青空文庫新着分より、橘外男「仁王門」読了
『陰獣トリステサ』しか読んだことがないのでその悖徳的頽廃イメージで読み始めたが、全然違った。
こちらは短編だし、万人に勧められる佳作だ。
冒頭、その手記はさる婦人に向けて書かれた遺書らしく、見つけたのはどうやら刑事らしい。
謎の多い魅惑的な導入部。
そして手記本編。
順風満帆の生活を送っていた手記の主は、母の死を期に一時帰省する。
そこで母の死に兄が関わっているという噂を聞くのだが……あの善良な兄に何が起きたのか?
田舎の長閑さと閉塞感。
真実も、主人公の選択も重く苦しい。
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