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#05「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬


2000円か〜高いな…
と思っていた自分を殴りたい。

むしろ、これが2000円なのか…
という驚嘆が今となっては正しい感情であると思う。

本当に映画を一本観たような読了感がある。
筆者が描く、緻密で細かい描写が、
その情景をありありと眼前で再生させる。

私たちが歴史の授業でしか見ることのなかった戦争を舞台にした作品。

戦争を体験したことのない作家が、これほどリアルに書くということは、たくさんの文献を読み漁り参考にし、そして自身の言葉で浄化していく必要があるということ(だと思う)。

そんな作者の努力も垣間見える作品だと思う。


少しネタバレになるが、


狙撃兵が戦後を生きる際に「愛する人を持つか生きがいを持て」と言われ、最後の方で主人公が「どちらも手に入れた」と自身の心の中で思うシーン。

てっきり愛する人=男の人(夫)だと思っていたので、それが女性であるということに驚いたと同時に、現代において愛とは異性を愛するだけではないと言うことが書かれていると思った。

たしかにこの作品の時代は今ではないし、何十年も前だけれど、最後の部分はこの小説を読んでいる現代を生きる私たちに向けたメッセージであるように思えた。


兎にも角にもすごく読み応えのある作品なので、分厚さに躊躇っている人は、一冊今すぐレジに持っていって欲しい。

この作品はいつか映像化されるのだろうなと思う。たぶん。


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