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♭01「THE FATHER」


気になっていた映画。観てきました。

終わった後、すごく疲れていたと思う。

何が何だか、わたしにもわからなかったから。

すごく的確に、さまざまな人間の心情を描き出している映画だと思います。

特に、認知症の父と関わるアンの戸惑いや葛藤。これはすごく伝わってきました。
映画を見ながら、自分の祖父が認知症であったときのことを思い出し、「その接し方...わかる」と思った場面が何度もありました。


それからアンとアンの父に関わる人たちの戸惑いも。

認知症の人間にどう接していいのかわからない。

これはきっと認知症の人に関わったことのある人なら一度は経験した感情だと思います。

そして、この映画ではあまりその部分については触れられていなくて、あくまでも認知症というものを認知症の人間側から描いている、そんな印象でした。

でも、だからこそ、認知症を知るきっかけになるし、どうしたら良いのかを自分たちで考えるきっかけにもなる。

そして何より認知症がどのようにその人の見える世界を変えているのか、という部分に触れられる大事な映画だと思います。


そして、周りの人間の戸惑いの理由に気がつかない父。


"なにがなんだかわからなかった"と先ほど書いたけど、本当になにがなんだかわからなかったです。

もし、自分以外の人が認知症になってしまったら、相手のことを変わってしまったと思うのだろうけれど、認知症になった人からすると変わったのは周りの人間。

その、認識の違いというか、見ているものの見え方の違いみたいなものがすごく巧妙に描かれていて、"なにがなんだかわからなかった"です。



何が真実で、何が虚構なのか。


周りで起こる出来事がどのように見えているのか。


私は馬鹿なので、結構頭使いました(笑)

正直、娘のアン以外の人間は、どちらが正しいのかさっぱりわからなかったです(笑)

映画を見る前に一度公式ページで確認しておくことをおすすめします(笑)




この映画は一言で表せば、



『迷路』


だと思います。



まるでゴールの見えない、あるいはゴールのない迷路の中を走っているかのような感覚でした。



でもきっとそれこそが、認知症という病気の本質なのかもしれない(個人の見解です)。



"私"をきちんと"私"として認識してもらえてること、当たり前ではなく幸せなことなのだと思えた映画でした。





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