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諸星大二郎『妖怪ハンター 稗田の生徒たち1 夢見村にて』

薫のフィールド・ノートとでも呼ぶべき幻想と悪夢渦巻く傑作中編「夢見村にて」と、閉鎖的な漁村に隠された悲しい秘密を大島が追う前後編「悪魚の海」の二作。

このシリーズに出てくる女性はいずれもミステリアスで、薫や大島を異界へ誘うのはもちろん、彼らを霊能で助けるのが妹の美加や彼女の渚なのは、確実に作者の人間観の反映だろう。

対する男衆の俗物具合は度しがたく、主役の二人が善良なのがせめてもの救い。

一番不幸なのは、かつての活躍も鳴りを潜め夢の中でも現実でもネタキャラと化してイジられまくる稗田氏かもしれないが。



「夢見村にて」にて。

訳あって稗田氏の裸の胸を触りチェックする薫と、それをおにいちゃんったらいつからBLになったの!? と見咎める美加。

諸星先生いつからBLをご存知で!?

てか夢を買ったり盗んだり、果ては殺して奪ったりの神設定が持ち前の幻想的作風に見事に昇華した迷宮的傑作なのに、夢から無理矢理覚ますようなオチ要ります?

思えば「悪魚の海」のラストも余韻を敢えて崩すスタイルだし、最後に何かしらオチをつけたくなるのが先生の奥ゆかしさか。

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