ハッカソンは、オフライン参加の方が色々な濃度が高い(場合がある)
みんな大好き、ハッカソン
先日、仕事の関係でハッカソンにお邪魔をしてきた。
「ハッカソン」。
エンジニア界隈ではお馴染みのイベントではあるものの、実際のところ界隈の人間以外には知られていないため全然一般用語ではない。
ざっくりすぎる説明をすると、エンジニア達がリアルタイムで開発して発表するイベントである。
今回はオンライン・オフラインのハイブリッド開催のハッカソンにお邪魔したときの気づきについて、振り返る。お邪魔したハッカソンはこちら。
ハッカソン参加者は、ハッソン狂い
ハッカソンに複数回参加していると、見知った顔が増える。
デジャヴでもなんでもなく、同じ人が参加しているからである。つまり、いつメン。エンジニア界隈の広いようで狭いようで狭いコミュニティが、ここから伝わってくる。
おそらく一度ハッカソンに参加した人が、次も同じ開催者のハッカソンに参加するから、というのもあるが、とにかく「どっかで見たような…」という人が多いのである。
多分、Qiita記事で見たことある人たちも何人かいるはず。もしもQiitaアイコンが出ていたら「あなたの書いた記事に救われました!」とその場で握手を求めていたかもしれない。
毎度、ハッカソンに参加するとびっくりするのが参加者の熱量である。
今回はオフライン開催ありだったので、余計に会場内のやる気がひしひしと伝わってきた。わざわざPCを担いで現地に赴いて参加しているので、やる気があるのも当然だろう。
ハッカソン前半にアイディア出しを経てチームビルディングもあったが、敢えてチームではなく一人でやる気満々の人が一定数いたのも印象的だった。
会場内で個人的に「ハッカソン狂いだなー」と思った方の記事がこちら。
ご自身も書かれているが、ハッカソン中毒っぷりが素晴らしく見習いたい。
好きなものに対して、かくありたい。是非これからも正気に戻らず狂っていていただきたい。
オフライン会場は、カオスの会場
オンライン開催と違って、オフライン開催は参加者が開発している様子も運営がバタついている様子もすべて見ることができる、というのも醍醐味のように思える。
●運営の癖が強い
今回お邪魔したハッカソンは、なんと主催が医療ものづくりセンター(通称もいせん)という医療者を対象にしたプロトタイピングスクール。
そのため、会場が病院(休館日のワンフロアを利用)。待合室には会議机と大量の電源タップが並び、診察室は開発ルームに。進行する運営陣は、白衣着用。審査員も医療者。そんなことある?
ハッカソンのテーマも「医療の課題をテクノロジーで解決しよう」。
ここまで一貫されているハッカソンは、なかなかお目にかかれないのではないだろうか。
余談だが、私はハッカソン2日前に帯状疱疹に罹患していることが発覚し、病院に縁があるなーなんて勝手に思っていた。
運営の方(現役看護師さん)と全然関係ない話題できゃっきゃと雑談していた際に、そういえば~と帯状疱疹の話をしたら急に病院で言われるトーンで不意打ちでプロの「お大事になさってください」のお言葉をいただいて、前後のギャップにちょっとドキッとした。
●課題解決したい場=会場(病院)
個人的にとても面白いなーと思ったのが、オフライン開催かつ実際に課題解決する場が会場になっていたので、通常だと難しい課題に対してもアプローチできること。
その利点を取り入れたのがこちらの作品。
待合室に対して課題を感じていて、それを解決するためのプロダクトである。1日目のアイディア発表の場でこれを聞いて「それはそう!」と膝を打った。何より、自分が作ったものが本物の病院の入口に置かれて動いているという図が面白すぎる。正直羨ましい。
モノづくりとは画面の中だけで動かすのではなく、どこに置いてどうやって使われるのかをシミュレーションすることの重要性を再認識した。
●会場で生まれる一体感
チーム参加にしろ、ぼっち参加にしろ、みんなが同じ空間で開発をする。
すると当然、参加者の奇行もちらほら見られる。
おもむろにストレッチがはじまったり、なぜか呼び込み君の音楽がずっと流れていたり、「風邪です。すぐ治ります。……………ワン」と不本意そうに犬語を発する機械音声が響いたり。
周りの目を気にしたり、遠慮をしては目的を果たせないということかもしれない。いずれの奇行も、会場内では特に触れられない。何故ならみんな自分の開発に必死だから。
しかし、ふとした瞬間に誰かが「……ふふっ」と笑うと連鎖するように笑いが広がり謎の一体感が生まれる。これもオフライン開催ならではかもしれない。
●知られざる運営の舞台裏
私自身、運営としてハッカソンやオンライン・オフラインイベントに携わることが多くなってきたので、正直なところ舞台裏にこそ関心が高かったりする。オフライン会場での音響や、オンライン参加者とのコミュニケーション、資料の連携方法等、隙を見て質問させていたき勉強させていただいた。
オフラインならではということでは、運営の方が参加者に直接声をかけてフォローしたり、活動風景をTwitterに発信したりとイベントとしても活発な様子が見られた。
オフライン・オンライン共に参加者が多かったにも関わらず、大きなトラブルもなく進行されていたのは流石のひと言。
運営側目線のハッカソンとかやっても面白そうだなー、と個人的に思ったり。アイディアソンでめちゃめちゃ盛り上がりそう。
ハッカソンの魅力
色々と偉そうに語ってはいるが、私は2年ほど前に自分が参加するまでハッカソンなるものについて一切知らなかった。そんな初心者だった私が参加したときの初々しい記録がこちら。
上記ハッカソンに参加したときは、世間はコロナ禍真っ最中。ハッカソン開催も当然オンラインだった。あれから2年弱経ち、世間が落ち着いてきた中、ハッカソンもオフライン開催が増えてきた。
実際のところ、移動時間がないという点でオンライン参加の方が作業時間は多く確保できるし、部品の調達もしやすかったりする。遠方からの参加だって可能で、良いことも多い。
とは言え、オフライン開催の醍醐味を一度知ってしまうと、やはり次もオフラインで……という人は多いかもしれない。
「作りたいものをただ作る」だけではなく「作りたいものを作ってその中で一番を付ける」というのが、一般的にハッカソンのルールである。
全員がそうとは限らないが、成果を出そうと意気込んで参加している人が多いかと思う。会場に集まった温厚そうな人たちも、穏やかそうに見えて心の中では「自分の作ったもので優勝したる!」と闘志を燃やしているのかもしれないと思うと、グッとくるものがある。しかし戦う相手はあくまでも自分自身。
その証拠に発表が終わると、それぞれがそれぞれを讃え合う。そう、参加者は敵ではなく戦友。2日間の闘いを終えて拍手を送り合う姿は、まるで心優しき巨人のようだ。
熱くなれるものにとことん狂える瞬間こそが、一番強いのかもしれない。一種の感動を貰えた、そんな2日間だった。
興味はあるけれどハッカソン参加はハードル高いな、と思う人は是非成果発表だけでも観にいくことをおすすめする。オンライン開催の場合は、動画配信をしている可能性も非常に高いので、発表だけでも面白い。
きっとモノづくりのわくわくを体験できるから。
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