みたいな展開になっていたのはたまたまなんだろうか。なんとなく見た目にそぐう議論展開になってるな、と思って面白かった。

・ERICA
美女型アンドロイドの映像展示。
綺麗な顔面造形してるけど不気味に感じるのはなんでだろう、という話を現地で同行者としましたが、個人的には「静止時間が長い」ところに人間じゃ無さを感じて違和感があった。人って静止してても瞬きするとか、まつげが揺らぐとか、呼吸するとかで、何かしらの部位は動いてるじゃないですか。ピタっと止まる時間があまりにも長いと作り物めいてるな、と思いました。

「いのち」の展示

医療現場で命をつなぐロボットと、故人(他)のデータを基に疑似的に作り出されたいのちに関する展示。
「死後、後世にて自分自身を再現しようとするのを良しとするかどうか」みたいな投票ができるスポットがありました。死後のわたしはそれを認識できない以上、自分自身というもののデータがどのように扱われようと知ったこっちゃねえやと思うんですが、意外とみんな抵抗あるのね……?YESかNOでNOのほうが多数派でした。
そもそも凡庸なる一個人であるわたしは、死後再現しようと思ってもらえる時点で光栄な話だなあ……と思うのであるが。

死んだ後活用していいよ、の証明書
脳死後臓器提供の意思表明っぽいね

さてここで印象的だったやつ。

・Pedia_Roid
救命用の患者型ロボット。歯医者とか一番わかりやすいかなと思いますが、治療中に暴れる子供の動きを再現するやつで、なるほどそうやって練習するのか~と思いました。しかし実際に動いている映像を観ましたがこの子は割とおとなしい子ですね。子供の爆発力たるや大人の想定を超えてくるからね。暴れた子供としての記憶が残っている人間としてはそういう感想を抱かざるを得ない。

・AI美空ひばり
聞きなれてないマンとしては違和感ないけど、同行者が美空ひばりに一家言ある人だったのでその違和感について仔細に語ってもらったらなるほどな、となった。綺麗すぎるんだね。
歌を歌う人間としては綺麗で完璧なものを目指しているけど、努力の範疇外でそれを実現されちゃうとそれはそれで聞いてて面白くないのかもしれない。

・ぱいどん
正直ぱっと見で美空ひばりの音声再現よりも違和感を感じたのがこちら。手塚治虫が偉大な漫画家であることは疑いようがないだけに、その創作性を後世が再現しようとする営みには、なんとなく引っ掛かりを覚えてしまった。これが「未完の作品の続きをつくる」とかだったらコレジャナイ感がすごかった気がする。
でも「AIと人間の共同制作という可能性」という記述にはなるほどな~と思いました。AIに学ばせるデータとして手塚作品が選ばれるのは納得する。それによって完全に新しいものとして生まれたこちらの作品は、機会があったら読んでみようと思います。

きみとロボットの未来

出口がいくつかに分かれており、選んだゲートによって表示されるコメントが変わるという展示がありました。わたしは「ロボットの友達と喧嘩する」というコメントが表示されましたが、ロボットが同級生だったりする世界がほんとにやってくるんだろうか。そもそもロボットに人権が認められるんだろうか。技術は進歩しても、人の生命に関するとらえ方はなかなか変化が遅いように感じられるので、生きてるうちにそんな面白いことになる期待が持てないわたしは想像力が狭いのかな……

まとめ

実際に見に行ってからこの記事を書くまでにずいぶん間が空いてしまいましたが、図録があるとその時感じたことを思い出しやすくて本当に助かりますね。展の類に行ってその点の図録を買うという趣味はここ数年で始めたものですが、限られた時間でしか味わえなかったものをあとからじっくり振り返れるのはすごく良いです。

また、こうやって思い返しながら記事を書いたことで、その時々感じたことをもっと間が空いてから思い出しやすくなりそうなのがいいな~と思いました。やっぱり記憶を整理して出力するという行為は、忘れっぽい人間には大事かもしれない。

こういう中身のある(?)noteをかける体験を積極的に増やしていきたいですね。

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